ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」(第9回) ナイスショットの秘訣は「段取り力」にあり

スポーツ

公開日:2016.04.08

 練習場ではナイスショットを連発しているにもかかわらず、プレーではなぜかスコアが悪い、という方はいませんか。その原因はメンタルに起因する場合も多いのですが、段取りの悪さのせいでスコアを崩している、ということも珍しくありません。

 「段取り力」を上げて、スマートにプレーが楽しめるようになればナイスショットの確率は上がります。スコアアップに必要なのは、技術やメンタルの強化だけではありません。「段取り力」が向上すれば、充実したゴルフライフが送れるでしょう。

ゴルフに求められる「段取り力」とは?

 ゴルフでスロープレーは厳禁です。同伴競技者や後続組に迷惑がかかるだけでなく、ほかにプレーしている全ての人、さらにはコース全体に迷惑が及びます。プロの試合ではペナルティーが科せられるほど、スロープレーはご法度なのです。

 ゴルフはただ単に「球を打つ」だけでなく、やるべきことがたくさんあります。次のショット地点に移動したり、必要なクラブをキャディーバッグから取り出したり、使い終わったクラブを戻したり、といったプレーに最低限必要な基本動作は、ゴルフ初心者でも容易にイメージできるでしょう。

 それ以外にも例えば、残りの距離をジャッジする、風の状態やボールのライ(球のある場所の状態)を見極める、攻め方や狙う場所を決める、打つクラブを選択する、そしてこれから打とうとするショットをイメージするといった様々なことがゴルフプレーに要求されます。

 やるべきことをスマートにこなしてスロープレーを抑止すること、これが「段取り力」です。限られた時間の中で、やるべき思考や判断をしっかり行い、本来持っている実力を存分に発揮しゴルフを楽しむには、この「段取り力」がとても重要です。

 思考や判断を的確に実行しなければ、ナイスショットの確率は低くなります。たとえナイスショットが打てたとしても、それがナイスプレー、つまり「良い結果」につながらないケースもでてきます。ナイスショットなのに距離のジャッジが誤っていた結果、グリーンをオーバーし大たたきする、という例は分かりやすいでしょう。このように、やるべき思考や判断をおろそかにしていることが原因で、スコアを崩してしまっているケースが実に多いのです。

ショットの前後の行動で「段取り力」は判断できる

 ゴルフで、そのプレーヤーの「段取り力」を判断するのに最適なシーンは、クラブを取り出したり片付けたりする基本動作です。

 ティーショットを打ち終わるやいなや、速やかにセカンドショットで使う可能性があるクラブを数本、準備する人は段取りが良いといえます。また、グリーン上でパッティングをする際、アプローチに使ったクラブは次のホールへ歩いていく方向のグリーン脇に置く人も、「段取り力」が高い人です。

 セカンドショット地点にいって初めてクラブを選び始めたり、次のホールへ歩いていく方向と違う所にクラブを置いてしまったりといった行動は同伴者の迷惑になるだけでなく、プレー時間のロスにつながってしまい、スロープレーとして嫌われるので注意しましょう。

段取りが良ければスコアも良くなる

 段取りとは、限られた時間の中でより効率的に行動できるよう、事前準備をしておくことです。段取り力が高ければ、それだけ時間を有効活用でき、限られた時間内でできることが増えます。段取りが良い人は、セカンドショットを打つ場所に向かう最中、大まかに当たりをつけて数本のクラブを手に持って歩き、歩きながらライや風向きをチェックして、さらに最適な1本を選んでいるはず。当然、時間の節約にもなり、最適なクラブを選べる可能性が高くなります。

 時間内でできることが増えれば、ナイスショットを生み出すためにすべきことをより深く考える余裕が生まれます。残りの距離のジャッジや、風やボールのライの見極め、狙う場所や打つクラブの選択、そして打ちたいショットのイメージの精度が上がれば、ナイスショット並びにナイスプレーの確率は格段に向上し、結果的にスコアアップにつながるというわけです。

 練習場ではナイスショットを連発しているもののコースではいまいちというプレーヤーは、プレー1つひとつの所作から段取りを見直してみるべきでしょう。

 では、「段取り力」を高めるために何が必要でしょうか。クラブの出し入れのシーンを思い起こしてみましょう。「段取り力」を向上させるには、次に使うクラブを予測する「予測力」、あるいは「先読み力」が必要です。また、同伴競技者の行動を鑑みながら、いつどこでそれを行うかを判断する「状況判断力」や、同伴競技者のプレーを妨げないよう配慮する「気配り」や「心配り」も必要です。そしてグリーン脇にクラブを置く際、どこに置けば良いかの判断は、前の組のプレーヤーの動きやカート道路の位置など、もろもろの情報から察知する必要があるので「情報収集力」も求められます。

ビジネスに応用が利く「段取り力」

 段取り力を高めるために必要なことを、さらに挙げていきましょう。複数のことを同時に行う「並列処理」も必要な能力です。歩いたりカートを運転したりしながら、次のショットで使うクラブを考えたり、同伴競技者のプレーを見守りながら風の状態や残りの距離をジャッジしたり、といった具合です。

 こうした多くのことを考えていると脳が疲れてしまうので、周りの景色を楽しんだり、何も考えずボーとしながらリラックスしたりする時間も必要です。つまり、脳をフルに働かせるモードと休ませるモードの切り替えやメリハリも、大切な能力の一つといえるでしょう。

 こうした「段取り力」は、ビジネスでも必要な能力であることにお気づきでしょうか。仕事でも、「段取り力」が高まれば、就業時間内に仕事が片付き、無駄な残業をしなくて済みます。また、同じ時間内にできる仕事量が増えるので生産性も高まります。

 「段取り八分」ということわざがあるように、段取りをしっかりしておけば、その仕事は8割方完結したのも同然です。部下の段取りが悪く、イライラしている上司の方は、部下をゴルフに誘い、段取り力を学ばせてはいかがでしょうか?

執筆=小森 剛(ゴルフハウス湘南)

有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。

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