ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
平昌冬季オリンピックは、日本人選手の活躍で大変な盛り上がりを見せました。特に女子スピードスケート、中でも女子団体パシュートは、体格やパワーで劣る個人の力を見事にカバー、世界最強のスケート王国オランダを下して金メダルを獲得しました。
ゴルフとは一見関係なく思えるスピードスケートですが、その滑走フォームとゴルフスイングには多くの共通点があり、特に、股関節や下肢の使い方が参考になります。今回は、スケートに興味のない方でも試したくなる下半身のトレーニング法をご紹介しましょう。
これまでの当コラムで、ゴルフスイングの要点はスタビリティ(Stability:安定性)とモビリティ(Mobility:可動性)、そしてキネティックチェーン(Kinetic chain:運動連鎖)の3つだとお伝えしてきました。安定すべきところは安定させ、動かすべきところは動かすこと。そして、それが可能となる体をつくること。また、体幹から発生したパワーを、胴体→腕→クラブへと増幅させながら伝える運動連鎖を実現すること。これらがゴルフの上達には不可欠なのです。
では体のどの部位を安定させ、どこを動かせばよいのでしょうか?まとめると次の通りです。
◎安定性が求められる部位・・・体幹部、大腿部(太もも)、膝関節
◎可動性が求められる部位・・・肩甲骨、肩関節、股関節、足関節(足首)
鍛えられた下半身が推進力になるスピードスケート
前回の「体幹部の安定性」に続き、今回は「股関節の可動性と大腿部や膝の安定性」についてスピードスケートの滑走フォームを見ながら解説したいと思います。私はスケートに関してはまったくの素人ですが、スピードスケートにおいても、この安定性と可動性が求められる部位はゴルフと同じようだと見ています。まずはスピードスケートの滑走フォームをご覧ください。
空気抵抗を極力抑えるため、可能な限りの前傾姿勢を取っています。そして腕を左右に大きく振るわけですが、腕を右に振ったときは、右の股関節は大きく屈曲し、体重のほとんどが、この右股関節に乗ってきます。
これは、ゴルフスイングのバックスイング時の動きに似ています。右打ちの人は、バックスイングで腕とクラブを右に大きく振り、それに引っ張られて上半身がねじれ、それを右の股関節で支えています。(左打ちの人は逆です)
バックスイングで股関節に体重がかかる
バックスイング時に右の股関節で受け止めた体重を、ダウンスイングで一気に左股関節に移動させる、これがゴルフスイングにおける体重移動です。このとき重心(コア)は安定している必要があります。重心そのものを左右に動かすのは正しい体重移動ではありません。正しい体重移動とは、まずバックスイングで屈曲した右の股関節の「くびれ」で体重を受け止め、それをダウンスイング時に骨盤を左に回旋させることで、今度は左の股関節をくびれさせ、そこで体重を受け止めることなのです。
左右の股関節に乗る正しい体重移動を実現するために求められるフィジカルが、股関節のモビリティ(可動性)と大腿部や膝関節のスタビリティ(安定性)です。スピードスケート選手の太ももはとても太く鍛え上げられていて、このフィジカルが特に強化されていると感じます。以下に、鍛えるべき部位とポイントを挙げておきましょう。
◎股関節の可動性を高める
体幹を構成するコアマッスルとして前回紹介済みの「腸腰筋」や、「深層外旋六筋」という股関節のインナーマッスルを鍛え、かつ大殿筋や中殿筋などお尻の筋肉の柔軟性を高める必要があります。
◎大腿部や膝関節の安定性を高める
太ももの前側の筋肉「大腿四頭筋」や、後ろ側の筋肉「ハムストリングス」、そして「内転筋」という太ももの内側の筋肉を鍛える必要があります。特に「内転筋」は重要です。
今回ご紹介するのは、股関節のストレッチと下肢の筋トレを同時に行うトレーニングです。
股関節の柔軟性を高めるトレーニングは、左右の足裏どうしをピッタリ付け、あぐらをかくように座った状態で前屈したり、足を4の字にして座り、前屈する4の字ストレッチをしたり、ヨガの鳩のポーズをしたりと、いくつかの方法がありますが、ここではゴルフフィットネスで実際に行っている方法をご紹介します。
前回の体幹トレーニングでも使用した「パワーバランス」を今回も用います。パワーバランスをお持ちでない方は、太めのロープや長めのスポーツタオルの端を結んだモノなどで代用してください。
【ランジ】
足を前後に広げ、股関節、膝を曲げ、両脚均等に体重がかかるようにします。この体勢で下半身を安定させてパワーバランスを左右に振ります。このとき、前に出している足の方に大きく振ると、より効果的です。
左足前に、左右振りを30秒
足を変えて、左右振りを30秒
※つま先と膝は同じ方向へ向けて。膝の曲げ具合は体力に応じて調節してください。左右それぞれ30秒ずつから始め、少しずつ増やしていきましょう。
【足踏み】
もも上げしながらパワーバランスを振ります。右に振るときは右太ももを、左に振るときは左太ももを上げます。体のねじれを意識すると効果的です。
腹筋を意識しながら振りましょう。体力的に余裕のある人は膝を高く上げるとより効果的です。これは1分から始め、少しずつ増やしていきましょう
ゴルフフィットネスのパワーバランス運動は、股関節のストレッチと下肢の筋トレ、そして呼吸を伴うリズミカルな有酸素運動を同時に行います。最初は少々キツイかもしれませんが、毎日少しずつ継続してください。
股関節が硬いと、ゴルフスイングで必要な体重移動や体の捻転が満足に行えず、十分な飛距離が得られません。また大腿部や膝関節が不安定だと、軸や重心が不安定で、ミート率や方向性が落ちてしまいます。どちらもゴルフには大きなマイナスです。
それだけではありません。股関節の硬さや下肢の筋力低下は、次のような体への悪影響も及ぼします。
・姿勢が悪くなる
・太りやすくなる
・転びやすく、ケガをしやすくなる
・下肢の血流が悪くなる
・O脚やX脚になり、膝痛の原因となる
・腰痛を引き起こしやすくなる
・疲れやすくなる
股関節を屈曲させる腸腰筋は、腰椎(背骨の腰の部分)から大腿骨の付け根につながっています。股関節が硬くなるのは、腸腰筋が硬くなるのとイコールです。腰椎とつながっている腸腰筋が硬くなると腰痛を引き起こします。(※腰痛に関しては本連載の第30回をお読みください。)
股関節が硬く、かつ下肢の筋力が低下すると、下肢の血流やリンパの流れが悪くなります。すると、疲労物質や老廃物をうまく排出できないため、むくみやすくなり、疲れやすくもなります。血流が低下し、筋活動も低下すると代謝が落ちてしまいます。代謝が落ちると脂肪を燃焼させることができず、太りやすく、痩せにくい体になります。
足を真っすぐ支えることができず、O脚やX脚になり、スムーズに歩くことが難しくなります。膝への負担も大きくなります。特に産後の女性は骨盤が開き、X脚になるので、しっかり内転筋を鍛えておかないと膝を痛めるリスクが高まります。X脚になると、足裏にある土踏まずのアーチが低下します。これも疲れやすくなる原因の1つです。
忙しいビジネスパーソンが疲れやすく、すぐにヘトヘトになるようでは、業務に支障が生じるかもしれません。ゴルフが上達し、その上バリバリ仕事もこなすデキるビジネスパーソンになるため、股関節の柔軟性を高め、下肢をしっかり鍛えていきましょう。
執筆=小森 剛(ゴルフハウス湘南)
有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。
【T】
ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」