脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第50回) (ToT)新しい顔文字「IoT」

IoT・インフラ

公開日:2022.02.09

 略語ばかりで一体、何のことか想像もつかないIT用語。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、またまた略語で気が引けるが、経営課題を解決するかもしれない「IoT(アイオーティー)」だ。

「社長、うちの工場にそろそろIoTを導入しませんか」(総務兼IT担当者)

「あいおーてぃー?工場にあいてぃーはもう入れているじゃないか。また、何かたくらんでいるな」(社長)

「違いますよ。ITと言葉は似ていますが、IoTはモノのインターネットのことです。工場の生産ラインにIoTのセンサーを入れれば不良品も見つけやすくなり、生産性も上がります」

「ITと何が違うのかよく分からんが、不良品が減るなら考えてもいいぞ」

製造分野などで利用が広がるIoT

 IoT(Internet of Things)は「モノのインターネット」と呼ばれるセンサー活用の仕組みです。ネットワークを介した機器制御やメンテナンス、遠隔監視などで生産性を向上させます。

 例えば産業機械のメーカーが機器にIoTセンサーを取り付けて遠隔からメンテナンスすれば、サービス拡大による売り上げアップも期待できます。製造分野のほかサービス業や農業、漁業などにもIoTが利用されています。

IoTを活用すれば遠隔監視が可能に

Q IoTの活用例を教えてください

 工場の生産ラインにIoTを導入するケースを考えてみましょう。IoTカメラと不良品判定システムを活用すれば、生産ラインを流れる不良品を簡単に見つけられるようになります。また、工場の配管などに温度センサーを取り付けて高温などの異常時にアラームを鳴らすといった使い方も可能です。

 工場の生産ラインの可視化や配管の温度管理は以前から行われていましたが、センサーからの情報をネットワーク(インターネット)経由で遠隔監視できるのがIoTの特徴です。遠隔監視のニーズが高まる中、IoTの出番はますます増えそうです。

Q 中小企業もIoTを活用できるのでしょうか

 企業規模や業種に関係なくIoTの活用場面はさまざまです。特に人手不足や技能継承などの課題を抱える中小企業にこそ、IoTの活用が期待されます。例えば工場の生産ラインの検品の場合、人による目視が減るので人員配置を効率化できます。

 また、熟練社員に頼っていた不良品の検出作業も、熟練の勘が見える化されるので、技術継承に効果があります。

Q IoT導入に注意点はありますか

 まず、セキュリティに留意しましょう。工場内に多数のセンサーやカメラなどのIoT機器を設置する場合、セキュリティ対策が欠かせません。IoT機器のセキュリティの不備から不正アクセスやデータの改ざん・盗聴、サービス妨害などを受ける恐れもあります。IoT機器へのアクセス制御や異常検知などの仕組みは不可欠です。IoT導入時には専門的な知識・技術が必要になるため、IoTに詳しい事業者に相談するといいでしょう。

IoTに愛は要らない!?

「社長、IoTを理解していただけましたか。IoTで生産ラインの不良品の検知率が上がれば、工場の従業員の仕事も楽になります」(総務兼IT担当者)

「工場で働く人の業務が改善するのは大賛成だが、IoTの導入費用はどう工面するのかね」(社長)

「そこは社長のへそくりへの愛(I)を(o)手放して(T)いただいて…」

「業績アップに愛は不要というわけか(ToT)」

執筆=山崎 俊明

【MT】

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