人生を輝かせる山登りのススメ(第34回) 初夏に訪れたい花の山

スポーツ

公開日:2018.04.20

上高地の河童橋と穂高の山々。新緑の季節は特に美しい

 山の木々が葉を広げ、一斉に色づく今の時期。天気が安定し、天候も穏やかになることから、ハイキングに絶好のシーズンです。今回はこの季節ならではの花が楽しめる山を紹介します。

 東日本からは上高地、琴平丘陵、檜洞丸、長九郎山を、西日本からは御在所岳、霊山、赤石山、大船山をピックアップしました。登山者の力量に応じた山の難易度を星(★1~3つ)で示しているので、各自に見合った山にチャレンジできます。それぞれの花期(かき)に合わせて花と新緑を満喫しましょう。

■上高地のニリンソウ:花期5月上旬〜中旬

(長野県/初心者向き★☆☆)

上高地から徳沢の間でニリンソウの大群落が見られる

 日本を代表する美しい山岳景観の上高地。5月中旬ごろから、ニリンソウの清楚(せいそ)な花が上高地の林床を覆うように咲きます。木々の新緑との色合いがとってもさわやかです。残雪が彩る穂高の山並みを見ながら徳沢あたりまで散策してみましょう。

 バスターミナルから4時間程度で往復できますが、徳沢の山小屋に宿泊し、ゆっくり滞在するのがオススメです。宿探しをするなら公式サイトの施設情報が便利。信州松本のバス会社アルピコ交通が運行している新宿や大阪・京都からの直行バスには、日帰り・宿泊プランがあります。5~6月のお出掛けならこちらも検討してみては。

■琴平丘陵のシバザクラ:花期4月中旬〜5月上旬

(埼玉県/初心者向き★☆☆)

琴平丘陵にある羊山公園はシバザクラの名所。後ろは武甲山

 秩父の名山・武甲山の山麓にある起伏が穏やかな琴平丘陵では、ゴールデンウイークにシバザクラが見ごろを迎えます。丘陵には全国区の知名度を誇る羊山公園があり、とっても色鮮やかなシバザクラを満喫できます。

 西武秩父駅を起点に、秩父鉄道影森駅まで2〜3時間で歩けるハイキングコースはアクセスがよく、家族連れでも手軽に楽しめます。休日は大勢の人でにぎわい混雑しますので、平日に行くと比較的ゆっくり見られるでしょう。

■檜洞丸のシロヤシオ:花期5月中旬〜下旬

(神奈川県/中級者向き★★☆)

シロヤシオが見られる名山として知られる檜洞丸

 西丹沢の盟主である檜洞丸(ひのきぼらまる)は標高約1600mのドッシリとした山です。その山の上部を覆うように咲くのがシロヤシオ。ツツジの仲間で、5枚の葉を付けることからゴヨウツツジの別名を持ちます。シロヤシオは年によって花数が大きく変わるのが特徴です。数年に一度の当たり年には山が白く見えるほど多くの花を付けますが、ハズレるとポツポツとしか咲かないことも。今年はどうでしょうか?

 登山道は西丹沢ビジターセンター(旧西丹沢自然教室)からの周回コースがあり、7〜8時間のハードコースです。

■長九郎山のアマギシャクナゲ:花期5月中旬〜6月上旬

(静岡県/中級者向き★★☆)

長九郎山のアマギシャクナゲ。ピンクの花がかわいらしい

 伊豆半島に自生するアマギシャクナゲといえば、天城山(万二郎岳、万三郎岳)が有名ですが、西伊豆に位置する長九郎山も木の数が多く、見応えがあります。山頂周辺に見られる大木の中には樹齢100年以上のものもあるとか。山頂の展望台からはアマギシャクナゲが交じる森を見渡せます。花を近くで見れば、中心部は白っぽく、フリルのような花びらの縁がピンクに色づき、かれんです。

 道の駅「花の三聖苑伊豆松崎」が近くの大沢温泉口を起点に山頂までの往復で5時間半ほどのコースです。

■御在所岳のアカヤシオ:花期4月下旬〜5月上旬

(三重県/中級者向き★★☆、ロープウエーで行くなら★☆☆)

御在所岳の登山道にある奇岩・地蔵岩とアカヤシオ

 標高1212mの御在所岳は鈴鹿山脈の主峰です。この山が最も美しいのはアカヤシオの咲く時期。木々の葉が展開する前に鮮やかなピンク色の花を咲かせ、目を引きます。花の多い年は、山を赤く染めるほど。特に御在所岳から北側、国見岳へ向かう斜面に多く咲くので、ぜひ足を延ばしてみてください。

 中道と呼ばれる登山道の「負ばれ石」や「地蔵岩」などの奇岩も見どころです。途中には鎖が付けられた岩場の通過もあります。岩場の登下降に自信がない人はロープウエー(※)を利用して手軽に山頂に立つこともできますよ。

※御在所ロープウエー:今年6/1(金)〜7/10(火)まで定期点検およびリニューアル工事のため運行休止

■霊仙山のヤマシャクヤク:花期5月上旬〜中旬

(滋賀県/中級者向き★★☆)

純白の花が清楚(せいそ)なヤマシャクヤク

 鈴鹿山脈の北に位置する霊仙山は、まさに花の名山。雪解け後に咲くフクジュソウに始まり、ミスミソウ、ニリンソウなど登る時期によって異なる花が楽しめます。中でもぜひ見たいのがヤマシャクヤク。純白の大ぶりな花を上向きに咲かせる姿に気品が感じられます。今、増え続けているニホンジカはこの新芽が好物のようで、九州や四国、関西では群落が減っているところもあるそう。大切に守っていきたい花の1つです。

■赤石山のアケボノツツジ:花期4月下旬〜5月中旬

(愛媛県/上級者向き★★★)

西赤石山の山肌をピンクに変えるアケボノツツジ

 赤石山は標高1700m前後ですが、カンラン岩からなる特殊な地質のため、高山性の植物が多く見られる山です。アケボノツツジは丸みを帯びたかわいらしい花で、アカヤシオとよく似ています。西日本のいろいろな山で見られますが、西赤石山から東赤石山にかけての大群落は圧巻。これだけの規模で咲く山は他にないでしょう。

 別子銅山跡から西赤石山、東赤石山へ、1泊2日で縦走すると赤石山の魅力をたっぷり楽しめるでしょう。

■大船山のミヤマキリシマ:花期5月下旬〜6月中旬

(大分県/中級者向き★★☆)

大船山のミヤマキリシマも鮮やかで見応えあり

 くじゅう連山は、九州本土の最高峰・中岳を中心とした、久住山、星生山、三俣山などからなる火山群です。初夏はミヤマキリシマの群落が美しいことで知られますが、特に密度が濃いのが北部の大船山や平治岳。毎年、多くの登山者が花を目当てに出掛けます。ミヤマキリシマは、花は小ぶりですが、色鮮やかで、咲きそろった年には、まさにじゅうたんのように山を彩ります。一度は目にしたい絶景です。

 ここで紹介した花々と咲き誇る時期は例年のものです。今年は春に気温の高い日が続いたので、表記より花期が早まる可能性があります。事前に観光協会などに問い合わせ、花の咲き具合を確認してから出掛けるとよいでしょう。期間限定の山の景色、ぜひ楽しんでください。

執筆=小林 千穂

山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。

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