ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
私が主管するゴルフスクールに通ってくださるお客さまが、先日こんな話をされました。
「遠方に住む私の友人が、130をたたいたのがショックでゴルフをやめてしまいました。友人がゴルフをやめてしまうのはとても寂しいです……」と。しかも、そのご友人は地元で長くレッスンに通い、とても熱心に練習されていたとのこと。
この話を聞いて、ゴルフに携わる者として寂しいなと感じるとともに、もしその方をレッスンしていた指導者に、モチベーションを高める(もしくは、維持する)指導スキルがあれば、その方はゴルフをやめなくて済んだかもしれないのにと、とても残念な気持ちにもなりました。
ゴルフに限らず、モチベーション(=やる気)は、物事の成果や継続する力に大きく影響します。趣味やスポーツに対するモチベーションが高いほど仕事や家事を効率よくこなそうとしますし、それらが適度なリフレッシュにもなり、結果、すべてに良い循環をもたらすことが多いでしょう。難しいのは、それを維持し続けることです。冒頭の例のように、モチベーションはささいな事が原因で一瞬にして下がってしまうからです。モチベーションを維持・向上させるためにはどんな工夫をするといいのでしょうか。今回は、ゴルフにも仕事にも役立つモチベーションについて考えてみましょう。
かつて野村総合研究所が出版した「モチベーション企業の研究」(2008年)によると、次世代を担う若手社員(当時の20代・30代)は、上の世代と比較して仕事に関する5つの欲求が強いと示しました。その5つの欲求とは……。
[1]意味欲求
[2]成長・向上欲求
[3]創造性発揮欲求
[4]承認欲求
[5]自己実現欲求
この5つが仕事環境の中で満たされないとモチベーション不全が起こり、個人の生産性が落ちるというものです。対象とされた若手社員もキャリアを積んでいれば現在は管理職、果たして、会社の中で創造性豊かなチームづくりに貢献できているのか、自己実現がかなっているのかは興味がありますが、この5大欲求は今こそ、働く人全員のモチベーション・テーマだといってもよいと思います。これらをゴルフに当てはめながら1つずつ見ていきましょう。
[1]意味欲求を満たす
「この仕事に意味はあるのか」という疑問に「とにかくやれ」と押し付けるだけでは、その質問者のモチベーションは下がるだけでしょう。「何のために」というゴールラインがあれば取り組みやすくなり、それがモチベーションになります。
私が主管するゴルフスクールでは、ゴルフフィットネスという運動プログラムで体づくりをしますが、その必要性をお客さまに理解・納得していただくことは大切なことだと考えています。理解・納得いただいたお客さまは、こちらが指示しなくとも練習前やラウンド前には、率先してゴルフフィットネスを実践されるようになります。スイングがスムーズになったり、ケガのリスクが下がったり、体の調子が整ったりするなど幾つもの効果をお客さまご自身が実感されているからでしょう。
読者のみなさまは、そもそも“何のために”ゴルフや、その他の趣味・スポーツをしていますか。取引先との付き合い、もしくは上司に誘われて仕方なく……という人もいるとは思いますが、それだと長続きはしないでしょう。多くの人は“楽しみたい”からではないでしょうか。この「楽しい」という感情は自主性の原動力であり、モチベーションの維持・向上には欠かせません。何事も楽しくなければ、それを続けることが難しくなるからです。
[2]成長・向上欲求を満たす
新しいノウハウやスキルを身に付けたい、自分のキャリアを高めたいという欲求に対しては、誰もがチャレンジできる場と、その結果、成長したことをしっかり実感できる機会が必要です。ゴルフでいえば、できるだけコースに出る機会をつくるよう勧めています。
練習で上達してからコースに出るなどと言っていては、いつまでも経験が積めません。早くコースに出て、うまく行かないところを反省し、また実践で試しながら修正を重ねていく、この繰り返しがモチベーションになります。もちろん、思い通りの結果が出ないこともあるでしょう。それでも競技に参加する前と後とでは、必ず参加した後のほうが成長しているものです。
