ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
ゴルフはアウトドアでできること、密を避けられることから、コロナ禍を契機に始める方も増えました。これにより一時期よりもゴルフ場に活気が戻ってきたように思います。私の主管するゴルフスクールの入会者も、新たに始めるゴルファーや、ゴルフから離れていたけれども改めて再開したいという経験者の数が伸びてきました。
一方で、まだまだやれそうなのにゴルフをやめてしまう人がいるのも事実です。これはもったいないと私は感じています。大きな要因は、「上達しない」「お金が続かない」「仲間がいなくなった」の3つです。そこで今回は、こうしたやめる理由を解消し、ゴルフを長く続けられる方法を考えてみたいと思います。
ゴルフを楽しむ上で“上達”は欠かせない要素です。プロやトップアマをめざす人は多くはないでしょうが、始めたからには最低限ゴルフを楽しめるくらいには上達したいと誰もが思うでしょう。ゴルフスクールに初めてお越しいただくお客さまも、そのような方が多いです。
ゴルフはスポーツですから、筋力や柔軟性、持久力など身体能力が高い人ほど有利です。ただ、走ったり跳んだりといった激しい動きをする競技ではなく、肉体をぶつけ合う競技でもありません。運動が多少苦手でも、非力な人でも、正しいやり方をすれば十分上達できるスポーツです。
正しいやり方とは、己を知り、体力や身体能力に応じたスイングに徹することです。プロや上級者のスイングをまねするのではなく、自身の身体能力や特性に合ったオンリーワンスイングを身につけ、力相応のゴルフスタイルを心掛けましょう。プロや上級者に憧れを持つのはよいことですが、姿勢や筋力、体のバネ、手にするクラブなど、どれもまるで違うので、まねばかりしていてもうまくなるはずがありません。ですから初心者は、まず力量を自覚して自分に合ったスタイルを学ぶのがゴルフ上達の早道だといえます。
自分の力量を知るには経験豊富な指導者から教わるのがよいのですが、早く上達したいとこのコミュニケーションを省略し、練習方法をYouTubeなどのインターネットコンテンツに頼る人が多くなっている気がします。自分の力量を分かっている人がこうした情報を利用するのはよいと思います。
一方、何をどうすればよいのか分からない初心者が、これらの情報をうのみにして練習するのはリスクがあります。自分にとってそれが正しいのか判断できない上、独学だとやり方を間違ってしまう可能性があるからです。情報を取捨選択し、自分に合った価値ある情報が何かを見極められるようになるまでは、やはり経験豊富な指導者から教わるのがお勧めです。
ただし、経験豊富な指導者であっても、コーチングがうまい人とそうでない人がいます。コーチングとティーチングは異なります。コーチングは「指導」ですが、ティーチングは一方的な「教え」です。ゆえに、いろいろな人に聞けば聞くほど一方的な教えに混乱して迷いが生じ、よい結果を出しにくいという経験をしているゴルファーもいるでしょう。「上達しない」ことを理由にやめてしまう初心者は、このパターンが少なくないのではないでしょうか。
できるなら初心者のうちに、コーチングスキルに長(た)けた指導者のいるゴルフスクールに通ってほしいと思います。独学で自分に合わないスイングのくせをつけると矯正が大変で、こちらもよい結果が出づらくゴルフをやめてしまう原因になりがちです。ゴルフスクールの選び方については本連載第11回「ゴルフレッスンに学ぶ部下の指導法」や、第12回「ゴルフスクール選びに見る店舗経営の極意」などが参考になると思います。
ゴルフをやめる理由の2つ目、「お金が続かない」は切実な問題です。特に若年層や子育て世代は何かとお金がかかり、経済的にゴルフを楽しむ余裕がないのもうなずけます。初心者から中級者に移行したばかりのころ、スコアが目に見えてよくなり上達を実感してきたころに、この問題に直面してゴルフをやめてしまうのは本当に残念です。
お金が続かなくて困っているというゴルファーには、まず自分の暮らす環境の中でできるだけ低価格で楽に通えるゴルフ場を見つけてほしいと思います。ゴルフ場は今、低価格でプレーできるコースが増えており、特に都心部から遠方になればなるほどプレー代が安くなる傾向にあります。ただ、遠方では交通費がかかりますし、行くのがおっくうになる場合もあります。自宅からの行きやすさと料金のバランスがとれたゴルフ場を探しましょう。こうした情報収集こそ、インターネットコンテンツをフル活用するとよいでしょう。
ゴルフはプレー代だけでなくクラブなどのゴルフ用品にもお金がかかり、こだわればこだわるほど天井知らずになりがちです。ゴルフクラブを新調するたび、コースに出るお金がなくなっては本末転倒でしょう。近年はゴルフクラブのレンタルサービスが活況です。第83回「“手ぶらでゴルフ”を実現する新たなサービスが登場」で紹介したように、レンタルクラブのサブスクを提供する事業者も増えつつありますから、こうしたサービスを利用して自分に合った道具をいろいろ試せます。
これは、限りあるお小遣いの銭失いを防ぐ賢い方法です。第24回「上達の近道は、本質を見失わないこと」では、ゴルフの本質を「少ない打数でカップに入れる」「目的の場所にボールを運ぶ」……の2つだとお伝えしましたが、この本質からいえば、道具の良しあしが結果の良しあしを左右するわけではありません。実力が拮抗(きっこう)しスコアを競い合っているプロは別ですが、ゴルフを楽しむ休日ゴルファーならマイクラブがなくてもレンタルで十分、そんな柔軟な考え方でよいと思います。
同年代のゴルフ仲間が体力の低下を理由にゴルフをリタイアし、一緒にコースへ行くメンバーがいなくなったという理由でゴルフをやめてしまう高齢者ゴルファーがいらっしゃいます。「仲間がいない」のは、高齢者だけでなく初心者も含めてすべてのゴルファーにとって切実な悩みです。
1人だとゴルフコースへ通うのに自分で車を運転するしかなく、出費がかさんだりします。仲間がいれば1台の車に相乗りできますし、割り勘なら1人当たりの交通費を抑えられて経済的にも安価にゴルフを楽しめます。何より、互いに学び合ったり競い合ったりできる仲間がいると、ゴルフはより楽しくなります。気の合う仲間と一緒にラウンドすれば親交も深まります。
ゴルフ仲間をつくるという面からも、ゴルフスクールへの入会をお勧めします。ゴルフスクールは、コーチにゴルフ技術を教わり、悩みを相談できるだけではありません。同レベルの他の練習生とコミュニケーションする機会が増え、コース体験会などさまざまなイベントに参加できるのも大きなメリットです。
お客さま志向の高いゴルフスクールはイベントが充実していますから、各種イベントに自ら積極的に参加すれば、ゴルフ仲間をつくりやすくなるでしょう。ゴルフスクール以外にも、通っている練習場に同好会や友の会のようなサークルがあれば、のぞいてみるとよいと思います。積極的に行動すれば出会いもあり、ゴルフライフの幅がさらに広がるでしょう。
ゴルフを通じて、ここまでさまざまなことをお伝えしてきましたが、本コラムはこれで最終回です。ゴルフは正しいやり方さえすれば、健康の維持・増進に役立つ素晴らしいスポーツです。また、ゴルフはその精神から社交性に富み、仕事仲間や取引先とのコミュニティー形成にも役立つユニークなスポーツです。本コラムでお伝えしてきた内容が、皆さまのゴルフライフやビジネスに役立てばうれしく思います。長い間ご愛読いただき、ありがとうございました。
執筆=小森 剛(ゴルフハウス湘南)
有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。
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ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」