脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第16回) 「IP電話」はダブルでおいしい?

音声通話 IT・テクノロジー資金・経費

公開日:2019.01.23

今年こそITを勉強しようと誓ったものの、三日坊主で終わってしまった……。そんなIT初心者の社長にも理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は通話コストの削減にも効果が期待できる「IP電話」だ。

「社長、地方の新しい取引先に電話をかける機会が増えています。電話代がかなりかかるので、そろそろIP(アイピー)電話に切り替えませんか」(総務兼IT担当者)

「何?アイピー……」

「IP電話はインターネットを使った電話のことです。今使っている固定電話に比べて、通話料金が安くなる場合もあるんです」

「ん?電話代が安くなるのか?それを早く言いなさい。コスト削減になるなら検討しよう。なんせわが社の予算はピーピーだからな」

インターネットの仕組みを利用するIP電話

 ホームページで企業の情報を発信したり、顧客・取引先とメールをやり取りしたりするなど、ビジネスでインターネットの利用が不可欠になっています。このインターネットや通信事業者のネットワークを使って、データ通信だけでなく音声通信も行うのがIP電話です。

 IPはインターネット・プロトコルの略で、IP電話はインターネット回線や通信事業者のIPネットワークを使った電話のことです。インターネット接続用のネットワーク機器(ルーター)に電話機やビジネスフォン装置を接続して使います。法人向けのIP電話サービスが提供されており、通信コストの削減やコミュニケーションの活性化も期待できます。

Q IP電話にはどのようなサービスがありますか。

 インターネット接続事業者が050から始まる電話番号のサービスを提供するほか、通信事業者が光ネットワークを利用する「ひかり電話」などの名称でIP電話サービスを提供しています。ひかり電話の場合、従来の固定電話の電話番号をそのまま引き継げる場合もあります。

Q IP電話のメリットを教えてください

 通話コストの削減が見込めます。ほとんどのIP電話は距離に関係なく、通話時間などに応じた全国一律の料金体系を採用しています。長距離電話が多い企業は、通話コストの削減が見込めるでしょう。また、同一サービスプロバイダーの加入者同士の通話料が無料になるIP電話サービスもあります。

 さらに、光ネットワークを利用するIP電話は、高品質な通話が行えます。IP電話会議装置を導入すれば、ストレスなく拠点間の音声会議が行えるので、社内や顧客とのコミュニケーション活性化に役立てられます。

Q IP電話の利用に注意点はありますか

 電話回線を利用する固定電話と異なり(※)、IP電話は他のIT機器と同様に停電時に使用できません。バックアップの電源装置を取り付けたほうがよいでしょう。また、050のIP電話の場合、緊急通報(110番、119番など)が利用できなかったり、契約者側の契約内容によってはフリーダイヤルなどのサービスが使えなかったりします。停電時や緊急通報などは携帯電話で代替するのか、緊急通報も対応しているIP電話サービスを選ぶのか、事前の検討が必要です。
※電源が必要な電話機を除く

IP電話で幸せに!?

「社長、IP電話のメリットを理解していただけましたか」(総務兼IT担当者)

「電話代が安くなって、通話も高品質ということなら、ダブルでおいしいな。君が拠点に出張していても、電話代を気にせずいつでも電話会議で指示が出せる。高品質なら聞き取りにくいなんてこともないだろ」

「ぎくっ、それはまた別の機会に考えるとして、まずはIP電話への切り替えを。わが社はすでにインターネット接続用に光アクセス回線を導入しているので、比較的簡単にIP電話に切り替えられます」

「IPで会社がハッピーになるなら、切り替えてみるか」

執筆=山崎 俊明

【MT】

あわせて読みたい記事

連載バックナンバー

脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」