ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
コロナ禍でリモート開催を余儀なくなされた大規模イベントのリアル開催が復活している。それらは集まった人たちを盛り上げる仕掛けが用意され、多くがスマートフォンを活用したものになっている。ここで必要なのが、ストレスなくアプリを利用できる通信環境だ。安定した通信環境を提供するためビジネスWi-Fiが導入されるケースが増えている。
2020年以降、コロナ禍で大規模イベントはオンライン開催を余儀なくされてきた。しかし、近頃は屋内外を問わず再びリアルでの開催が増えている。リアル開催で大きく変わったのは、デジタルを利用した仕掛けがより多く盛り込まれるようになった点だろう。デジタルはコロナ禍以前も活用されていたが、質量共に増えつつある。
入場時の電子チケットをはじめイベント会場で参加できるクイズやゲーム、出店しているショップの割引が受けられるクーポン、リアルタイムなプレゼンテーション動画などのコンテンツに加え、電子決済、モバイルオーダーなど、スマホで利用できるさまざまなコンテンツ、サービスが提供されるようになり、イベントがより立体的に楽しめるものになっている。
これらのコンテンツ、サービスを利用するにあたり、スマホには携帯キャリアなどが提供するモバイル通信機能があるため、会場に特別なネットワークは必要ないと判断するのは早計だ。開催場所や会場内の位置によってはモバイル通信の電波が入りにくい場合がある。さらに、一度に多くの人が通信しようとするため、つながりにくかったり通信速度が低下したりすることがある。
用意したコンテンツを使ってもらえなければ、ビジネス機会を損失するかもしれない。電子決済やモバイルオーダーができず待ち行列ができてしまうと、かえって来場者にストレスを感じさせる事態にもなりかねない。
そこで考えたいのが、イベント会場来場者へのフリーWi-Fi環境の提供だ。一時的にビジネスWi-Fiを設置して、モバイル通信に頼らない通信環境を用意すればイベントの中身の充実を図ることができる。
実際に、一時的にビジネスWi-Fiを導入する事例は増えている。4万人が来場したある大規模な音楽イベントでは、約1万㎡の野外会場に14台のWi-Fiアクセスポイントを設置して安定した通信環境を提供した。ピーク時には1900人がイベント用のフリーWi-Fiを同時利用し、2日間で7000人が利用したという。
テレビ局が実施したクイズ大会では、4000人以上が参加する会場に1600台のスマホを同時接続できるWi-Fi環境を用意した。2Fの観客席を含め、ビジネスWi-Fiのアクセスポイントを適切な台数を設置して、接続環境を提供した。
またある都市の商工団体の記念式典では、会場がモバイル通信の電波が届きにくい地下にあったため、ビジネスWi-Fiを導入してイベント告知のPR動画を配信するなど、式典を盛り上げる仕掛けを用意した。
ビジネスWi-Fiの一時的な設置は短期間で設置・撤去できる点も大きな魅力だ。イベントの規模やビジネスWi-Fiの条件によっても異なるが、会期中だけ提供できるようにすれば費用を抑えられる場合が多い。
大規模会場全体をカバーし、来場者がストレスなく利用するために必要な同時接続台数を費用的に賄えない場合は、スタッフ用のビジネスWi-Fi環境だけでも用意しておこう。モバイル通信の混雑緩和に加え、スタッフの業務停滞も回避できる。柔軟な発想でより良い通信環境を構築し、せっかく開催するイベントを成功させてほしい。
執筆=高橋 秀典
【T】
ビジネスWi-Fiで会社改造
審査 24-S1007