ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
カタカナだけでなく略語もあって、何のことかさっぱり分からないIT用語。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、会社ですでに導入されているかもしれないBYOD(ビーワイオーディー)だ。
「社長、営業部員以外もテレワークでスマホを利用する機会が増えています。そろそろBYODを考えませんか」(総務兼IT担当者)
「何、敏腕OBがどうしたって?最近、再雇用も話題になっているしな」(社長)
「私も再雇用になっても敏腕と言われたい、って、違います。BYODです。個人が所有するスマホやパソコンを業務で使うことです。会社支給の端末利用に比べて購入費用が浮きますし、使い慣れた端末を社員が使うので改めて操作を覚えたりする必要もないんです」
「そんないいことばかりなら、何ですぐに始めないんだ。だが、うまい話には気をつけろとも言うぞ。ワシに分かるように説明しなさい」
BYOD(Bring Your Own Device)は、個人が所有する端末(スマホ、パソコン、タブレットなど)を業務で利用することです。営業活動やテレワークなど社外で仕事をする際に、使い慣れた自分の端末を使います。
ただ、個人所有の端末はセキュリティ対策が十分に行われていない可能性があります。端末の紛失・盗難時のセキュリティ対策は必須です。仕事用とプライベート用でアプリケーションやデータを使い分ける必要もあります。
BYODなら1台の端末で仕事もプライベートも使える
Q BYODと会社支給のスマホの違いは何でしょうか
会社支給のスマホは、利用するアプリケーションやセキュリティ対策などを統一して社員に渡します。このため厳密な運用管理が可能です。一方、BYODのスマホは、所有者(社員)によってセキュリティ対策が不十分な可能性もあります。仕事中にWebサイトやSNSを個人利用して、情報が漏えいする恐れもあるでしょう。会社にとって管理が難しいのがBYODです。業務で利用した通信費を会社でどのように負担するのかといった点も悩ましいところです。
Q BYODのセキュリティが心配です
BYODで使う個人端末は、先述のようにセキュリティ対策に留意する必要があります。管理ツールのほか、ウイルス対策ソフトの導入も必要となるでしょう。
BYODでは1台のスマホに業務データと個人データが混在しがちです。仕事用とプライベート用のアプリ・データの領域を分けて管理できるモバイル管理ツールの活用や、スマホの紛失・盗難時に業務データを遠隔からロックできるデバイス管理ツールを利用すれば、セキュリティを確保できます。社員の退職などでスマホの業務データを消去する場合にも役立ちます。
Q BYODの注意点を教えてください
個人スマホで顧客・取引先に通話したり、メールをやり取りしたりする場合、電話番号やメールアドレスなどのプライベートな情報が相手に知られてしまいます。会社の電話番号を個人スマホにひもづけ、会社の電話番号を使って発着信できる内線化サービスなら、プライベートの電話番号を知られずにすみます。また、Microsoft Teamsのようなコミュニケーションツールを使って業務連絡を行えるサービスもあります。ネットワークセキュリティやコミュニケーションシステムに詳しいITサービス事業者に相談するといいでしょう。
「社長、BYODを理解していただけましたか。慣れている自分の端末が使えるので、社員の業務もはかどると思います」(総務兼IT担当者)
「ワシも慣れている自分のスマホを使えるのか。確かに便利だが、業務とプライベートの区別をどう付けるかが問題だな」(社長)
「私が手本となって、BYODの正しい使い方を社員に示しますので、安心してください」
「君は何事もB(場当たり的)でYO(読み)が浅くD(でまかせ)ぱかり言うから心配なんじゃ」
※「Microsoft Teams」はMicrosoft Corporationの商標または登録商標です
執筆=山崎 俊明
【MT】
脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」