ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
建設工事や土木工事の現場では多くの人が役割分担をしながら働いている。進捗状況を相互に確認したり、現場の様子を管理者に伝えたりといった情報共有が欠かせない。これをスムーズに行うには通信環境の整備が必要になる。
しかし、工事のために有線LANの配線工事を行うのは費用もかかり現実的ではない。そこで最近ではWi-Fi、しかも通信速度が速く安定したビジネスWi-Fiが活用されている。大規模工事の事例をいくつか見てみよう。
人手不足に悩む建設工事だが、膨大な費用と手間がかかることから、仮設の通信環境整備は現実的ではないと思われていた。しかし、多様な作業員が相互にコミュニケーションをとり、IoT機器などを利用して効率的に工事を進めるためには、安定した通信環境が求められる。その課題をクリアする1つの手段がビジネスWi-Fiの活用だ。
ある高層ビルの建築工事では、LANの配線工事を行うことなく工事中のビル全体にアクセスポイントを設置してビジネスWi-Fiを導入した。外装・外壁工事が完了した30階建てビルの内装工事を円滑に進めるために、ビル全体に12カ所のアクセスポイントを設置して通信網を確保した。
仮囲いから屋上に設置された機器までの距離は100メートル以上あり、中層階のベランダにも機器を設置した。ビル内部の通信拠点を多段階的に確保し、吹き抜け部分を利用して最上層までの通信環境を整備したという。
次に、土木工事の例を見てみよう。トンネルの工事現場では安全上の理由から、もともと警備設備および通話設備などの通信装置の設置が法律で義務付けられている。設置の手段として、配線作業の手間を省くために、ある鉄道のトンネル工事の現場ではビジネスWi-Fiを導入した。
また、あるメガソーラーの工事現場でもビジネスWi-Fiを導入した。この現場では、屋外用アクセスポイントと長距離通信に対応した指向性アンテナ、ソーラー発電機を組み合わせて、ドーム球場十数個分という広大な敷地をカバーする通信環境を構築した。
建設現場にビジネスWi-Fiを導入するメリットは大きい。安定的な通信の確保で作業員の相互連携をスムーズにする、安全性を確保するといったベーシックな活用方法から、IoT機器を活用し、現場のICT化を進めて働き方改革につなげようという取り組みも多い。
あるゼネコンでは、全国の建築土木工事の現場にビジネスWi-Fiで通信環境を整備すると共に、タブレット端末やWebカメラを導入した。タブレット端末には検査支援システムを搭載し、現場の検査記録データを現場事務所のサーバーに送信している。アクセスポイントについては本部の管理室から統合管理し、現場の作業員に負担をかけることなくアクセスポイントの状態を把握でき、安定した通信環境を実現している。
前述したビジネスWi-Fiにより通信環境を構築したメガソーラーの建設現場では、設備稼働後もこの通信環境を活用している。例えば監視カメラシステムを通信網に接続し、メガソーラーのさまざまな場所の様子を大型モニターに映し出せるようにした。監視カメラは遠隔操作できるようにして死角を減らし、設備全体のリアルタイムな状況を把握できるようになった。これにより、広大な設備の24時間遠隔監視が可能になり、見回り業務の省人化と低コスト化を実現できた。
建設業や土木業のオフィス業務や上流工程では、業務アプリケーション、BIM、CIMといったさまざまなデジタル化を進めてきた。今後は現場でもデジタル化が広がっていくだろう。そのためのIoT機器やロボット、建機なども次々と開発されている。これらの変化を現場に取り入れていくには、工事中の通信環境の整備が不可欠となる。その有力な手段であるビジネスWi-Fiの活用は、人手不足に悩む建設現場の働き方改革のカギとなるかもしれない。
執筆=高橋 秀典
【TP】
ビジネスWi-Fiで会社改造
審査 24-S1007