ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
厚生労働省の「平成28年 国民生活基礎調査の概況」によると、日常生活で自覚している体の不調について、男性の第1位は腰痛、第2位が肩こり。女性の第1位が肩こり、第2位が腰痛です。ゴルフをしていて肩こりになったという人はまずいないと思いますが、肩こりだからゴルフがなかなか上達しないという人は少なからずいます。実は、肩こりの原因の多くがゴルフの上達を妨げる阻害要素なのです。肩こりが解消すれば、ゴルフの上達にもつながるということになります。そこで今回は、肩こりについて考えてみましょう。
肩こり解消は姿勢から。首と肩の柔軟性を高めましょう
肩こりは目や手先を酷使する細かな作業を長時間する人に多く、以下のような原因が考えられます。
・姿勢の崩れ
・運動不足
・血行不良
・眼精疲労
・ストレス
肩こりの原因の中でも特に「姿勢の崩れ」は、ゴルフにも悪影響を及ぼします。より安定したゴルフスイングを身に付けるには「姿勢を正し、体のバランスを整えることが不可欠です」と、過去の連載で幾度となく述べてきました。
姿勢が崩れてしまう理由の1つに、人体の大きな特徴である「頭が大きい」点が挙げられます。では、人間の頭の重さはどれくらいだと思いますか?
体重が60kgの人であれば5~6kg、体重の約8分の1から10分の1といわれています。これは11~13ポンドのボーリングのボールとほぼ同じ重さになります。500mlのペットボトルなら10~12本分に相当します。こんなに重たいモノを首で支えているわけですから、首に大きな負担がかかるのもうなずけるでしょう。
欧米の人たちと比べると、日本人は頭が大きく、かつ首から肩周辺の骨格がきゃしゃなため、肩こりになりやすいといわれています。日本では今、交通機関をはじめ生活がますます便利になっています。その半面、運動不足になり、かつパソコンやスマホなどの普及で前かがみの姿勢を取ることが増えています。こうしたことから、重たい頭を支えるバランスが悪くなり、姿勢が崩れやすくなっているのです。
肩こりが発端の姿勢の崩れについてはいくつかパターンがあります。背中が丸くなり頭が前に出る「猫背」や、両肩が前に出て胸が狭まる「巻き肩」です。こうした姿勢を取ってしまう人は、肩甲骨周辺の筋肉が硬く、ゴルフスイングの際、体の捻転不足で飛距離が出ません。もしくは無理に飛ばそうとしてバランスが崩れ、ショットが不安定になる傾向にあります。
ゴルフ雑誌のレッスン記事などで、「バックスイングで肩を回せ」という記述をよく見かけます。しかし、肩は胸郭の一部であって回すことはできません。この表現が意図することは、肩甲骨が背骨から遠ざかる方向に動くこと(水平外転)です。猫背や巻き肩の人は、肩甲骨を動かす背中の筋肉(主に僧帽筋)が常時引っ張られて硬くなっているので、肩甲骨を十分に動かすことができず、スイングに必要な体の捻転不足となるのです。
また、首から肩にかけての筋肉が硬い人は、飛ばないだけでなく「ヘッドアップ」もしやすくなります。安定して飛ばすには、頭の位置や顔の向き、目線を安定させつつ、ボディーをより素早く回旋させる必要があります。それには首が柔らかくなければなりません。首の柔軟性が足りないと体と一緒に首も回ってしまい、ダフりやトップなどのミスが出やすくなります。
姿勢を正し、首や肩の柔軟性を高めることが、ゴルフのあらゆるミスを軽減します。と同時に、飛距離を伸ばし、肩こりをも解消させることにつながるというわけです。1人の練習ではなかなか気付きにくいかも知れませんが、良いゴルフコーチなら、バラつきのあるスイングに対して、必要な柔軟性を指摘するでしょう。誰かに姿勢を見てもらう、というのはゴルフ上達の早道です。
首・肩周辺の柔軟性を高めるには、ヨガやピラティスなどが効果的です。しかし、レッスンに通う時間が取れないような忙しいビジネスパーソンにオススメなのは、「楽体(ラクダ)」というゴムチューブのような運動補助器具を使った首と肩の運動です。私が主管するゴルフスクールで取り入れている運動プログラム「ゴルフフィットネス」でも運動種目の1つとして採用しています。正しいやり方を身に付ければ、インストラクターの指導や介助がなくても比較的安全に、かつ運動が苦手の人でも手軽に首と肩の運動ができるようになります。
運動補助器具「楽体(ラクダ)」。他のゴムチューブ製品でも代用できる
●楽体(ラクダ)による首の回旋運動
楽体ボールを首の後ろに当て、左右に引っ張りながらゆっくり首を回す
背筋は伸ばす。力まず頭の重さで動かす。斜めに掛けても同じようにするのがポイント
●楽体(ラクダ)による肩の水平外転運動
ゴムの収縮を利用して蝶が羽ばたくイメージで腕を前後に動かす。できるだけ楽体が背中に触れないように
この運動は、ヨガスタジオやフィットネスクラブなどに通わなくても、自宅やオフィスで簡単にできるため、忙しいビジネスパーソンに持ってこいです。ゴルフのプレー前はもちろん、オフィスの引き出しに入れておき、仕事の合間に行うとよいでしょう。楽体をお持ちでない方は、他のゴムチューブ製品でも代用できます。
運動により、肩こりの「姿勢の崩れ」以外の原因も解消させることができます。まず血流が改善します。筋肉は「マッスルポンプ」といわれ、血液を送るポンプの役割も果たしています。それ故、運動によって筋肉を刺激し、全身の血流を良くすることができます。
また、ストレス解消にも運動は効果的です。人はストレスを感じると、交感神経の働きが活発になり、筋肉を緊張させた上、血管を収縮させ、血行不良を起こします。その結果、肩こりが起こります。運動すると血流が改善されるだけでなく、気分転換にもなるのでストレス解消にもつながります。
さらに眼精疲労です。目を酷使すると、目やその周辺の筋肉が緊張すると同時に、首から肩にかけての筋肉も緊張します。先ほど紹介した楽体の首を回す運動は、ゴムに付いているボールを首の後ろに当てて行います。これは天柱(てんちゅう)という、頭痛や肩こり、そして眼精疲労に効くツボといわれています。眼精疲労の回復には、目を休めるのが一番ですが、加えて楽体運動でより効果的に疲労回復を図りましょう。
眼精疲労に効くツボ「天柱(てんちゅう)」を楽体ボールで刺激する
運動は肩がこったときだけやるのではなく、日常的に行うのがオススメです。ここでいう運動は“体を動かす”レベルも含みます。運動する習慣が身に付けば、バランスのいい姿勢を取りやすくなります。そして、その結果肩がこりにくい体に近づいていきます。肩こりから解放されれば、ゴルフのミスも減らせることができるでしょう。また、仕事の能率も向上していきます。寒い季節にこそ、ぜひ取り組んでください。
執筆=小森 剛(ゴルフハウス湘南)
有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。
【T】
ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」