ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
略語ばかりでどんな意味なのか、何度聞いても分かりにくいIT用語。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、ビジネスのキーワードにもなっている「DX(デジタルトラスフォーメーション)」だ。
「社長、わが社もDX(ディーエックス)に取り組みませんか。競合他社に負けないよう新しいビジネスをつくりましょう」(総務兼IT担当者)
「何、デラックスだと。社長室が古くなったので、豪華にしてくれるのか。ワシも他社に比べて見劣りすると考えていたところなんだ」(社長)
「デラックスではありませんよ。DXはデジタルトランスフォーメーションの略語です。デジタル技術を使ってビジネスを革新するといった意味で使うんです」
「フォーメーション?組織変更でビジネスがデラックスになるなら考えてみるか」
DXという言葉が一躍注目されるようになったのは2018年。経済産業省が「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」を発表しました。「全社的なデータ活用ができない既存システムの課題を解決しなければ、デジタル技術の活用による新たなビジネスモデルの創出(DX)はおろか、2025年以降は年間で最大12兆円もの経済損失が生じる可能性がある」と警鐘を鳴らしたのです。
DXレポートに記載された2025年の崖
Q DXとは何ですか
DXは、「デジタル変革」とよく言い換えられます。デジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの創出や、市場の変化に合わせたビジネスモデルの改変を指します。
デジタルトランスフォーメーションといっても、フォーメーション変更(組織変更)のことではありません。
Q DXの具体例を教えてください
DXは、デジタル技術を活用して業務プロセスや仕事のやり方を変えます。DXを進めるデジタル技術には、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、クラウドサービス、モバイル通信などがあります。
例えば工場の生産ラインの検品を人手で行っている場合、AIの画像認識技術などを活用して検品作業を自動化すれば、現場業務の効率化が可能です。また、IoTのセンサー技術や、センサーで収集したデータを処理するクラウドサービス、データをやり取りする通信技術などを組み合わせれば、製品の販売後に保守・メンテナンスで利益を上げるビジネスモデルへの変革も可能です。
Q DXを進める際の注意点はありますか
AIやIoTなどの先端技術を自社の業務に適用したり、データを活用したりするには、デジタル技術やデータ分析に精通した専門家の関与が必要になります。また、データが発生する現場とデータを分析・処理するクラウドサービスを結ぶ通信網についても、専門知識が必要です。セキュリティ対策も欠かせません。ITの専門家に相談するといいでしょう。
「社長、DXがどんなものか理解していただけましたか。もう、デラックスなんて言わないでくださいね」(総務兼IT担当者)
「ますます頭がこんがらがってきた。君の頭脳で本当に理解しているのかね」(社長)
「デジタルの難しいところは専門家の力を借りて、私たちはライバルに負けないような新しい事業を考えましょう」
「腹が減っては戦はできん。まずはデラックス弁当を食べながら、どんな事業なら勝てるのか、考えるとしよう」
執筆=山崎 俊明
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脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」