脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第89回) 大物が釣れる?ビッグデータ

スキルアップ

公開日:2025.05.30

 経営や業務にデータが重要なことは理解しているが、どのように利活用したらいいのか分からない。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は社会全般に大きく役立つ「ビッグデータ」だ。

「スマホを見ていたら、新しい釣り用品の案内が表示されたぞ。そろそろ買い替えようと思っていたから、ちょうどいいな」(社長)
「それはきっと、社長の購買データやWebサイトの閲覧データなどのビッグデータを分析して、最適な広告を表示させているんだと思います」(総務兼IT担当者)。
「ビッグデータ?それは大物が釣れるデータのことか?」
「顧客データやWebサイト、SNSなどから集められた膨大なデータのことですよ。それで大物が釣れるかどうかは分かりませんが...」
「いずれにしても何かに役立ちそうだな。ビッグデータがどんなものか、詳しく教えてくれないか」

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AIでより高精度のデータ分析が可能に

 企業活動にはデータが不可欠ですが、中でも最近、ビッグデータの存在感は増しています。従来の顧客データや販売データに加えてSNSやWebサイトなどの多種多様なデータソースとAI技術を組み合わせることで、より大量で高精度のデータ分析が可能になります。ビッグデータには顧客の個人情報や企業の機密情報など複雑かつ重要な情報が膨大に含まれており、利活用に当たってはセキュリティ対策も不可欠です。

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ビッグデータは5つの要素(5V)で定義される

Q ビッグデータとはどのようなものですか。

 ビッグデータはよく3つのVで説明されます。まず、従来のデータ処理システムでは扱えないほど大規模なデータであることを示す「Volume」、次に顧客データや購買データなど業務データの他に、SNS上の投稿や評判などのテキストデータ、Web上の動画や写真、音声など、データの多様性を表す「Variety」、そしてデータの生成や処理、分析のスピードが速く、データのリアルタイムな利活用が可能な「Velocity」の3つです。近年はデータの正確性を意味する「Veracity」、データの価値を示す「Value」の2つを加えた5つのVを備えたデータがビッグデータと解釈されています。

Q ビッグデータの活用例にはどんなものがありますか。

 身近なものでは、お勧め商品のレコメンドがあります。顧客の購買データやWebの閲覧データ、SNSのコメントなど、膨大なデータを収集・分析し消費者ごとにマッチした商品・サービス情報をタイムリーに提供することで、販売機会の増加が期待できます。また、企業に蓄積された生産データや在庫データなどを分析し、AI技術を組み合わせた需要予測に基づく生産管理や在庫管理も可能になるため、コスト削減と生産性向上につながります。

Q ビッグデータ利活用の注意点は何でしょうか。

 部門ごとに管理していた生産データや販売データ、在庫データなどを1カ所に集めて分析するため、高性能なネットワーク機器やサーバー、大容量ストレージなどが必要です。また、社内のシステムごとにさまざまな形式でデータを保存・管理している場合、統一的なデータ分析ができるようにデータの整理(クレンジング)も必要です。

 データには顧客の個人情報や企業の機密情報なども含まれるため、セキュリティ対策が必須です。ビッグデータの利活用はまだ先という企業も、社内のデータ、ファイルをクラウドストレージに一括して保管することにより、セキュリティを確保しつつ社内外の関係者とのファイル共有が可能になります。詳しくはデータ活用に熟知したIT事業者に相談するとよいでしょう。

「社長、ビッグデータのこと、理解していただけましたか。わが社も重要な業務データが増えているので、クラウドストレージの導入を検討しませんか」(総務兼IT担当者)
「つまり、どの釣り場でいつ、どんな魚が釣れたか記録しておけば、釣果の予測もできるというわけか」(社長)
「ビッグデータは釣りにも活用できそうですね。ところで社長、今はデータ保管の話をしていますが...」
「確かにデータが消えたら大変だな。逃した魚は大きいとも言うし」

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆=山崎 俊明

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