人生を輝かせる山登りのススメ(第14回) 見たままの感動をうまく撮るコツ5つ

スポーツ

公開日:2016.08.25

 山に行ってきれいな景色に出会ったら、それを写真に残したいと思う人も多いでしょう。でも、家に帰ってきて撮った写真を見てみると、あれ? イメージ通りに撮れていない……ということ、ないですか?

 今回は、山の写真を失敗なくキレイに撮るポイント5つを紹介します。レンズの絞りやシャッタースピードなど、カメラの難しい機能には触れず、スマートフォンのカメラアプリでもすぐに実行できるコツをお伝えします。あと1カ月もすると高山は紅葉に彩られはじめ、最も華やかな季節を迎えます。印象に残る写真を撮って、思い出に残しましょう。

ポイント1:山を高く見せたいなら、空を入れすぎない

 山の上に真っ青な空が広がっていたら、最高に気持ちがいいですよね。そんなときはついつい空を大きく入れて写したくなるもの。でも、そこで欲張ってはダメです。

 写真の主役は山なのか、空なのか、そのどちらかに決めましょう。両方を撮ろうとすると、中途半端な写真になってしまいがちです。印象に残る写真を撮るポイントは、本当に撮りたいものだけに絞ることです。

質問:<写真1>と<写真2>を見比べてみてください。山が高く見えるのはどちらでしょうか。

 <写真1>は空を大きくした分、山は小さくなってしまいました。一方で<写真2>は画面に大きく山が入り、山も大きく見えます。

 このように、主役を山にする場合、空は多くても全体の4分の1程度にするとよいでしょう。空を大きく入れると、その分、空間ができて、力の抜けた写真になってしまいます。高く、迫力ある山を表現する場合は、空を大きくせず、山を画面いっぱいに入れるのがポイントです。

 ちなみに山の写真で空を主役にするのは、単調になりがちで、難易度は高めです。挑戦するなら天候の変わり目など、雲に表情があるときを狙うとよいでしょう。

ポイント2:縦か横か、違いを考える

 写真を撮るとき、横位置(カメラを普通に構えて撮った、横長の構図)で撮ることが多いのではないでしょうか。カメラは横位置で設計されているから当然のことと思います。しかし、山を前にしたら、シャッターを切る前に横にするか縦にするか、ちょっと考えてみてください。

質問:今、あなたが撮りたいと思っている景色は山の広大さですか? それとも高度感ですか。

 このように広く続く山並み、どっしりとそびえる山など、景色の広がりや、山の大きさを撮りたいときは横位置で撮るのがお勧めです。

 山の高さ、岩場の高度感を撮りたいときはカメラを縦に構え、縦位置で撮ってみてください。<写真4>は画面が縦に長い分、視線も上下に大きく動き、高度感を与える写真になっています。

 慣れないうちは縦と横、両方の構図で撮っておき、見え方の違いを比べるとよいでしょう。

ポイント3:光が差す瞬間を逃さない

 山では霧や雲によって、日光が照ったり、隠れたりが繰り返されることがよくあります。その変化をうまく利用しましょう。

質問:<写真5>は光が陰った写真、<写真6>は山に日照が当たったときに撮ったものです。どちらに山の迫力を感じますか。

 <写真6>のほうが色味が鮮やかで、陰影がシャープになり、生き生きとした印象に見えることと思います。対象物への光の有り無しでだいぶ印象が違って見えるものです。写真を撮るときは、狙う被写体に光が当たった瞬間を逃さないようにしましょう。私は、時間のあるときは太陽が雲から出るまで待って、写真を撮ることもあります。

ポイント4:花は近づいて撮る

 山では登らないと出会えない花が咲いています。貴重な花を見つけたら、キレイに写真に残したいですよね。高山植物を撮るときは、花の近くに寄るとひと味違った写真が撮れます。

質問:あなたが撮りたいと思っているのは、花の説明写真ですか。それとも花の美しさですか。

 こちらはクガイソウの花を撮ったものです。群落の中でひときわ形のいい花にカメラを近づけ、画面いっぱいに撮りました。花の特徴がよく分かる写真です。

 こちらはカメラをさらに近づけて撮ったもの。同じ花ですが、水滴に映る世界まで表現でき、<写真7>とは全く違う印象になっています。

 花の様子を記録に残すという意味では<写真7>が優れているかもしれませんが、花の美しさを焼き付けるという目的なら<写真8>の写真のほうが上だと思います。カメラを近づける、離すという単純な動きだけで画面のイメージもこれだけ変わりますので、ぜひ自分が表現したい構図をいろいろと試してみてください。

 ちなみに<写真7><写真8>は、ともにスマホ(iPhone6)で撮りました。今はスマホのカメラも高機能になっていて、特殊なレンズがなくてもこれだけキレイに撮ることができます。山の写真を撮るのにも、身近なスマホカメラを使わない手はないですよね。

ポイント5:彩りを入れよう

 ただ目に映ったものを漠然と撮るだけでなく、画面の中の色合いを考えるとより目を引く写真となります。

質問:<写真9><写真10>は同じお花畑を撮ったものですが、どちらの印象が良いですか。

<写真10>は青い花も入れて、彩りが良くなるように考えて撮った写真です。<写真9>に比べて画面が華やかになっているでしょう。目に見えている風景のどこを切り取るかをちょっと考えるだけで、印象深いものになるのです。

 これから迎える紅葉シーズン、秋の景色を撮るときは<写真11>のように、色付きの良い木を見つけて、それを画面の手前に入れると、写真全体の色がキレイに見えます。

 印象深い山の写真を撮る方法、いかがでしたか。本格的なカメラだけでなく、スマホでも使える技術なので、これから山に出かけたときに参考にしてください。 ただし、撮影に夢中になって、登山道からはみ出したり、足元に生える他の植物を踏んだりといった登山のマナー違反をしないようくれぐれも注意してください。

執筆=小林 千穂

山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。

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