ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
前回は、ビジネスWi-Fiを顧客や取引先に無料で利用できるようにして、集客力の向上につなげる方法を紹介した。今回はさらに一歩踏み込んで、ビジネスWi-Fiならではの特性を生かした売り上げアップを実現するためのアプローチを解説していく。ビジネスWi-Fiの新しい魅力に気付くはずだ。
ビジネスWi-Fiで売り上げを増やすには、大きく2つの側面から考えていく必要があるだろう。顧客に対して自社の製品やサービスをアピールするという広告宣伝の側面と、行動や指向性など顧客をより深く理解するというマーケティングの側面だ。
広告宣伝という面では、顧客がWi-Fiを利用するためにアクセスポイントにログインしようとしたタイミングでのアプローチが重要になる。Wi-Fiが無料で使えると知った顧客がアクセスポイントに接続した際に、さまざまな方法で顧客にアピールすれば、売り上げ増大につながる可能性がある。
この一つが、接続した際に指定したWebサイトのランディングページや自社のFacebookページなどを表示するという方法だ。これらのページにPRしたい情報を掲載しておき、Wi-Fiにアクセスした際にそのページに誘導して、自社の製品やサービスを知ってもらう。当然、WebサイトやFacebookページなど受け皿をしっかり用意する必要がある。
Webサイトへの誘導の場合、ポイントとなるのはランディングページの作り方だ。顧客がWi-Fiを利用するためにアクセスしてきた一瞬の間に顧客の関心を引き、その先の情報を見たいと思わせなければならない。そのためには情報を伝える目的を明確にして、ターゲットを具体的に絞り込み、それに対応したコンテンツで構成しなければならない。デザインや広告コピーにも工夫を凝らす必要があるだろう。
Facebookを活用する場合も同様だ。来訪者を自社のFacebookページに誘導して、チェックインすればWi-Fiが利用可能になるというやり方もある。来訪者の友達のタイムライン上に自社の名前が表示されるので、広告宣伝にもなる。
もう一つの方法が、クーポンを発行するやり方だ。Wi-Fiにアクセスしたときに特別な割引クーポンを発行して購買行動を促す狙いである。後述するマーケティングデータと連動させて、その顧客が関心を持ちそうな商品やサービスに対応したクーポンをタイミングよく発行できれば、より効果を上げられるだろう。
ビジネスWi-Fiはマーケティングにも非常に役立つ。その具体的な手法の一つがアンケートの実施だ。Wi-Fiのランディングページにアクセスしてきた際に、簡単なアンケートを実施するというやり方もあるだろうし、詳しい情報を収集するために会員登録を促すこともできる。目的や必要性に応じて使い分けを考えればよいだろう。
店舗などで効果的なのが、来訪者分析にビジネスWi-Fiを利用するやり方だ。ビジネスWi-Fiには利用者の利用状況を把握する機能を含むプランもある。これにより、自社内のWi-Fi利用であれば、社内で使われているアプリケーションを分析したり、業務に不要なアプリケーションの利用を制限したりして、より快適な通信環境を構築するデータが得られる。この機能を利用すれば、店舗来訪者のWi-Fi利用状況の把握が可能だ。
アクセスポイントの接続状況から、訪問者数、滞在時間、訪問頻度が分かる。利用端末の種別や利用アプリケーション、アプリケーションごとの利用量も把握できる。ビジネスWi-Fiの事業者によっては、このような収集した利用者データを、Wi-Fi提供者側の専用のWebページにグラフ化して示す機能を提供している。
これらをマーケティング情報として利用すれば、時間帯や場所に応じてスタッフの配置の最適化を図ったり、来訪者の少ない時間帯にタイムセールを行ったりするといった施策を実施できる。
もちろん、こうした施策を実施するには社内用と来訪者用のSSIDを切り分けるなど、セキュリティ面での配慮など事前準備は必要だ。しかし、そうした多少の手間をかければ、ビジネスWi-Fiの導入で業務効率化や働き方改革以外にも、売り上げ増大につながる活動が可能になる。
執筆=高橋 秀典
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ビジネスWi-Fiで会社改造