ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
ラグビーの「にわかファン」ではないが、ちょっと理解したつもりの「にわかIT」になりがちなIT用語。そんなIT初心者の社長にも理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回はボーっとしていると理解できない「ボット」だ。
「社長、わが社のホームページが変なんです。ボットにやられたのかもしれません」(総務兼IT担当者)
「何、ボーっと? テレビ番組で女の子のキャラクターが大人を叱るやつか。あれ、なかなか面白いよね」(社長)
「社長、そんなシャレを言っている場合ではないんです。ボットはサイバー攻撃の手口ですよ。わが社のホームページを乗っ取られて、うちが加害者になるリスクもあるんです」
「よく分からないな。そんなに危険なら、それこそボーっとしていないで、早く対処しなさい」
ボットは自動で動くプログラムです。悪いボットには、パソコンやサーバーなどのコンピューターを遠隔操作するプログラムがあります。攻撃者はネットワークを介してパソコンにボットを送り込み、ロボットのように操ります。多数のボットをネットワークでつないで、不特定多数のパソコンをウイルス感染させる攻撃手法もあります。攻撃でパソコンをダウンさせるだけでなく、パソコンを不正操作して企業の機密情報を盗むケースもあります。
一方、良い(悪意のない)ボットには、ホームページの内容を調べて検索エンジンの結果表示に利用したり、チャットの問い合わせに自動応答したりするプログラムがあります。
Q 悪いボットに対してどのような対策を打てばよいのでしょうか
通常のセキュリティ対策と同様に、パソコンのOSを最新の状態にアップデートしましょう。ウイルス対策ソフトの定義ファイルも常に最新の状態に更新しておきます。不審なメールの添付ファイルは開かない、怪しいWebサイトからファイルをダウンロードしないといった意識対策も必要です。また、セキュリティ機器の導入も効果的です。
Q 良いボットにはどのようなものがありますか
コールセンターなどでも使われるボットにチャットボットがあります。チャットでの問い合わせに対してボットが自動的に答えます。例えば、観光地のホームページ内のチャットに「お勧めの観光スポット」と入力すると、「●●の景色がきれいです」などと、お勧め情報をボットが自動で表示します。
また、ボットによりパソコンの操作ログを取得するサービスもあります。ログを収集した上で、そのデータをAIで分析すればパソコンの使用状況を調べられます。無駄な業務を洗い出したり、ベテランのノウハウを可視化したりできます。ボットとAIを組み合わせたソリューションも提供され始めています。
「社長、悪いボットのリスクを理解していただけましたか。わが社のホームページを閲覧した人が攻撃者に狙われたりしたら、それこそ大問題です」(総務兼IT担当者)
「悪いボットが危険なことは分かったが、仕事を効率化する良いボットもあるそうじゃないか。今まで君は何をしていたんだ。本当に、ボーっとしていたんじゃないのかね」(社長)
「社長、いまさら、何てことを言うんですか。私は、いつもロボットのようにこき使われているじゃないですか。給料を上げてほしいくらいです」
「それはもちろん……」
「ボツと」
「君もだんだん分かってきたね」
「なんで私が社長のダジャレを言わされなければならないんですか。悔しい!」
執筆=山崎 俊明
【MT】
脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」