ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
一度聞いただけではなかなか理解できないIT用語。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、聞くと難しそうだが、覚えるとパソコン操作が楽になる「マクロ」だ。
「社長、今期の売り上げ予想の資料を作りましたので、目を通してもらえませんか」(総務兼IT担当者)
「何だ。前期から10%も減っているじゃないか。計算間違いでもしているんじゃないのか」(社長)
「お言葉ですが、表計算ソフトのマクロ機能を使っているので、計算間違いではありません。社長が使っているファイルでもマクロを使っていますよ」
「マクロか、マクラか知らないが、こんな数字では枕を高くして眠れないじゃないか」
マクロは、ワープロソフトの「Word」や表計算ソフトの「Excel」などを使って文書を作成・編集する際、パソコン操作を簡略化する機能です。例えば文書作成でいつも行う操作手順をマクロとしてWordに記録(登録)しておけば、操作が楽に行えます。ただ、マクロの利用には注意が必要です。マクロのプログラムを悪用したコンピューターウイルスが出回っているからです。セキュリティ対策が欠かせません。
マクロによるパソコン操作の自動化の例
Q マクロの使い方を教えてください
WordやExcelを使って文書を作成・編集する際、面倒な操作手順をマクロとして作成・記録しておけば、操作を自動化できます。例えば、Word文書の指定した漢字にふりがなを振る、年月日の西暦を和暦にする、Excelの文字のサイズやグラフ作成といったさまざまな操作を記録できます。
Q マクロの注意点はありますか
マクロは使いこなせば便利なものの、セキュリティ上の懸念があります。そのため、パソコン操作でどうしてもマクロが必要という人以外は、マクロ機能を利用しない選択肢もあります。ただ、マクロそのものに問題があるわけではなく、マクロを悪用する攻撃者が後を絶たないのです。
パソコンの操作手順をプログラミングするマクロは、攻撃者にとって悪用しやすく、以前から「マクロウイルス」と呼ばれるウイルスが出現していました。最近は、「Emotet」(エモテット)と呼ばれるウイルスがあり、社内システムに侵入して情報を盗み出したり、攻撃メールに添付してウイルス感染させたりします。
Q 攻撃の手口と対策を教えてください
Emotet攻撃に、取引先などからの正規のメールを装う手口があります。悪意のあるマクロ(プログラム)を埋め込んだWord文書ファイルをメールに添付します。マクロには外部のWebサイトにアクセスして不正プログラムをダウンロードする…といった命令が書かれています。不用意に添付ファイルを開いてURLをクリックすると、パソコンがウイルス感染してしまうのです。
対策としては、不審なメールの添付ファイルを開かない、URLをクリックしないことです。また、メールに添付されたWordやExcelファイルに対して、マクロやセキュリティの警告が出た場合、「マクロを有効にする」といったボタンを安易にクリックしないようにしましょう。
さらに、パソコンのOSやアプリケーション、ウイルス対策ソフトなどを最新の状態にするといったセキュリティ対策が不可欠です。攻撃の手口は複雑化しています。パソコンのセキュリティ対策を丸ごと見てくれるサービスもあります。専門家に相談するといいでしょう。
「社長、マクロの便利さと、セキュリティの注意点を分かっていただけましたか」(総務兼IT担当者)
「マクロは分からんが、お先マックロにならんように、売り上げを増やす算段はできてるんだろうな」
「それは……。そうそう、マクロの記録ではありませんが、形状記憶型のマクラもあるみたいですよ。これなら社長の頭の形にぴったりになりますし、ぐっすり休めるのではないですか」
「マクラの心配はいいから、みんなに喝を食らわしてくるぞ!今期の売り上げを一気にまくろう!」
執筆=山崎 俊明
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脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」