ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
文部科学省では「GIGAスクール構想」を掲げ、小中学校の教育現場における1人1台のデジタル端末と高速ネットワークの整備を推進している。狙いは教育レベルの向上と学校運営の効率化にある。
ほぼ全ての教育現場に端末とネットワークが整備され、当たり前のようにWi-Fiが活用される。この流れはこれからの教育現場のあり方を変えていくだろう。それでは、教育現場はどう対応するべきなのだろうか。
GIGAスクール構想の背景にあったのは、ICT化が遅れている教育現場に対する強い危機感だ。世界最大のシンクタンクといわれる経済協力開発機構が2018年に行った学習到達度調査で、日本の学校におけるデジタル機器の利用時間が加盟国中最下位であると判明したのである。
教育現場に積極的なICT投資を行う自治体はあったものの、日本全体ではデジタル活用が広がっていなかった。強い危機感を覚えた文部科学省は、2019年12月に全国の小中学校に1人1台のデジタル端末を導入し、高速ネットワークを整備するという世界的にも画期的な施策、GIGAスクール構想を打ち出したのである。
当初は2023年度を完了目標年度としていたが、新型コロナウイルス感染症拡大により登校できない状況が続いたため、計画自体が前倒しされた。2021年度にはデジタル端末の配備がほぼ完了し、2023年度は高等学校でも整備が進められた。
デジタル端末の導入とネットワーク環境の整備は、教育現場に大きなメリットをもたらす。まず、デジタルコンテンツを利用した授業を行えるので、大幅な学習効率向上が期待できる。生徒側は動画や画像、音声などを活用した多角的な教育を受けられるようになる。
さらに、これまでのように画一的な教育ではなく、一人ひとりに合わせて個別最適化した教育を提供し、個々の進捗状況が容易に確認できるようになる。生徒参加型で学習する協働学習も実現する。
学校教育の現場に急速にICTが広がり、教育そのものも大きく変わりつつある。デジタル端末やWi-FiといったICT環境が当たり前となり、その上でどんなアプリケーションを活用するのか、どんなメリットを生み出すのかが議論されるようになる。
全ての小中学校の生徒がICT環境の下で教育を受ければ、デジタル格差は縮まる。そのためには、全ての人がある程度デジタルを駆使して情報を活用する力を身につけることができる教育がより求められるようになる。
ここで鍵となるのは、いかに快適なネットワーク環境が整備されているかだ。GIGAスクール構想でも、運用面の課題としてネットワーク環境が指摘されてきた。2021年7月に実施されたアンケート調査では、「インターネット接続が遅い」という点が課題の1つに挙げられた。
教育現場でのデジタル活用が広がるにつれて、ネットワーク環境は常に重要なテーマとなる。理由は、画像や映像を駆使したデジタルコンテンツや、デジタル端末同士のコミュニケーション機会が増えるからだ。
デジタル活用のメリットを最大限に引き出すためには、スムーズにデータのやり取りができる環境が求められる。そのためには通信速度が速く、大容量のデータを扱うことができ、同時に複数のデジタル端末が接続しても安定した通信が可能なWi-Fi6対応のビジネスWi-Fiが必要になる。
また、個別に最適化された学習を提供し、その進捗を把握していくためにはプライバシーへの配慮も必要になる。個人情報の漏えいなどを防止するには、新しいセキュリティ規格に対応し、セキュリティレベルが引き上げられているWi-Fi6の利用が最適といえる。
GIGAスクール構想によって生まれた教育現場におけるICT活用の大きなうねりは、今後もますます大きくなると予想される。質の高い教育を提供するためには、快適かつ安心安全なネットワーク環境を整備する必要があるだろう。
執筆=高橋 秀典
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ビジネスWi-Fiで会社改造