脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第8回) テレワークは電話代がかかる?

テレワーク IT・テクノロジー災害への備え

公開日:2018.04.18

 「ITの重要性は分かるけれど、内容はサッパリ」というIT初心者の社長にも理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回のテーマは経営課題となる「テレワーク」だ。

「社長、働き方改革が話題になっています。昼休みにざるそばを食べていたら、隣のテーブルがテレワークの話題で盛り上がっていました。どうやら隣の会社みたいですよ」(総務兼IT担当者)

「 テレワーク?」(社長)

「そうです。わが社もテレワークを始めませんか」

「隣の会社はいつから電話の仕事を始めたんだ?」

「違いますよ。テレは電話の意味ではなくて、在宅勤務とか、社外でも働けるようにするのをテレワークと言うんですよ。うちの課のAさん、親の介護で大変みたいですし、テレワークができれば喜ぶと思いますよ」

「社員が喜ぶなら考えてみてもいいが、電話代はどのくらいかかるんだ?」

柔軟な働き方で従業員を確保

 労働力人口が減り、人手不足が深刻になる中、社員の退職を引き止めつつ、優秀な人材を獲得する取り組みが企業に求められています。時間と場所に制約されない柔軟な働き方を可能にすれば、退職防止と人材獲得の効果があります。その柔軟な働き方を実現する手段として、テレワークが注目されています。

Q  テレワークとは何ですか

 テレ(tele)には「遠く」「離れた」という意味があり、会社から離れた場所でも社内と同様に働けるスタイルをテレワークといいます。テレワークの形態は、自宅で仕事をする「在宅勤務」のほか、交通の便がいい主要駅などの近くに簡易な就業場所を設ける「サテライトオフィス」、パソコンなどを活用してどこでも仕事ができる「モバイルワーク」があります。

Q  テレワークのメリットを教えてください

 子育てや介護、配属者の転勤などさまざまな理由で仕事が続けられなくなりそうな場合にも、働き方を選択できる仕組み(制度)があれば、退職せずに仕事が続けられます。退職防止だけでなく、働きやすい環境を提供することによる優秀な人材の確保、モバイルを活用した効率的な営業活動による生産性の向上も期待できます。効率的に働いて空いた時間を自己啓発に割けば、社員がレベルアップできるメリットもあります。会社としても働き方改革を推進すれば、企業イメージの向上につながります。

 また、社員の出社回数が減るので、交通費やオフィスの電気代などの経費削減も見込めます。在宅勤務やサテライトオフィスへ仕事場を分散すれば、万一、災害が起きてオフィスが機能しなくなったときも、在宅で業務を行える可能性があります。働く場所の分散により、非常時でも事業を継続できるのです。

Q テレワークには何が必要ですか

 テレワークはITの活用が大前提となります。社外での勤務状況を把握するため、パソコンやスマホで業務の開始・終了時間を申告できる勤怠管理サービスの導入が欠かせません。労働時間の正確な把握だけでなく、適正な人事評価の仕組みも必要です。社外で働いた成果をどう評価するか、人事評価の規定を改めなければ社員から不満が出る可能性があります。

 また、オフィスでの勤務と異なり、社員同士のコミュニケーションが取りづらくなる傾向があります。パソコンの画面でお互いを映し出せるWeb会議システムを導入して、定期的にビデオミーティングを行うなど社員が孤立しない仕組みが必要です。

Q テレワーク活用の注意点を教えてください

 業務や取引先に関わる重要な情報が社外で取り扱われる場合、セキュリティ対策が必須です。テレワークで利用するパソコンにデータを残さない仕組みや、本社とのデータのやり取りに暗号通信を利用するなどの対策が欠かせません。

テレワークに早速チャレンジ

「注意点をクリアすれば、テレワークはメリットが多いというわけだな。介護が大変なAさんに相談してみるか。大切な人材だからな」(社長)

「Aさんだけでなく、働き方の選択肢が増えれば、みんな仕事に対するモチベーションが上がると思います」(総務兼IT担当者)

「そうか、よし!まずわしからテレワークを試してみるぞ」

「さすが社長!素晴らしい」

「ゴルフ場から電話をかけて指示するから、今度の日曜日、君は会社にいなさい」

「テレ=電話の誤解のままだ……って私は休日出勤ですか!日曜日、雨降らないかなあ」

「安心しなさい。テレテレ坊主を作っておくから晴れるぞお」

執筆=山崎 俊明

【MT】

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