脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第80回) 仕事と休暇の一石二鳥?ワーケーション

テレワーク 働き方改革

公開日:2024.08.22

 略語や造語に外国語と、何が何だか分かりにくいIT用語。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は聞いたことがあるかもしれない言葉「ワーケーション」だ。

「社長、多様な働き方の一環として、わが社もワーケーションを採用しませんか」(総務兼IT担当者)
「社員との"飲みニケーション"ならいつでも付き合うが、ワーケーションは聞いたことがないぞ」(社長)。
「仕事(ワーク)と休暇(バケーション)を組み合わせた造語です。リフレッシュのために休暇を取りつつ、仕事もするんです」
「仕事が生きがいのワシにとって、ONとOFFの切り替えが難しそうだな......。ワーケーションは一体どんないいことがあるんだ?解説を頼む」

新たな働き方「ワーケーション」

 ワーケーションとは、観光地やリゾート地などで休暇を取りながら、テレワークで仕事をすること。オフィスや自宅とは異なる環境で一定期間過ごすことにより、従業員のモチベーションを高めたり、斬新なアイデアが生まれたりするなどの効果が見込まれます。福利厚生の一環として採用する企業も見られ、社内制度として導入する際には、業務中の連絡方法やパソコン、通信環境などの情報セキュリティに留意する必要があります。

ワーケーションとは観光地や避暑地で余暇を楽しみつつ働くことを指す

Q ワーケーションが注目される理由は何でしょうか。

 働く場所や時間に縛られない、多様な働き方が企業や社会に求められているためです。ワーケーションの導入により、仕事をしながら有給休暇の取得を促したり、働き方を柔軟に選択できる会社であることをアピールしたりすることも可能です。観光庁は新たな旅のスタイルとして、ワーケーションと「ブレジャー(ビジネスとレジャーを組み合わせた造語)」を推進しています。滞在先の人々との交流を通じて、地域課題の解決を考える機会になるといった効果も期待されています。

Q ワーケーションの場所はどのように選べばいいのですか。

 特に決まった場所はありません。例えば、キャンプ場に何週間か滞在して平日は仕事、週末は休暇を取るといったパターンが考えられます。ワーケーションによる観光客の誘致に取り組む自治体の中には、仕事がしやすいようにサテライトオフィスやコワーキングスペースを設けたり、宿泊費や旅費の一部を補助金として支給したりするケースもあるようです。

Q ワーケーションの注意点はありますか。

 周囲の人にパソコンの情報やパスワードなどが漏れないようにするなど、セキュリティ面での注意が必要です。観光地やリゾート地の宿泊施設の中にはパソコンが使えるスペースやWi-Fiなどの通信環境を用意したり、オンライン会議が可能なスペースを設けたりするところもあります。また、オフィスにかかってきた顧客・取引先からの電話を自身のスマートフォンに転送する仕組みがあれば、休暇中でも、重要な電話を逃さずに済みます。

「社長、ワーケーションのメリットを理解していただけましたか。この制度があれば有給休暇の消化推進にもなります」(総務兼IT担当者)
「ワーケーションであれば、趣味の磯釣りにも大手を振って出掛けられるな」(社長)
「そうですね。ただし、勤務時間中は会社からの電話にも出られるようスマホは忘れずにお持ちください」
「分かった。しかし、大物が釣れそうなときに電話がかかってきたらつらいな。逃がした魚は大きいぞ」
「魚を逃がすより、ビジネスの機会を逃がす方が会社にとって問題です」

執筆=山崎 俊明

【MT】

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