ビジネスWi-Fiで会社改造(第6回) ビジネスWi-Fiで未来のオフィスを手に入れる

Wi-Fi スキルアップ

公開日:2022.03.22

 ビジネスWi-Fiをオフィスに導入するメリットの1つは、オフィスからLANケーブルがなくなることだ。それによってフリーアドレスオフィスのような新しいオフィスの使い方ができるようになり、オフィスの形態も従業員の働き方も変わっていく。具体的にそこにはどんな変化が生まれてくるのだろうか。今回はテレワークとオフィスワークのこれからを踏まえて、ビジネスWi-Fiがオフィスにもたらすインパクトについて考えてみたい。

レイアウトの自由度とビジネスの柔軟性の関係

 ビジネスWi-Fiによってオフィスから物理的なLANケーブルが消えると、オフィスレイアウトの自由度を一気に高めることができる。デスクを組み合わせてつくる「島」の形状を簡単に変更できるようになり、組織改編や人事異動などにも迅速な対応が可能だ。物理的な変更に対して柔軟性が高まることで、変化に合わせた執務環境づくりへのハードルが下がる。

 それだけではない。従業員が固定された自席を持たずに、ノートパソコンを持っていろいろな席で仕事をする「フリーアドレス」が容易に実現できる。自席を固定しないと自分の居場所がなくなる感覚が生じるなど、最初は多少抵抗感を持つ従業員がいるかもしないが、フリーアドレスによってそれを上回るさまざまなメリットがもたらされる。

 まず挙げられるのがペーパーレスの促進だ。従業員はいつも同じ場所に座らないため、書類をデスクの上に積み上げるような“巣作り”ができない。多くの場合、巣作りをすると必要書類を見つけにくくなって業務効率性が下がったり、大切な書類を紛失したりといった問題が生じる。こうした事態を防ぐと同時に、紙をため込めないので情報をデジタル化して保持するケースが増加し、ペーパーレス化が進む。その結果、ネットワークを通じて組織で情報を共有しやすくなり、業務効率アップにつながっていく。

 2番目のメリットは、組織の壁を取り払ったり、フラット化したりしやすくなることだ。組織ごとのスペースを分離せず課長席や部長席などの区別をなくせば、組織や壁を越えた上下の意識を持たないコミュニケーションが活発化する。それがイノベーションを生み出し、生産性を上げる下地となる。

 3番目のメリットは、プロジェクトチームを組織しなければならない業務への対応だ。重要な業務の実行に際しては、最適なメンバーを選抜してプロジェクトチームを組織するケースが少なくない。そうしたメンバーが集まって仕事をしやすいフリーアドレスのオフィスなら、すぐに議論を始められ、業務効率が上がり、メンバーの一体感も生まれる。

 4番目のメリットはオフィスコストの適正化だ。まず、ペーパーレス化を進めるだけでも保管スペースの削減などでオフィス面積を減らせる。さらに、近年多くの企業が導入しているオフィスワークとテレワークを併用するハイブリッドワークでは、オフィス面積削減の可能性が大きくなる。例えば、出社率が50%程度の企業なら、フリーアドレスを導入すれば、理論上ではオフィス面積は従来の半分程度で済むことになる。

ハイブリッドワーク対応のオフィスに

 ハイブリッドワークとフリーアドレスの併用で、必要なオフィススペースが理論上大幅に削減できた場合、そこをどう活用するかで企業の成長性が左右される可能性がある。単純にオフィススペースを大幅に削減するのではなく、従業員が効率的に、快適に働くための空間を作り出すという使い方もある。

 例えば、自由に選べる個人用の席だけでなく、大きなテーブルを用意して、その横にディスカッション用の大画面ディスプレーなどを設置する。これにより従業員たちのディスカッションの活性化が促され、新しいアイデアを生み出しやすくする。

 個人で働くスペースにバリエーションを設けるのも効果的だ。一般的な個人用スペースだけでなく、周囲をパーティションなどで囲って個人用のブースを設けてはどうだろう。1人で集中したい業務では、そうしたスペースに籠もったほうが、効率が上がる場面も少なくない。また、外部とオンラインミーティングをする際の専用スペースを設ければ、周囲に気をつかわずに話し合いができ、他の従業員の業務の邪魔にもならない。

 削減したスペースの一部を休憩室やカフェカウンターなど、従業員がリラックスできるスペースにするという方法もある。オフィスの中でも一息入れてリラックスできるスペースを用意すれば、業務効率向上につながる。

 近年、多くの企業が実施している、テレワークとオフィスワークを併用するハイブリッドワークは、オフィスに出社する意味そのものが問われている。個人作業だけを考えるのであれば、テレワークのほうがはかどる可能性もある。ただ、多くの企業の業務は個人作業だけではないだろう。上司や同僚とコミュニケーションをとりながら進めたほうが効率的なケースも少なくない。そのような場合には、オフィスに出社して働くことになる。

 こうした際にも効率的に働けるようにオフィスを整備する必要がある。そのための基盤となるのがビジネスWi-Fiだ。先に挙げたフリーアドレスの導入、ミーティングをしやすいスペースの確保、個人ブースやオンラインブースの設置、リラックススペースの開設など、これらすべてにおいて、オフィスのどこにいても情報端末が活用できるビジネスWi-Fiが欠かせない。ビジネスWi-Fiの導入は、より生産性の高い未来のオフィス実現への第一歩になるだろう。

執筆=高橋 秀典

【TP】

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