ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
長く、美しい裾野を引く富士山。どこから見ても、一目で分かるきれいな円すい形をしています。これは繰り返し噴火することにより形成される成層火山の特徴でもあります。静岡で育ち、今は山梨で暮らしている私は、さまざまな場所からの富士山を眺めてきました。よく観察してみると、実は方向によって富士山の表情は違うのです。
世界遺産である富士山は、登ってよし、眺めてよしの素晴らしい山です。今回は見え方の違いに注目しながら、東西南北、富士山周辺の展望台を巡ってみましょう。
最初に行くのは富士山の東側、静岡県御殿場市と神奈川県箱根町との境にある乙女峠。この記事の最初の写真は乙女峠ふじみ茶屋から行ける展望台から撮影したものです。国道138号が通っているため車で行きやすく、人気の絶景ポイントです。ここから見る富士山は山頂部がギザギザしています。そして約300年前の噴火でできた大きな宝永火口が左中腹にあるのが特徴。手前には御殿場の市街地が広がっています。夜景もきれいなので、夕景を眺めるのもいいでしょう。
御殿場からもう少し南下して、南東側に位置する沼津や伊豆からは、宝永火口を正面に抱えた姿を見ることができます。静岡県東部の人にとっては宝永火口のある姿こそが富士山なのだとか。ロープウエーで行ける伊豆葛城山の富士見テラスなどから眺めてみてください。
次は、富士山の裾野を回って南西側へ向かいましょう。富士山本宮浅間大社がある富士宮市からは山頂がとがった富士山を見ることができます。富士宮から見上げると、富士山山頂の最高点である剣ヶ峰(3775.6mの三角点がある場所)が山頂部の中央に来るので、一般的にイメージする富士山とはちょっと違う形を楽しめます。また、山の上部に少し膨らみがあり、武骨で力強い印象です。富士宮市に2017年に開館した静岡県富士山世界遺産センターの最上階ホールからは、真正面にそびえる富士山を眺められますよ。
富士宮にある静岡県富士山世界遺産センターから。山頂がとがっている
富士宮からさらに南西に約25㎞離れた、松林が生い茂る海岸、三保の松原からは、駿河湾越しの山が望めます。富士山世界文化遺産の構成資産にも登録されている三保から見た富士山は、宝永山が右の中腹に飛び出しているのがご愛嬌(あいきょう)。松と海とが組み合わさった富士山の眺めは、いかにも日本的です。
続いては富士山の西側へ回ってみましょう。白糸の滝と朝霧高原の中間あたりにある田貫湖も富士山の絶景スポットです。ここから見た富士山の特徴は、まるで縦真っ二つに割るように走る巨大な溝が目立つことでしょう。
これは「大沢崩れ」という、日本最大規模の崩壊地で、長さ約2.1㎞、最大幅500m、最大深さ150mもあるといわれています。現在でも崩壊が続いていて、毎年10t積みトラックで3万台分もの土砂が流出しているそうです(富士砂防事務所「大沢崩れの現状」ページより)。地形図を見ると分かるのですが、富士山は西側の斜面が他に比べて急傾斜になっています。そのため大規模な崩壊が起こりやすいと考えられています。
田貫湖からは真ん中に大沢崩れのある姿が印象的だ
ちなみに、田貫湖では毎年4月20日、8月20日前後の午前6時ごろ、富士山頂から朝日が昇るほんのわずかな時間、「ダブルダイヤモンド富士」が見られます。山頂にきらめくダイヤモンドを思わす朝日が、晴天で風がないなどの条件がそろうと鏡のように静まった湖面に映る。その様子が楽しめるかもしれません。日にちを合わせて見に行くのも楽しそうですね。
最後は富士五湖がある山梨県側、北からの富士山。五湖のどこからも美しい富士山が眺められますが、私のお勧めは河口湖近くにある三ツ峠山からの展望です。ここは富士山からの距離もほどよく、前景に邪魔をするものがなくて、雄大な裾野の広がりが望めます。
裾野を長く引き、より大きく見える三ツ峠山からの富士山
注目したいのは、その裾野の美しさ。山頂部から流れるように落ちる、左右対称のカーブが見事です。自衛隊演習所の草原が山麓に広がっているのがちょっと気になるかもしれませんが、個人的には山の形が抜きんでて素晴らしいと思います。北西側にある三つ峠登山口バス停からのルートを使えば1時間半程度で登れるので、雪のない季節に好天を狙って行ってみてください。
富士山をぐるりと一周回りながら、眺めてみました。みなさんはどの角度からが好きですか?じっくり見ると、富士山もいろいろな表情をしています。今度、富士山を眺めるときは、細かな凹凸にも目を向けてみてください。
執筆=小林 千穂
山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。
【T】
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