成長を実感する上で効果的なのが「記録をつける」ことです。つまり成長を「見える化」するわけです。ゴルフの場合、まずはどんな形であれ、プレーを記録することから始めてみましょう。ラウンド中に長い文章を書く時間は取れないでしょうから、分かりやすく記号化するとよいです。例えば……
<1>1W-F右残150:第1打をドライバーでフェアウエーの右サイドに運び、残り150ヤード
<2>7I-G右B:第2打を7番アイアンで打ち、グリーン右手前のバンカーに入れてしまった
……という具合に、書き方を工夫するとよいでしょう。
プレーを記録し、後から振り返ると、スコアには表れない成長が見える場合があります。スコアは変わらずだがティーショットの精度が向上しているな、とか、パーオンする確率が上がっているな、などと成長の過程が見えるとモチベーションを維持する助けになります。常に自身の成長を「見える化」し、成長を実感し続けることはモチベーションの維持にとても有効だと思います。
[3]創造性発揮欲求を満たす
最初は与えられた仕事を教わり、機械的にこなすことで満足している人でも、いずれはそこから「自分らしさ」を発揮したいと思うものです。ゴルフでは、練習方法やスイングのポイントなど、レッスン書やYouTubeの情報をそのまままねするのではなく、自分自身で創造性を働かせて工夫を加えていくことが大切です。なぜなら、ゴルフスイングは“人それぞれ”だからです。
人は、筋力や柔軟性など身体能力が個々に異なります。トレーニング量や年齢によっても異なります。歩き方や走り方に人それぞれの個性があるように、運動特性も人それぞれです。また、体のサイズも人それぞれです。したがって、手本にする人がうまく行っていたとしても、まねをして同じようにできるようになるとは限りません。だから、ゴルフスイングは“人それぞれ”なのです。
ゆえにYouTubeの内容や他人の意見をむやみに信じるのではなく、良い所は取り入れながら自分らしい自然なスイングを引き出すことに専念してみてください。それによって、どんなコース状況にも対応できるという自信が生まれ、それがモチベーションになって、いずれは、オンリーワンスイングを獲得できるでしょう。
[4]承認欲求を満たす
仕事では上司や先輩、学生であれば親や先生、家庭ではお互いのパートナー、このように誰かに自分の考えや行動を認めてもらうことは、モチベーションが上がる最大の要因です。会社によっては社員表彰制度を取り入れているところがあると聞きます。昇給という形もありますが、いずれも会社から認められるということに収入以上の価値を感じる従業員は多いと思います。
そして、これはゴルフでもまったく同じです。一緒に回る仲間がいて、「ナイスショット!」と声をかけられ、認めてもらうからうれしいのです。よって、ゴルフのモチベーションを維持する上で、自分を認めてくれるゴルフ仲間は不可欠であり、とてもありがたい存在なのだと思います。
[5]自己実現欲求を満たす
自分のやりたい仕事をする、やりがいを感じる仕事をする、給料が上がること以上にこうした自己実現を大事と感じる人は多いのではないでしょうか。
ゴルフに限ってもやりたいコトは人によってさまざまです。社内コンペで優勝したい!クラブ競技で良い成績を残したい!ライバルに勝ちたい!夫婦で楽しくラウンドしたい!ゴルフ婚活ですてきな人と出会いたい!カッコいい(カワイイ)ゴルフウエアに身を包んでプレーしたい……などがあげられるでしょう。このやりたいコト、つまり「夢」を明確にイメージし、日ごろから常に意識することが重要です。夢を紙に書き、見える所に貼っておくのも効果的です。強い欲求は、それだけでモチベーションの維持・向上につながります。あなたの夢をぜひ実現させてください。
いかがでしょうか。仕事のモチベーションを維持・向上させるための5大欲求は、そのままゴルフでも生かせますし、逆にゴルフで得たものは、仕事や日常生活でも生かせるはずです。これらの工夫でモチベーションを維持・向上させながら、ゴルフや人生を楽しんでください。
執筆=小森 剛(ゴルフハウス湘南)
有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。
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ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」