ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」(第85回) 「ゴルフ×健康経営」で企業の生産性を高めよう

スポーツ

公開日:2022.08.26

 昨今、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営®」が注目されています。経済産業省が東京証券取引所と共同で上場企業から認定する「健康経営銘柄」や、非上場企業から認定し表彰する「健康経営優良法人認定制度」などに選ばれた企業も増えているようです。
※「健康経営®」は、「NPO法人健康経営研究会」の登録商標です。

 自治体でも、こうした健康経営に取り組む企業を後押ししてくれます。私の会社がある神奈川県では、社内に「CHO(Chief Health Officer:健康管理最高責任者)」を設置する中小企業が「CHO構想推進事業所」として登録できる制度を設け、さまざまな支援策を打ち出しています。横浜市では事業所単位で「横浜健康経営認証事業所」として認証する制度があり、こちらも認証を取得すると、各種メリットが受けられるようになります。

 このように、国や自治体を上げて企業の健康経営を推進する動きが見られますが、実は、この健康経営を実践するツールとしてゴルフは最適なのです。今回は、ゴルフがどのように健康経営に有効なのかをお伝えします。

ゴルフで社内コミュニケーションアップ

 ゴルフが健康に作用する効果については、本コラムでも幾度となくお伝えしている通りです。それだけではなく、ゴルフは社交性を育み、社会人力を向上させる人材育成ツールとしても効果的です。

 ここで真っ先に挙げたいのが、ゴルフの社交性です。ゴルフは腕前に関係なく、上級者も初心者も一緒に楽しめるスポーツですから、年齢や性別に関係なく交友が可能です。こうした特徴により、幅広い層を対象としたビジネスコミュニケーションツールとしても機能します。

 ビジネスコミュニケーションの場として飲食による接待はせいぜい2~3時間です。一方、ゴルフはほぼ終日、相手と行動をともにできます。屋外という広い空間の中で、ある程度の距離を保ちつつ、取引先や外部の協力者と会話を交わし、お互いの関係をより親密にできます。

 ゴルフはまた、社内コミュニティツールとしても有効です。特にテレワークなど新しい働き方を推進している会社なら、直接会う機会をとても貴重だと考えるでしょう。職場の飲み会を遠慮したいという社員であっても、健康的で楽しいゴルフコンペなら参加したい!という人は少なくないのではないでしょうか。

 多くの業務は独りですべてを完結できません。常に誰かとの連携や協力、あるいはバックアップが不可欠です。社内組織を円滑にして業務を効率的に進めるためのコミュニケーションツールとしてゴルフはとても効果的です。仲間と一緒に目的意識を持って体を動かしたり汗をかいたりすれば、メンタルヘルスケアの一助としての期待もできます。

ゴルフの人材育成効果で社会人力アップ

 コミュニケーション面に続いて、人材育成の面で4つの効能を挙げてみましょう。

1.ゴルフは「主体性」を養えるスポーツ
 野球やテニスといったスポーツは、対戦する「相手」の強さで結果が左右される場合があります。これに対してゴルフの結果は、すべて「自分」によるものです。コースに出るために体調を整え、当日の集中力を高め、自分で判断し、スコアメークを実行するゴルフは自己責任のスポーツです。「誰か」のせいにはできません。ゴルフにおいてさまざまな難所やトラブルを乗り越える最初の一歩は、自分を信じることから始まるのですが、ビジネスも同様です。

2.ゴルフは「協調性」が求められるスポーツ
 同伴プレーヤー同士、気持ちよくゴルフを楽しむには「協調性」が求められます。そのベースは「気配り」です。ゴルフは「協調性」と「気配り」を養えるスポーツといえます。同伴者がよいプレーをすれば「ナイスショット!」と声をかけます。バンカーショットの後は、後続組に配慮してバンカーをならしますこうした行為はビジネスにおいても「他人ファースト」の精神を養えます。

3.ゴルフは「決断力」が求められるスポーツ
 ゴルフでは、明確な決断をせずに曖昧な意識で打ったショットは、ミスする確率がグンと上がります。周到に念入りに準備をしていても、タイミングを逃すと仕事の成功確率は低くなりますが、それと同じです。やると決めたら、迷わず力まず振り抜くのみ。ゴルフを通じて、ビジネスでも大切な「決断力」を高められます。

4.ゴルフは「目標達成のプロセス」を学べるスポーツ
 コースを攻略し、目標スコアで上がるためのプロセスは、ビジネスにも通じるでしょう。思うようにならない自然を相手に先を読み、予測をつけ、手堅くいくのか勝負に出るのか。どこへ飛ばすか転がすか、どの番手のゴルフクラブを選ぶのが正解かといった具合に、ゴルフを通じて目標達成のプロセスを学べます。

 このように、従業員の健康増進、組織のコミュニケーション強化、人材育成を同時に図れるのがゴルフのよいところです。社内研修の一環として、コースラウンドを通じてこれらを学ぶ研修を企画されても面白いと思います。

健康経営を企業の力の源にしよう

 私のゴルフスクールは「健康ゴルフ」がコンセプトです。ゴルフの技術指導に加え、運動プログラムによる姿勢改善と体幹強化で、スクールに通う皆さんの上達と健康の維持増進を図ってきました。「故障せずに長くゴルフを楽しみたいからこのスクールに入会した」というお客さまの声は、これらを理解し、評価してくださっているのだと思います。とてもありがたいお言葉です。

 健康経営も同じではないでしょうか。健康経営の目的は、持続的な事業発展のために、経営資産の一つである従業員の健康を意識して能力を最大限に発揮させ、企業の生産性を高めること。「企業の生産性を高めて地域社会にもっと貢献したいから、従業員を健康にする」……。この図式さえ見失わなければ、健康経営は企業にとって大きな意味があるでしょう。

 私が会長を務める(一社)日本健康ゴルフ推進機構(JHGP)では、ゴルフによる健康経営を啓発、支援するプラットホーム「ゴルフde健康経営コンソーシアム」を、2022年7月に立ち上げ、その普及に努めています。例えば、具体的な取り組みとして、ゴルフのパフォーマンス向上に特化した展示会「第1回ゴルフパフォーマンスコンベンション」(2022年7月開催)で、「ゴルフで実践!健康経営~企業の生産性を高めるゴルフのチカラ」と題したセミナーを実施しました。ゴルフによる健康経営で企業の生産性を高め、日本を元気にしたいと思います。

執筆=小森 剛(ゴルフハウス湘南)

有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。

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