脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第40回) お蔵入りクラウドカメラ

クラウド・共有 デジタル化

公開日:2021.04.27

 次から次へと出てくる新しいIT用語。一体、何のことやら頭が痛い。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、会社の安全対策にも役立つ「クラウドカメラ」だ。

「社長、倉庫に取り付けている防犯カメラが故障したので、クラウドカメラに替えませんか」(総務兼IT担当者)

「倉庫の防犯カメラとうちのクラ(蔵)にどんな関係があるんだ。何かたくらんでいるんじゃないか」(社長)

「何もたくらんでいませんよ。クラウドカメラは、防犯カメラの映像をクラウドで保管する新しいサービスです。インターネットを通じてどこからでも映像を確認できます。クラウドカメラなら社長の自宅からも倉庫の様子が見られるんですよ」

「うちの蔵なら歩いて確認に行けばいいだろう」

「ですから蔵じゃないんですよ、って今どき自宅に蔵があるんですか……」

映像をクラウドに保管してどこでも閲覧

 これまで防犯カメラは、オフィスや工場など監視対象の近くに録画装置と監視モニターを設置する方法が一般的でした。問題発生時は録画装置に保存した映像を監視モニターで閲覧していました。クラウドカメラなら、防犯カメラで撮影した映像をクラウド上に保管し、インターネットを介して遠隔で映像を閲覧できます。防犯・監視の目的だけでなく、商品の売り場や工場の生産ラインなどさまざまな用途での導入が広がっています。

現場の録画映像を遠隔で確認できるクラウドカメラ

Q クラウドカメラのメリットは何ですか

 クラウドカメラで撮影した映像は、サービス事業者のシステムに一定期間保存されます。そのため、従来の防犯カメラのような録画装置は不要です。録画装置が故障して映像が消失するリスクが減るほか、録画装置の維持管理も不要です。

 また、これまでは監視モニターの設置場所でしか録画映像を閲覧できませんでした。クラウドカメラの録画映像はインターネットを介してさまざまな場所から(オフィスや自宅など)、またさまざまな端末(パソコンやタブレット、スマホ)で閲覧できます。問題発生時に録画映像をすぐ確認したいといったニーズに対応します。

Q 防犯以外の用途を教えてください

 防犯・監視といった安全対策のほかにもさまざまな用途で利用されています。例えば、店舗にクラウドカメラを設置して店内の混雑状況を把握したり、商品の陳列棚を録画して売れ行きを遠隔地から確認したりできます。また、工場の生産ラインの状況を映像で確認し、工場内の人員の最適配置に役立てるケースもあります。

 モバイル(LTE)対応のクラウドカメラも登場しています。建設現場にモバイル対応のクラウドカメラを持ち込んで、移動しながら建設現場内を映し出し、工事の進捗状況を説明するといった使い方も可能です。

Q クラウドカメラ活用の注意点はありますか

 防犯カメラは不法侵入などの抑止効果が期待できるため、外部から見えやすい場所に設置する工夫が必要です。ただ、屋外で利用する場合、通行人などのプライバシーに配慮してクラウドカメラの映像を管理しなければいけません。

 映像品質はクラウドカメラの性能によって異なります。問題発生時にクリアな映像で状況を確認できるかどうかを導入前に確認しましょう。クラウドカメラのトラブル時に原因調査などのサポートが受けられるかどうかも重要です。サポート対応付きのクラウドカメラサービスを検討するといいでしょう。

クラウドカメラをお蔵入りにしない努力

「社長、クラウドカメラの便利さを理解していただけましたか。すぐ、倉庫のカメラをクラウドカメラにしましょう」(総務兼IT担当者)

「録画した映像は君が確認するのか。君はさぼってばかりいるから、せっかくの映像もお蔵入りにならないか心配じゃ」(社長)

「社長、お言葉ですが、私は仕事をさぼったことはありません」

「本当に仕事をしているかどうか、明日、君の机の上にクラウドカメラを置いて確かめるとしよう」

「もし、あくびしたらどうなります?」

「もちろんクラウドカメラの導入はお蔵入りだ」

※本文中の会社名、商品名は各社の商標、または登録商標です

執筆=山崎 俊明

【MT】

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