ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
経営とITは切っても切り離せないのは分かっているが、ちょっと聞いただけではなかなか理解できないのがIT用語。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は「見える化」を紹介したい。何かしらすでに行っている企業も多いはずだ。
「社長、新人も入りますし、うちも業務の見える化をしましょう」(総務兼IT担当者)
「どういうことだ? 業務部の席がどこにあるかは分かるぞ。席替えでもするのか」(社長)
「座席とは関係ありません。見える化は、業務状況を客観的に捉えられるようにして、課題を洗い出せる環境をつくることです。業務を見える化しておけば新人の成長も早いと思います」
「それは確かに大切じゃな。ところで、君の仕事がまったく見える化されていないから、そこから始めてくれ」
業務の見える化は、属人的になっていたり、仕組みが整っていなかったりしてブラックボックスになっているものを客観的に把握できるようにします。例えば、客観的な数値やフロー図があれば、日常業務で普段は気づきにくい課題や問題点を洗い出せます。改善の糸口も見つかり、生産性向上につなげられます。また、「あの人にしか分からないブラックボックス業務」が身近にないでしょうか。そういった業務も見える化すれば、引き継ぎや新人教育を効率化できる場合があります。
Q 見える化の意義は何でしょうか
恒常的な人手不足、デジタルを活用した業務プロセス改革など企業ではさまざまな課題を抱えています。経営層が従業員にただ課題解決を呼びかけても、何から手を付け、どうしたらいいのか分かりません。見える化を通じて各部門が抱える課題を明らかにすれば、取り組むべき改善策の方向性を示せます。具体的な施策も的を射たものにできます。
Q 見える化を進める上で注意点はありますか
業務を見える化した後、どのように改善策を講じ、実行していくかが重要です。ITの活用は非常に効果的です。例えば、営業部門でシステムを用いて営業の進捗状況を見える化すれば、目標達成に向けた改善策を立案、実行していきやすくなります。
Q 見える化で働き方改革も可能ですか
もちろん可能です。人事部門はテレワークの導入で従業員の勤怠状況が把握しにくくなっています。テレワークで利用するパソコンの操作ログなどをもとに勤務状況を見える化すれば、長時間労働や時間外労働を抑制する施策を打ちやすくなります。
また、伝票入力などパソコンの定型作業を見える化することも効果的です。見える化できれば自動化も可能になります。RPAでパソコンの定型作業を自動化すれば、働き方改革にもつながります。
ただ、ITの活用は自社に合った形で進めるべきです。どんなツールや手順が最適なのかをIT事業者に相談するといいでしょう。
「社長、見える化の大切さを理解していただけましたか。もう席替えなんて言わないでくださいね」(総務兼IT担当者)
「それは分かったが、見つけた課題の改善策は一体、誰が考えるんだ」(社長)
「もちろんIT担当でもある私の仕事です。任せてください」
「見える化は君に任せてわしは消えるか、帰るぞ」
「社長の承認が必要な書類がまだこんなに……」
執筆=山崎 俊明
【MT】
脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」