ビジネスWi-Fiで会社改造(第22回) ビジネスWi-Fiで勤怠管理を進化させる

Wi-Fi スキルアップ

公開日:2023.05.22

 勤怠管理のためにいまだにタイムカードを使っている企業は少なくない。紙のタイムカードは確かに手軽に利用できるが、従業員はタイムスタンプを押すために出社しなければならない。この方法では多様な働き方への対応が難しいだけでなく、デジタル化されていないためにITシステムのメリットも引き出せない。今回はビジネスWi-Fiと新しい勤怠管理の組み合わせによるメリットを考えてみたい。

デジタル化の恩恵を阻む紙のタイムカードの存在

 ビジネスWi-Fiが導入されると、従業員はオフィス内の好きな場所で業務をしたり、コミュニケーションしたりできるようになる。その延長線上にはオフィス外も含めた場所を選ばないテレワークという働き方があり、ビジネスWi-Fiとテレワークの組み合わせは従業員の働き方の幅を広げ、生産性向上にもつながると本連載で何度も触れてきた。

 ビジネスWi-Fiは、オフィスの機器やシステムとの組み合わせにおいても大きなメリットをもたらす。前回はビジネスWi-Fiと複合機の組み合わせが業務の効率化につながると解説したが、同様に、従来は紙のタイムカードの利用が多かった勤怠管理という領域においても、ビジネスWi-Fiによって大きなメリットを引き出せる。

 長年、勤怠管理に紙のタイムカードを利用している中小企業は、電気代がかからずランニングコストも安く抑えられる。しかしそこには、デジタル時代に得られるメリットが得られないという落とし穴が存在する。

 紙のタイムカードの場合、従業員は打刻機にタイムカードを差し込まなければならない。そのためにはオフィスに出社する必要があり、直行直帰なら後日時間を書き込み、上司の了承を得る。テレワークなどの働き方をしていれば、この時点で手間が増え生産性が下がる。

 さらに、紙のタイムカードに押された出勤、退勤の情報はアナログデータであり、勤怠管理システムなどで利用するためには、人事担当者がデータを転記するか、OCRなどで読み込まなければならない。当然そこには人手がかかり、タイムラグも発生する。リアルタイムなデジタル処理とはかけ離れた状態だ。

 この紙のタイムカードの呪縛から抜け出すには、どんな方法があり、ビジネスWi-Fiとの組み合わせでどんなメリットが生み出されるのだろうか。

デジタルな打刻がさまざまなメリットをもたらす

 紙のタイムカードに代わるデジタル化された打刻方法はいくつもある。ビジネスWi-Fiが導入されているオフィスで真っ先に挙げられるのが、従業員が個々のパソコンから“タイムカード”機能を持った勤怠管理ソフトを立ち上げて、打刻することだ。ソフトにIDやパスワードを入力させれば本人確認が行える。テレワーク環境でも同様の作業ができる。

 店舗や工場のように働く場所がある程度固定されている場合には、勤務場所の従業員の出入り口や受付などに現在の紙の打刻機ではなく、タイムスタンプ機能を持ったタブレットなどを設置するという方法もある。勤怠管理システムによっては、個人確認用のQRコードなどを発行する機能が提供されていたり、カメラで顔写真を撮影して本人確認する顔認証機能が提供されていたりするものもある。

 受付で使用するようなタイムスタンプの機能をスマホアプリとして提供するシステムもある。出勤、退勤をスマホから打刻できるのでどこにいてもタイムスタンプを押せる。GPS機能を併用すれば同時に位置情報も取得できるので、従業員がどこで仕事をしているかという情報も記録できる。

 また、アプリをインストールしたスマホと連動して自動で打刻する機能を提供しているシステムもある。店舗のマーケティングで紹介したWi-Fiの機能を活用したもので、ビジネスWi-Fiの圏内に入ると自動で打刻する。これにより打刻忘れや不正な打刻を防ぐことができる。

 このようにデジタル化されたタイムスタンプの活用によって、業務面でいくつものメリットがもたらされる。まず、出退勤情報をデジタルデータとして取得するため、人手を介さずリアルタイムに勤怠管理システムに記録され、出勤簿が自動で作成される。

 出勤簿に記録されているデータは、日別、週別、月別などの勤務状況を一覧できる。個人はもちろん、部門別、部署別などさまざまな切り口から確認できるので、超過勤務の状況をリアルタイムに把握して、部署を担当する管理職にアラートを出すこともできる。従業員別に状況を把握すれば、そのデータを元にした対策もとれるだろう。

 あらゆる企業が働き方改革に取り組んでいる今、勤務時間の適切な管理は重要な経営課題の一つといえる。また、それにより残業時間を削減できれば人件費の適正化につながり、業績の向上も期待できる。ビジネスWi-Fiと最新の勤怠管理システムとの組み合わせは、従業員の働き方の選択肢を広げるだけでなく、勤怠管理業務を大幅に効率化する。そして蓄積された勤怠管理データの活用は、経営改善の効果的なツールになる可能性を秘めている。

執筆=高橋 秀典

【TP】

あわせて読みたい記事

  • ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)

    ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する

    Wi-Fi スキルアップ

    2025.02.07

  • ビジネスWi-Fiで会社改造(第43回)

    ビジネスWi-Fiを活用し、自治体DXを推進しよう

    Wi-Fi スキルアップ

    2025.01.30

  • ビジネスWi-Fiで会社改造(第42回)

    建設・土木の働き方を変えるビジネスWi-Fi

    Wi-Fi スキルアップ

    2025.01.09

連載バックナンバー

ビジネスWi-Fiで会社改造