ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
カタカナや略語ばかりで、なかなか理解できないIT用語。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、意味は分からなくても、プライベートで使っているかもしれない「チャット」だ。
「昨日、君に一斉メールを送ってもらった緊急会議の件、みんなメールをちゃんと読んでいるのかね」(社長)
「在宅勤務の社員もいるので、みんながメールを見ているのか分かりません。社内の連絡はメールからチャットに切り替えませんか」(総務兼IT担当者)
「何!君はわしが頼んだメールをちゃんと送っていなかったのか」
「ちゃんと送りました。でもチャットならみんなちゃんと確認してくれると思うんですよ」
「ちゃんとちゃんとばっかり言って、怪しいもんだ」
「チャットはちゃんとではなく、ああややこしいな……。チャットはスマホアプリでもおなじみのコミュニケーションツールのことですよ。業務に適したビジネスチャットも出ているんです」
チャットは「おしゃべり」を意味します。日本では無料のスマホアプリの登場により、家族や仲間同士の手軽なコミュニケーション手段として一気に利用が広がりました。ただ、ビジネスでの活用は個人利用と違い、セキュリティなどいくつか注意する点があります。
メールとチャットの違い
Q メールとチャットの違いは何でしょうか
リアルタイムの即時コミュニケーションです。ビジネスで主に利用されているメールは有用なものの、送信先の相手がメールを開かないと内容が伝わりません。返信時もあいさつ文やメール本文を考えるのに時間がかかります。
それに対し、チャットはあらかじめ登録した相手やグループに対して送信すれば、スマホやタブレットのアプリにメッセージが表示されます。簡略な短文メッセージのやり取りだけでなく、スタンプや絵文字も送れます。急いでいるときはスタンプだけを送信すれば、メッセージの確認をすぐに伝えられます。
なお、以前は、リアルタイムのコミュニケーションが取れるチャットと、短文メッセージを送れるメッセンジャーとを区別していました。近年は常時ネットワークにつながっているのが当たり前なので、いずれもチャットと総称されるケースが多くなっています。
Q チャットをビジネスで使うメリットを教えてください
スピーディーなコミュニケーション手段として活用できます。メールの場合、社内であっても「お疲れさまです」といったあいさつから始めるケースが少なくありません。チャットは「おしゃべり」のような短文のメッセージで「明日、10時から〇〇をテーマに会議を行います」といった要件のみ伝えられます。返信が必要な場合も、あいさつは抜きに「了解しました」といった簡潔な連絡で済みます。コミュニケーションの活性化と情報共有に関わる効率化も期待できます。
ビジネスでのチャット活用に注意点はありますか
家族や仲間同士のプライベートなチャットと異なり、ビジネスではセキュリティ対策が必要です。ビジネスで利用する場合、チャットでやり取りされたデータをしっかりと保管・運用しているサービスが望ましいでしょう。
また、社内・部門内といった限定された人だけが参加できるようなアクセス権設定も重要です。ビジネスチャットでは、管理者がメンバーを登録する仕組みが不可欠です。異動や退職時にメンバーから削除できれば、チャット利用の安全性を高められます。
Q 業務に適したビジネスチャットはセキュリティ対策が必須
セキュリティや運用面の課題を解消する、さまざまなタイプのビジネスチャットが提供されています。国内のデータセンターで運用されるサービスや、いつ・だれが・どんなメッセージをやり取りしたのか履歴を管理できるサービスもあります。
ビジネスチャットにはさまざまな機能があります。検討の際はサービスに詳しいIT専門家に相談するといいでしょう。
「社長、チャットのこと、ちゃんと理解していただけましたか。ビジネスチャットを導入すれば、在宅勤務の社員とのコミュニケーションも活性化できます」(総務兼IT担当者)
「確かにそうじゃな。家にいると同僚とちょっとおしゃべりしたり、仕事の相談があったりしても、なかなか伝えにくいからな」(社長)
「そうなんです。チャットならちょっとしたコミュニケーションがすぐに取れるんですよ」。
「よし。それならチャットだけに、チャチャっと導入してくれ」
※本文中の会社名、商品名は各社の商標、または登録商標です
執筆=山崎 俊明
【MT】
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