人生を輝かせる山登りのススメ(第15回) おもしろ山名を探せ!<難読山名>

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公開日:2016.09.29

 地図や登山のガイドブックを見ていると、不思議な山名を見ることがよくあります。今回は面白い山の名前から、普通には絶対に読めない難読山名を、その由来や伝説とともに紹介します。

『日本書紀』にも登場する歴史ある名前、後方羊蹄山

 おなじみ、「日本百名山」の中にもどのように読むのか、悩まされる山がいくつかあります。その筆頭は富士山そっくりの形をしていて蝦夷(えぞ)富士とも呼ばれる後方羊蹄山(北海道、1898m)。普通に読めば「こうほうようていざん」ですが、これは「しりべしやま」と読みます。北海道に多いアイヌ語由来の山名かと思いきや、「後方羊蹄」という名は『日本書紀』にも載っていて(この山のことであるかは不明)、日本語由来だというから驚きです。「後方」は漢字の通り「後ろの方」で「しり」、「羊蹄」は植物のギシギシのことだそう。ギシギシは「シ」ともいわれて、これが後方(しりへ)羊蹄(し)となったといいます。最近は「後方」を略して「羊蹄山(ようていざん)」と呼ばれるようになりました。

わざと読みづらくしたでしょ?皇海山

 また栃木と群馬の県境にある皇海山(2144m)は「すかいさん」ですが、多くの人は「こうかいさん」と読むでしょう。でも「こうかいさん」もあながち間違いでもないかもしれません。というのは、この山はどっしりとした山容が「笄(こうがい、髪を結う道具)」に似ていたことから付けられたといわれているからです。明治から大正時代にかけての登山家で、山岳研究を行っていた木暮理太郎の説によると、「笄」→「皇開」→「皇海」と当て字され、さらに「皇」を「スメ」と読んで「スカイ」となったという複雑な経緯をたどったといいます。

 去年の秋、この山に登りましたが、あまりに行程が長く、山頂までたどり着くことができませんでした。標高はそれほど高くないので、簡単に登れるだろうと思ってしまい、計画が甘かったかなと後悔(皇海)しています。近いうちにもう一度挑戦します。

山のキラキラネームの代表、雲母峰

 三重県の鈴鹿山系には雲母峰(884m)があります。これは「うんもみね」ではなく、「きららみね」。この山でキラキラと光る鉱石の雲母が採れたことが由来です。その名を聞くだけで登って見たくなるような美しい山名ですが、山にもキラキラネームがあるのですね。

 光るといえば、南アルプスにある光岳は「てかりだけ」と読みます。山頂にある白い大きな岩が、日の光で輝くことから「光石(てかりいし)」と呼ばれるようになり、それが山名になったといわれています。誰が付けた名前か分かりませんが、シャレがきいていていい山名だと思いませんか?

3つの尾の伝説がある一尺八寸山

 さて、このように挙げたらキリがないほど難読の山名は多くありますが、その中でも最も「読めない山」とされているのが「一尺八寸山」。当然「いっしゃくはっすんやま」ではありません。正しくは「みおうやま(みおやま)」(大分県、707m)。この山は1996年に地域振興を目的として、大分県日田市で行われた「日本全国難読山名サミット」で1位に選ばれました。由来は中津市公式観光サイトによると、昔、この山に三ツ尾を持つ蛇がいて、その尾の長さを足すと一尺八寸あったことから名付けられたと紹介されています。ほかに、昔、代官がこの地を荒らしていたイノシシを捕まえ、三頭の尾を切ってつなげたところ、一尺八寸だったという話も。この地域は難読の山が多く、この近くには月出山岳と書いて「かんとうだけ」と読む山もあります。

 ここで紹介した山は、登山道があって登ることができ、国土地理院発行の『2万5000分の1地形図』にも載っています(後方羊蹄山は羊蹄山と表記)。国土地理院のサイト「地理院地図(電子国土Web)」で山名を検索することもできますので、ぜひ地形図で確認してみてください。
 今回は難読山名からいくつか紹介しましたが、ほかにも舌をかみそうなほど長い名前の山や、登れば幸運をもらえそうな縁起のいい山名、どうしてそんな名前になったのか首をかしげたくなるような変わった名前の山もありますので、また、別の機会に紹介しましょう。お楽しみに。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2016年8月30日)のものです。

執筆=小林 千穂

山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。

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