ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」(第17回) スコアも翌日の仕事も絶好調にするゴルフ~脳活編~

スポーツ

公開日:2016.12.09

 ナイスショットを連発したのに上がってみるとスコアが悪い……。でもなぜか同伴者は、チョロしたり林に打ち込んだりしているのに、うまくスコアをまとめている。この差は何でしょうか。頭のスポーツといわれるゴルフですから、これは、体力や運動神経、スイング技術の差ではなく、コース戦略の差といえます。コース戦略は頭の体操と捉えることができるでしょう。18ホール回っても疲れ知らずで、翌日の仕事をも絶好調にする「カラダにやさしいゴルフの楽しみ方」の今回は、頭の体操─―脳を元気にする「脳活」についてお伝えします。

ゴルフで脳を鍛えよう

 良いショットを打ちながらスコアが伸びない人は、コースの攻め方に問題があり、ナイスショットがスコアアップにつながっていません。一方、ミスショットを重ねながらもスコアをまとめられる人は、たとえ思い通りのショットが打てなくても最悪の状態を回避し、大たたきを防げているといえます。その差がズバリ!コース戦略の差です。

 そしてコース戦略を練るには、頭(脳)をフルに使う必要があります。戦国武将になぞらえれば、地盤のない所から立志した羽柴秀吉や、小国ながらも戦乱を駆け抜けた真田昌幸・信繁(幸村)親子のように、知力を尽くして勝ちを拾う戦(ゴルフ)ができればよいのです。

 かつては、ある程度の年齢になると脳の神経細胞が増えることはない、年を取れば脳が老化するのは仕方がない、と考えられていました。しかし最近の研究では、脳の神経細胞は年齢に関係なく、鍛えれば鍛えるほど増えると認められているようです。95%は休眠しているといわれる人間の脳、それを呼び覚ますには積極的に脳を使うことです。筋肉を使えば鍛えられるのと同じで、脳も使えば使うほど鍛えられ、より機能するようになります。

 ゴルフには、脳を鍛えるチャンスがふんだんにあります。このチャンスをぜひ生かしてください。脳をフルに使ったプレーはスコアアップにつながるだけでなく、脳の活性化にも有効です。ビジネスや、モノ忘れ対策にも大いに役立つことでしょう。

狙いや距離を自分で判断

 脳をフルに使う「脳活ゴルフ」で、まず意識したいのは「情報収集」です。コース戦略を語る上で、情報収集は不可欠です。ホール全体のレイアウトや日々変わるピンポジションなどの情報を収集し、攻めるルートや狙うべき地点を判断していきます。

 その際、自身の体調やショットの調子を加味して考えることが必要です。例えば、その日は右に曲がりやすい傾向にあると感じたなら、それを考慮し、あらかじめフェアウェイの左サイドを狙っていきましょう。

 個々のショットに挑む際も、狙い所までの距離はもちろん、風の状況、ボールのライ、高低差などの情報収集に努めなければなりません。風や高低差を考慮せず、残りの距離のみからクラブを選択したばかりに、グリーン手前のバンカーに落としてしまったというのはよくあることです。これでは良いスコアは望めません。

 大切なことは、狙いや残りの距離を可能な限り自分で判断するということです。環境や体調といったコンディションを踏まえて「距離を測る」という行為は、脳の活性化にとても有効です。すぐにキャディーさんに聞くのではなく、まずは自分の目で見て判断をし、それを確認するつもりでキャディーさんに尋ねるとよいでしょう。

 最近では、カートからグリーンまでの距離(ほとんどがグリーンセンターまでの距離)を正確に表示する、GPS機能を搭載したカートも珍しくありません。ハンディータイプの距離測定器や、腕時計タイプのものも登場しています。しかし、機械に頼っていては、脳を活性化する「脳活ゴルフ」のチャンスをみすみす逃してしまいます。まずご自身の目でピンを見つめ、残りの距離を判断するよう心掛けてください。

パッティングで脳を活性化

 パッティングはスコアメイクの上でとても重要です。ドライバーは使わないホールもありますが、パッティングはチップインやホールインワンが出ない限り、すべてのホールで行います。また、グリーンオンできても、パッティングが入らない分だけ1打加算となってしまいます。プロの世界で「パット イズ マネー」といわれるのはこのためです。

 脳の活性化という観点からもパッティングはとても重要です。よく転がるグリーンを「速い」、あまり転がらないグリーンを「重い」と表現しますが、グリーン上のボールの転がり具合はコースによって異なります。また同じコースでも、グリーン上の整備の仕方や芝の刈り込み方、さらには天候などによっても大きく変わってきます。

 よく晴れた天候でグリーン面が乾いていたら速くなりますし、雨が降り、グリーン面に水を含んでいるときは重くなります。また、グリーン面はカーペットではなく天然の芝生です。芝生は生き物ですので成長します。朝のスタート時と夕方のラウンド終盤では、芝生が成長するためグリーンの速さが変わってしまうのです。

 このように1つとして同じではないグリーンでパッティングを行うには、より多くの情報収集が必要です。これがスコアメイクのカギとなり、さらには脳を活性化させる絶好のチャンスになるというわけです。

グリーンにはいち早く到達を

 グリーンでより多くの情報を収集するコツは、ボールがグリーンに乗ったらいち早く移動し、誰よりも早くグリーンに到達することです。それは、情報収集に必要な「時間」をつくるためです。

 あなたより先にパッティングを行う人がアドレスに入っていたら、あなたも含め周りの人は動いてはいけませんし、できるだけ打つ人の視界に入らないよう、立つ位置にも配慮しなければなりません。そのような状況では、情報収集しようと思っても得られる情報は限られます。ですからグリーンでの情報収集は、他のプレーヤーがグリーンに来るまでの時間を利用することが望ましいのです。

 早くグリーンに到達すれば、他のプレーヤーの邪魔をすることなく、グリーンの周りを自由に動き回ることもできますし、自分のボールとカップまでの距離、グリーン面の固さ、傾斜や芝目などの情報を収集する時間が確保できます。そうなると、他のプレーヤーのパッティングをよく観察し、参考にする余裕も出てきます。

 前回は、できるだけカートには乗らずに歩くことが、健康の維持増進にもスコアメイクにも有効であることをお伝えしました。加えて、いち早くグリーンに到達するという意味からも、できるだけ歩くことをお勧めします。カートに乗って他のプレーヤーと一緒に行動していたのでは、そのような時間を得ることはできないからです。できるだけカートには乗らず、自分の脚で素早く移動し、いち早くグリーンに到着するようなプレーを心掛けてください。

 若い頃は、試験勉強などで脳を鍛える機会が豊富にありました。しかし、ある程度の年齢になると脳を鍛えるチャンスは減ります。しかも今では、パソコンやスマホの普及により、モノを考えたり覚えたりしなくても情報はいつでもどこでも手に入る時代になりました。脳の鍛錬不足を感じたら、ぜひ意識をしながら「脳活ゴルフ」を楽しみましょう。脳を活性化するポイントはまだまだありますが、それはまた別の機会にお伝えします。

執筆=小森 剛(ゴルフハウス湘南)

有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。

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