ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
聞き慣れない言葉が次々に登場するIT用語。IT初心者の社長にも理解できるように難解なITキーワードを解説する本連載。今回のテーマは「RPA」だ。
「社長、IT展示会の案内状を見ていたら、RPAが出るんですって。今、話題になっていますし、社長も一緒に見に行きませんか」(総務兼IT担当者)
「君、ばかにしちゃいかんよ。AKBやNMBなら知っておる。また新しいグループができたのか」(社長)
「違いますよ。アイドルグループのことではなく、ロボットのことですよ」
「何!?今度はロボットが歌って、踊るのか」
「ロボットがパソコンの入力作業などをやってくれるんです」
「歌って踊ってパソコンをやるって、どんなグループなんだ」
「歌と踊りは忘れてください。わが社のパソコン作業をロボットが代わりにやってくれるんですよ」
「ロボット用のイスを用意したほうがいいのか?もしかしてそのロボットは空も飛べたりするのか?」
「ロボットアニメ世代の社長が盛り上がる気持ちは分かりますが、RPAは人型ロボットではないんですよ」
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、データ入力などのパソコン操作を記録し、自動的に実行するソフトウエアです。人型ロボットのように、物理的な実体があるわけではありません。手順が明確な定型作業を効率化する手段として話題になっています。
Q RPAが注目される理由は?
これまで企業では、パソコンなどのオフィス機器を活用して事務作業を合理化してきました。RPAはさらにその効率化を進めるものです。データの入力など、人手で行っていたパソコン操作をソフトウエアに覚え込ませて、事務作業を自動的に処理するのです。
人手不足の今、定型的な事務作業をRPAに任せれば、人でなければできない商品・サービスの企画など創造的な業務に人材を割り当てられます。企業の競争力向上の切り札として注目を集めているのです。
RPAはまず金融機関で活用が進み始めました。金融機関の仕事は事務作業の割合が多く、事務コスト削減の効果が見えやすかったからです。今は製造業やサービス業など多様な業界での活用例が出ており、一気に注目を集めています。
Q RPAはどんな業務に使えますか?
例えば、2つのシステムが連携しておらず、人がデータをコピー&ペーストしているケースが多くあります。RPAを活用すれば、このようなパソコン操作を自動化して作業効率を大幅に高められます。
データ入力以外にも、複数の作業の組み合わせも自動化できます。例えば、取引先から送られてくる大量の見積もり依頼書をダウンロードした後、見積もりデータを入力し、取引先にメールで送信するといった事務作業も自動化できます。
今後、RPAの活用シーンは広がっていきそうです。最近話題のAI(人工知能)とRPAを組み合わせたソリューションがIT事業者から提供され始めました。多様な業務での活用が期待されています。
Q RPA活用の注意点を教えてください
現状、RPAはパソコン操作を記録して自動化するだけのものです。何でも自動化できるわけではありません。人があらかじめ作業手順のフローを作成して、RPAに作業を覚え込ませなければなりません。RPAが動き出した後も、必要に応じて作業手順を見直し、継続的に改善する必要があります。また、RPAを扱える人材の育成も不可欠です。
RPA活用を社内に広げるには、まず、定型業務が多い経理などの部門からスモールスタートし、効果を見極めながら他部門に広げる方法があります。効果を数値で表すなどすれば、各部門の協力も得やすくなるでしょう。
「社長、RPAについて理解していただけましたか」
「よく分かった。空は飛べないけど、仕事は飛ぶように速くなるということだな」
「さすが社長、うまい!」
「君、この名簿を整理しておいてくれたまえ」
「何ですか。この名簿の束は」
「わしが会長を務めるPTAの名簿じゃよ。面倒な名簿の整理もRPAで自動化できるんだろ。RPAを活用したPTA、略して“R・P・T・A”だ。便利な世の中になったもんだ」
「さすが社長、うまい!って、その“R・P・T・A”は私がやるんですか!?」
執筆=山崎 俊明
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