ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
どこかで見たり聞いたりしたことがあるけれど、何のことかよく分からないのがIT用語だ。IT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、スマホの新機種の宣伝などで聞いたことがあるかもしれない「5G」(ファイブ・ジー)だ。
「君、テレビでゴジーの宣伝を見たんだが、何のことかね」(社長)
「ゴジー?ああ、最新のモバイル通信規格、5G(ファイブ・ジー)のことですね。日本でも一部のエリアで商用サービスが始まり、対応するスマホも登場しています」(総務兼IT担当者)
「ファイブだかシックスだか知らないが、スマホは何年か前に買ったばかりじゃないか」
「あれは4Gです。4Gより5Gはデータ通信速度が速いんです」
「四の五を言っていないで、早く仕事をしなさい」
5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスが2020年3月から首都圏などの一部エリアで開始されました。4G(LTE)に比べ、高速・大容量、低遅延で通信できるのが特徴です。5G対応の新しいスマホやタブレットが各モバイル機器メーカーから販売され始めています。また、工場内などで機器のデータを吸い上げて活用するIoT(モノのインターネット)に5Gが使えるのではないかと産業界で期待されています。
活用例:機器の稼働データを5Gで吸い上げて活用
Q 5Gの活用イメージを教えてください
高速・大容量の5Gの特徴を生かしたアプリケーション、サービスが考えられています。例えば、大容量データの4K/8Kといった高精細な映像をスムーズにやり取りできるようになり、映像を使った質の高い体験が可能になると期待されています。また、低遅延の特徴を生かした自動運転の制御など、さまざまな分野での活用が見込まれています。
Q 企業での活用法にはどんなものがありますか
有線ネットワークやWi-Fiの敷設が困難な工場などでのIoT活用が進むと期待されます。例えば、製造ラインにカメラを設置。製造ラインを流れる製品の映像を5GでAIシステムに送り、不良品を画像判定します。温度や傾きを計測するセンサーを工場設備に設置すれば、5Gを介して設備の異常を検知したり、遠隔から工場内の機器を操作したりするといった使い方もできます。
また、工場や店舗、倉庫で導入が進んでいるのがクラウドカメラです。映像をクラウドに保存し、いつでもどこからでも現場状況を確認できます。5Gと組み合わせれば、クラウドへの映像保存がスムーズになるでしょう。
Q 5G活用に注意点はありますか
5Gに限らず、業務でネットワークを活用するにはセキュリティ対策が重要です。IoT機器が不正アクセスされデータが改ざんされるといったリスクもあります。一般にセンサーなどのIoT機器は長期間使われます。導入当初のセキュリティ対策が陳腐化したり、セキュリティ更新を怠ったりしてリスクが高いまま放置される恐れがあります。5G活用を検討するには、ネットワーク構築やセキュリティ対策に強いITサービス会社に相談するといいでしょう。
「社長、5Gを理解していただけましたか。うちの工場でも5Gを活用すれば製造工程のデジタル改革を促進できます」(総務兼IT担当者)
「5Gだけに、すごくグッドというわけだ」(社長)
「駄じゃれは結構ですので、ぜひ5G活用の検討を進めましょう。将来はオフィスと工場で高精細な映像を使ったコミュニケーションも可能になるはずです」
「それはいい。君がグーグー寝ていれば高精細な映像で分かるようになる」
執筆=山崎 俊明
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脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」