ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
ビジネスにITが欠かせないことは分かっているが、どうにも難解なIT用語。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、オフィスの通信環境を大きく変えると期待される「Wi-Fi 6(ワイファイ シックス)」だ。
「社長、オフィスにWi-Fiを入れませんか。最新規格のWi-Fi 6はすごいらしいですよ」(総務兼IT担当者)
「ロト6は宝くじ売り場でよく買うが、そのワイ・シックスは当たるのかね」(社長)
「宝くじではありませんよ。Wi-Fiは、当社でもオフィスで使っているノートパソコンやタブレットなどをつなぐ無線通信の規格のことです。最新規格のWi-Fi 6に変えれば、多くの社員が同時にWi-Fiを利用しても、快適にインターネットが使えるようになります」
「よく分からんが、みんなの仕事運が上がるなら考えてみるか」
オフィスではデスクトップパソコンやプリンターなどをケーブルで接続する有線LANのほか、ケーブルを使わない無線LAN(Wi-Fi)環境も一般的に利用されています。近年の薄型ノートパソコンの中には有線LANケーブルの差し込み口のないタイプもあり、オフィスではWi-Fi環境が欠かせなくなっているのです。そのWi-Fiの最新規格が「Wi-Fi 6」で、通信速度の高速化や高機能化が進んでいます。
高速通信、多端末同時接続が可能に。
※インターネット回線が低速な場合、Wi-Fi 6を導入しても、通信速度はその回線の上限となる。Wi-Fi 6の機能を使うためには、通信機器につなぐパソコンなどもWi-Fi 6対応が必須
Q Wi-Fi 6とは何ですか
これまでWi-Fiの通信規格は米国の標準化組織で決められ、通信速度などの規格の進化に応じてIEEE802.11bや11a、11n、11ac、11axといった名称が付与されていました。通信技術に詳しい専門家は別にして、こうした名称ではどれが新しい規格なのか分かりません。そこでWi-Fiの業界団体では、数年前から番号で表記することを推奨しています。11acはWi-Fi 5、最新規格の11axはWi-Fi 6と呼ばれています。
Q Wi-Fi 6の特徴を教えてください
規格上の最大通信速度は9.6Gbps(ギガビット/秒)となっています。従来のWi-Fi5までの通信速度に比べて大幅な高速化が可能です。また、同時接続数も増え、数十端末の同時利用が可能です(通信速度や同時接続数はオフィスの通信環境によって低下する場合があります)。ちなみに、Wi-Fi 6を利用する場合、ノートパソコンなどの端末側もWi-Fi 6の規格に対応する必要があります。
Q Wi-Fi 6で何が変わるの?
テレワークでオンライン会議を開催する場合、Wi-Fiが高速であれば動画が途切れにくくなったり、サイズが大きい資料の共有が快適にできたりします。社内・社外共にコミュニケーションが快適になります。
また、最近は営業活動も対面からオンライン形式で行う機会が増えています。顧客・取引先へのプレゼンテーションがスムーズになるなど、ニューノーマル時代のビジネスに効果的です。
Q Wi-Fi 6活用の注意点はありますか
オンライン会議やオンライン営業での通信の快適さは、オフィスのWi-Fi環境だけでなく、インターネット接続環境にも依存します。オフィスのアクセス回線の見直しが必要な場合もあります。また、Wi-Fiではセキュリティ対策が欠かせません。許可されたユーザー、端末のみ接続できる認証の設定などを含め、通信環境に精通したITサービス会社に相談するといいでしょう。
「社長、Wi-Fi 6を導入して生産性を高めましょう。宝くじと違ってハズレはありません」(総務兼IT担当者)
「君の提案は、的ハズレが多いから心配なんだ。ワシの第6感では今回もハズレそうじゃ」(社長)
「社長、そんなこと言って、またWi-Fiの導入を先延ばしするつもりですか」
「宝くじが当たればなあ」
「ロクでもないことを言わずにWi-Fi 6を導入しましょう」
執筆=山崎 俊明
【MT】
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