ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
次々に登場するIT用語に追いついていくのが大変。そんなIT初心者の社長にも理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は「AI(人工知能)」だ。
「社長、ITの展示会で知ったのですが、業務に利用できるAI(エーアイ)がどんどん出ているんですって。うちでも活用を検討しませんか」(総務兼IT担当者)
「ギクッ!?AI(愛)だって?なんで君がワシのなじみのクラブの愛ちゃんを知っているんだ。活用って、接待にでも使うつもりか。愛ちゃんは渡さんぞ」(社長)
「社長、クラブの愛ちゃんなんて知りませんよ。AIは人工知能のことです。AIを使って業務を効率化できるツールが登場し始めているんです」
「なんだ、人工知能のことか。ワシの知っている愛ちゃんは、クラブに出る前に経済記事を読んだりして、勉強家なんだ。愛ちゃんとAIちゃん、どっちが賢いか比べてみよう」
AIといえば、賢いコンピューターというイメージを持つ人もいるかもしれません。数年前には将棋や囲碁の名人と対戦し、AIが世界に名だたるプロ棋士に打ち勝ったニュースが話題になりました。利用者がAIスピーカーに呼び掛けるだけで天気や交通情報などを教えてくれます。いまやAIは研究開発の段階から商用サービスの段階に入り、中小企業でも活用できるほど身近な存在になっています。
Q ビジネスシーンではどんなAI活用法がありますか
企業規模にかかわらず、中小企業でも活用できるAIツールも増えてきました。例えば、来店客数の予測にAIを活用したり、画像認識で商品精算のレジを省力化したりと、現場業務をAIで支援できるようになりました。
オフィス業務でのAI活用も進んでいます。現在、オフィスのパソコン業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が注目されています。RPAはパソコン作業を自動化できるツールです。その導入の前に、AIを活用して社員のパソコン作業を見える化するAIツールが出てきました。社員がパソコン作業の何にどれだけ時間をかけているか、AIで自動分析できるのです。中小企業の生産性向上が叫ばれる中、AI活用は取って置きの手段になりつつあります。
Q 他にどんな業務にAIが使えますか
顧客からの問い合わせ対応でパソコンのチャットを利用する企業では、顧客対応にAIを活用して効率的な対応を可能にしています。頻度が高い問い合わせと回答を文書(テキスト)化してAIに登録。よくある質問はAIが対応し、回答が難しい質問は人のオペレーターが対応します。AIと人を組み合わせれば、きめ細かな顧客対応と業務効率化を促進できます。
Q AI活用に注意点はありますか
技術が進歩しているとはいえ、AIは万能ではありません。まず自社の業務の中で、何をAIに手伝わせるのか、何を人がこなすのかを検討します。AIにすべてを期待し過ぎると、人のチェック作業が増え、かえって業務効率が下がる可能性があります。
AIの導入後も継続的に改善させる必要があります。顧客応対の場合、学習によってAIの正答率を高めたり、新製品に合わせて質問・回答の項目を増やしたりするなど、ビジネスの変化に応じてAIを成長させるのです。AIの活用で失敗しないためには、どんなAIツールを導入すればいいのか。事前の検証・評価を含め、専門家のサポートは必須といえます。
「社長、AIのこと、何となく理解していただけましたか。わが社も単純な業務はAIやRPAを活用し、難しい創造的な業務のみ社員がやるようになったら、生産性がもっと上がると思います」(総務兼IT担当者)
「なるほど。君ももっと難しい仕事に挑戦しないとな」
「ギクッ。それより、もうAIと愛ちゃんを混同しないでくださいね。AIがもっと世の中に浸透したら、愛ちゃんのような接客の仕事は将来、どうなりますかね」
「残るに決まっているじゃないか。愛ちゃんを相手にお酒を飲むから楽しいんじゃないか。AI時代にこそ、愛が大切だ。我が愛妻の愛はもうないからな」
「社長、愛想笑いしかできません……」
執筆=山崎 俊明
【MT】
脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」