ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
ちまたにあふれる3文字略語。何だかIT用語に多いものの、一体何の略なのかも分からない。そんなIT初心者の社長にも理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は「UPS」だ。
「社長、うちもUPS(ユーピーエス)を増強しませんか。重要なデータが保存されているストレージの故障も心配ですし」(総務兼IT担当者)
「U.P.S.! U.P.S.!」(社長、踊り出す)
「社長、何のまねでしょうか」
「ずいぶん若者に流行したじゃないか。ワシも孫と一緒に踊っておる」
「それは……“U.S.A.”ですよね。そうじゃなくて、UPSですよ。雷シーズンも心配ですし」
「そうそう、カミさんの雷が落ちるんじゃよ。踊るたびに、うるさい!と雷を落とされておる」
「その雷とは違いますよ。UPSは無停電電源装置のことです。突然の停電や、雷による電圧の急な低下からIT機器を守ってくれるんです」
「ワシもカミさんの雷には困っておる。ワシを守ってくれるなら、そのユー何とかをすぐに入れてくれ」
社内にはさまざまなIT機器が置かれています。突然の停電や落雷による電圧低下などの影響でパソコンやサーバー、ストレージ(NAS)に保存したデータが消失するリスクもあります。UPS(無停電電源装置)は、突然の停電時にバッテリーに切り替わり、一定時間、サーバーやストレージ、IP電話などのIT機器に電源を供給し、データ消失や通話停止などのリスクから業務を守ってくれます。
Q UPSとはどんなものですか
オフィスにはパソコンをはじめ、情報共有に利用するファイルサーバー、データを保存するストレージ、IP電話などのIT機器が置かれています。当たり前ですが、これらのIT機器は電源がなければ動きません。突然の停電でIT機器が使えなくなるだけでなく、サーバーやストレージに保存したデータが消失したり、機器が故障したりするリスクがあります。
こうしたリスクからIT機器を守ってくれるのがUPSです。その名の通り、停電時にUPSのバッテリーに切り替わり、無停電の状態にしてくれます。この間、サーバーやストレージを手順通りにシャットダウンすれば、データや機器を守れます。
Q UPSはどんなときに利用できますか
UPSは突然の停電や電圧低下などの電源障害が起こった場合にも、UPSに接続されたIT機器に一定時間、電源を供給します。停電は地震や台風、集中豪雨などの自然災害だけでなく、電力ケーブルの事故やビルの法定点検で電源供給がストップすることでも起こります。自然災害や事故による停電は予想がつきません。また、突然の停電に加え、雷による瞬間的な電圧低下もデータ消失の要因になります。
Q UPSを利用する際の注意点はありますか
UPSのバッテリー容量によって、接続するIT機器の台数や電力供給時間が異なってきます。何台ものパソコンを接続するとそれだけバッテリーが消耗し、数分でUPSが使えなくなるケースも考えられます。そのため、データが消失しては困るサーバーやストレージ、顧客対応に必要なIP電話に電源を割り当てるなど、オフィスの事情に応じてUPSに接続するIT機器を考えます。IP電話のみだとUPSで数時間動くケースもありますが、バッテリー寿命や気温などによって変わります。バックアップできる時間はあくまで目安になります。
UPSを選択する場合、接続するIT機器の消費電力(ワット数)を調べ、どのくらいの時間、電源供給が可能か把握しておきましょう。接続機器が多い場合、複数台のUPSを導入する方法もあります。
「社長、UPSの必要性を分かっていただけましたか」(総務兼IT担当者)
「停電だけでなく、雷の影響でデータがなくなる危険もあるとはワシも知らなかった」
「天災は忘れたころにやってくる、という格言もあるじゃないですか。早く、UPSを増強しないと。万一、データが消えてからでは遅いんです」
「カミさんの雷を防ぐUPSはないのか。あればすぐに導入するんだが」
「社長、それは無理です。奥さまの雷は社長ご自身に原因がある、人災ですから」
執筆=山崎 俊明
【MT】
脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」