ニューノーマル処方箋(第64回)
ランサムウエアがビジネス化。「RaaS」の脅威
飲食店の多くがビジネスWi-Fiを導入している。その大半は、業務用のSSIDと来客用のSSIDを分けて設定し、セキュリティを担保しながらバックオフィスでの活用と来客向けのインターネット環境の提供を両立させている。近年は人手不足を背景に、ビジネスWi-Fiの用途が広がりつつある。店舗におけるロボットの活用だ。ビジネスWi-Fiと業務用ロボットの組み合わせはどんなメリットをもたらすのだろうか。
関西を中心に全国展開する大手レストランチェーンでは、ネットワーク環境の高速化と安定化を目的に、2024年10月に本社と180の店舗でビジネスWi-Fiを導入してインターネット環境を再整備した。
広いフロアを移動するスタッフが多い本社には、速度が速く、安定した通信を実現できるビジネスWi-Fiを導入し、業務効率向上を図った。一方で店舗には、Wi-Fiを利用したロボットの配備を予定しているという。
最近はタブレット端末から注文すると、人に代わりロボットが料理を席まで運ぶ飲食店も増えてきた。深刻な人手不足に悩む飲食業にとって、ロボットの活用は大きな意味があるだろう。
飲食店で使われるロボットにはいくつかの種類がある。席まで料理を運ぶ「配膳ロボット」、フロアを掃除する「清掃ロボット」、汚れた食器をきれいに洗う「食洗機ロボット」などだ。自走式の配膳ロボットであれば、利用モードを選択すればセンサーが自動で人や物を避けていく。清掃ロボットも同様だ。食洗機ロボットはスイッチを入れればベルトコンベヤー式で食器洗いを遂行する。
これらのロボットを効率的に活用するためには、ビジネスWi-Fiとの併用がお勧めだ。高速通信が可能で安定性の高いビジネスWi-Fiによって、できることが広がるだろう。
ロボットの活用とビジネスWi-Fiの併用で、多くのメリットを享受できる。Wi-Fi対応のロボットを導入し、ビジネスWi-Fiを併用すれば手元のPCやスマートフォンから簡単に初期設定できる。複数台を連携させて利用するなら、ビジネスWi-Fiは必須という場合もある。
配膳ロボットの導入により、専用ソフトを使った地図の登録やマッピング、ファームウエアのバージョンアップ、稼働状況のモニタリング、ログのアップデートなどができるようになる。ロボットの稼働時間や時間当たりの配膳と運搬の回数なども遠隔から確認が可能になる。
清掃ロボットの活用では、清掃マップを登録するとどこでどんな作業をしているかを遠隔地からスマホなどで確認できるので、その場に立ち会う必要がなくなる。管理画面から清掃予約をして自動清掃を指示したり、終了時の報告を受け取ったりすることもできる。
食洗機ロボットのモニタリングも重要だ。例えば、食洗機の故障原因の一つは水あかのたまりによるものだが、水あかがたまっている状態をセンサーが早期に検知・把握すれば故障を回避できる。さらに利用回数や消費電力、洗浄時の平均水温、作業の中断回数などを計測し、そのデータをスマホから常時把握できるといったメリットもある。これらのデータから食洗機ロボット導入の経済効果の測定も可能だ。
ロボットの活用は人手不足対策になり、顧客との接触頻度抑制、店舗や食器の清潔度の向上など、飲食店にさまざまなメリットをもたらす。しかし、導入しただけで効果が上るわけではない。導入後は客観的なデータに基づいた継続的な運用改善の実施が必要だ。それを可能にするビジネスWi-Fiとの同時活用を前提に考えるべきだろう。
執筆=高橋 秀典
【TP】
ビジネスWi-Fiで会社改造