ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
私が主管するゴルフスクールでは、ゴルフ合宿やゴルフツアーを定期的に開催しています。合宿やツアーでは、2日間もしくは3日間連続でラウンドしますが、すべてのラウンドで調子良くプレーできるという人はほとんどいません。参加者の多くは、1日目より2日目、3日目と日を追って調子が悪くなります。その要因は、見るからに「疲れ」によるもの。本人に自覚はなくても、疲労によるパフォーマンスの低下が、調子の悪さにつながっています。さて、こうしたフィジカルの問題で本来の実力が発揮できないときは、どう克服したらいいでしょうか。
ゴルフの調子を下げてしまう多くの原因は、疲労で下肢の踏ん張りが利かず、スイングが不安定になるからです。フィジカルの問題で本来の実力が発揮できなくなることは、通常のレッスンでも起こります。
ゴルフスクールに通われている現役ビジネスパーソンは、平日の夜か土日のレッスンにお越しになる場合がほとんどですが、平日夜のレッスンと、土日のレッスンとでは、やはり土日の方が動きは軽やかで調子が良さそうです。平日夜にお越しになる方は、日中オフィスで仕事をして、肩や背中がパンパンに張っている状態。準備運動をいつも以上に念入りに行わないと、肩甲骨の可動域が制限されてしまい、ゴルフに必要な体の捻転が十分に行えず、飛距離不足やボールが曲がるといった症状が現れます。
仕事が立て込んでいて疲れがたまっているときと、十分な休息が取れているときとでは仕事の効率や結果に明らかな差がありますが、それと似たようなことといえるでしょう。疲労は、本人の知らないうちに自身の運動パフォーマンスを低下させ、ゴルフにおいてもミスショットが出やすい状況をつくり出す、厄介な存在なのです。
スポーツには「思考と感覚とのズレ」という現象があります。子どもの運動会で転んでしまうお父さんを例に説明しましょう。
子どもの運動会で派手に転んでしまうお父さんは、学生の頃に運動をされていて、走ることに自信があるというケースが多いです。若い頃に速く走れた人は、「速く走れる」という記憶が残っています。しかし現在は、日ごろの運動不足や中年太りが原因で動きづらく、実は「速く走れない」のです。頭の中では「速く走れる」という記憶があるため、脳は体に速く走るよう命令しますが、体が付いていかないために足がもつれて転んでしまうのです。これが「思考と感覚とのズレ」です。
このように、速く走ろうという「思考」に対し、実際には速く走れないということを「感覚」として捉えられていない、ということはよくあります。ゴルフスイングも、フィジカルのコンディションが良好で、ベストスイングができるときはよいのですが、そうではないコンディションのときでも、ベストスイングの記憶があるため、そのスイングをしようとします。ところが体はそれを実行できる状態になく、ミスショットを生んでしまうのです。
ゴルフも運動会もコンディションを整え、全力を出せる状態にすることがベストです。しかし、疲れがたまっているときなど、いくらコンディショニングを施しても、万全の状態にはならないことがあります。
そんなときは、「思考と感覚とのズレ」という現象があると理解し、今の体力や調子で可能な範囲のプレーを心掛けることに挑戦してみてください。例えば、調子の良いときに140ヤードを7番アイアンで打つ人は、6番を持って軽く振る。ドライバーで230ヤード飛ばせる人は、200ヤード飛べばよいと割り切って軽く振るなどです。
つまり、「力相応」に徹することが大切なのです。調子が良いときのスイングを10とするなら、疲れているときは6~7割のスイングに修正するわけです。
「思考と感覚とのズレ」に気付いて「力相応」のプレーに徹することは、賢いゴルフをする第一歩といえるでしょう。疲れの度合いに応じたゴルフが身に付けば、いずれ、日をまたぐ長いラウンドだろうと最後まで戦えるようになります。
ビジネスにおいても「力相応」は大切なキーワードです。背伸びをしたり、自分の力を過信したり、無理をしている状態で仕事に挑んでも、決してうまくいきません。無理をすると、自信のないことや確信の持てないことまでやろうとしてしまいます。まずは、今の自分の力でできる範囲でベストを尽くすようにしましょう。
力相応にベストを尽くし、それを地道にやり続ければ、できる範囲は広がっていきます。どんな逆境に置かれても大崩れしない地力が付いてきたら、大きな成長といえます。小さな仕事をきちんとこなし続けられる人が、いつか大きな仕事をも成し遂げられるのだと私は思います。
執筆=小森 剛(ゴルフハウス湘南)
有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。
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ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」