ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
インターネットの活用が進む現在でも、企業活動における電話のニーズは高い。企業内では今でもPBXを導入して代表番号や内線を利用しているケースが少なくない。ただ、この業務スタイルはいつでもどこでも働ける環境を実現する障壁になりかねない。なぜなら、誰かがオフィスに出社して電話を取る必要があるからだ。しかし、仕方がないと諦めるのは早計だ。
新型コロナウイルス感染症拡大防止のために緊急事態宣言が発令され、オフィスに出社しないテレワークが一気に広がった。しかし、オフィスには代表電話があり、不特定多数の顧客や取引先から電話がかかってくる。誰かが代表電話に対応しなければ企業活動に支障が出る。そのため、一部の部署や担当者はテレワークへシフトできないという事態が発生した。
企業活動のコミュニケーションのメイン手段である電話は、インターネットが普及した今でも多く使われている。この電話回線を有効に利用するために企業に導入されてきたのがPBX(構内交換機)である。PBXを使えば代表電話にかかってきた電話を担当者につないだり、従業員同士が内線で通話できたりする。
PBXによってオフィスの電話は非常に便利になり、多くの企業が導入した。アナログからデジタルへと機器も進化している。ただし、これらは基本的にはオフィスに出社して働く業務スタイルを前提としたものだ。そこで、これまでとは異なる業務スタイルにも対応できるサービスが提供されるようになった。それがクラウド電話、あるいはクラウドPBXといわれるものだ。
クラウド電話とは、オフィスに設置されているPBXの機能をそのままクラウド上に移したものだ。ベースにはIPというインターネット技術などが活用されている。オフィスにPBXを設置しなくても内線通話機能とPBX機能を実現できるため、クラウド上で今までと同等の機能を利用できると考えてよいだろう。
物理的なPBXを持たないクラウド電話だが、これまで使っていた電話番号をそのまま利用できるケースがほとんどだ。オフィスの電話機から発信すれば相手先にはこれまで使っていた会社の電話番号が表示され、大代表や部門代表といった従来の代表電話で受けた電話は内線電話機能によって転送できる。もちろん、内線同士の通話も可能だ。
クラウド電話により提供される機能はこれだけではない。通信の基盤としてインターネットが使われているので、社外から接続しても同様の機能が提供される。外出先からは会社の電話番号で発信できるし、自分の直通番号はもちろん、代表電話にかかってきた電話も転送によって受け取れる。
また、PBXをクラウド化しているため導入コストや保守コストを抑えることができ、PBXの設置スペースも不要になる。複数拠点を展開している場合はクラウド上で一元管理が可能で、既設のPBXやビジネスフォンもそのまま利用できる。クラウド電話は従来のPBX以上に便利な機能が提供されているのだ。
コスト削減につながり、社内外で便利な機能を利用できるクラウド電話は、場所だけでなく利用できるデバイスについても自由度が高い。オフィスに据え付けられた電話機だけでなく、スマートフォンなどさまざまなデバイスを電話機として利用可能だ。
ただ、せっかく社外からも利用できるクラウド電話を導入したのに、従来のような有線を社内に張り巡らせていてはメリットを引き出せない。ビジネスWi-Fiを導入し、オフィスでも場所を選ばずに働ける環境を整えれば、利便性がさらに高まる。
もちろん、どんなビジネスWi-Fiを導入するかには配慮が必要だ。通信環境が悪かったり、ビジネスWi-Fiの機能が低かったりすれば、通話の品質に影響が出てしまう。電波干渉がないか、回線速度は十分かなどビジネスWi-Fi導入の基本事項についてきちんと把握しておく必要がある。
安心できるビジネスWi-Fi環境とクラウド電話の導入で柔軟な働き方ができれば、生産性向上にもつながるだろう。ビジネスWi-Fiと組み合わせ、これまでのPBXの常識から抜け出して電話の世界でもデジタルのメリットを引き出してほしい。
執筆=高橋 秀典
【TP】
ビジネスWi-Fiで会社改造
審査 24-S1007