ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
業務効率化やデジタル化によるDX化推進が企業の課題となる中、公的な支援制度をいかに活用するかも、今後の競争力強化や企業成長のカギを握る。各種補助金や助成金の活用がDX化を大きく前進させる。今回は、企業の補助金や助成金制度の活用状況について日経BPコンサルティングのアンケートシステムを用い、同社保有の調査モニター3072人を対象に調査を実施した。
まず、主な補助金や助成金についての認知度を聞いたところ、「IT導入補助金2023」が27.9%となり1位となった。2位には「働き方改革推進支援助成金」(19.3%)が続いた。その他のものについては10%未満となり、「知っているものはない」に最も回答が集中した(63.0%)。企業の補助金・助成金は多くの人にとっては認識外の状況が見て取れる結果となった。
【図1-1 各種の補助金・助成金についての認知度】
従業員規模別に分析すると、特に中小企業でのIT導入補助金の認知率が高いことが分かる(99人以下の企業で35.3%、100~299人の企業で34.3%)。一方で、大企業では6割超が「知っているものはない」と回答し、企業規模が大きくなるにつれて制度認知が低い傾向となった(図1-2)。
また役職別に分析すると、IT導入補助金について会長・社長、役員といった経営に関わる層でそれぞれ50.3%、50.0%と高い値となった。他の補助金・助成金についても同様の傾向が見られ、「知っているものはない」という回答は役職が下がるほど増えた。この点から経営層などが自社の経営課題に対し、国の補助を活用しようという意識が高いのが分かる(図1-3)。
【図1-2 各種の補助金・助成金についての認知度(従業員規模別)】
【図1-3 各種の補助金・助成金についての認知度(役職別)】
次に、実際に補助金や助成金について申請したことがあるもの、申請予定のものについて尋ねた。以下でその使途などにも触れつつ紹介していきたい。
トップはIT導入補助金(「申請したことがある」(12.9%)、「申請予定」(6.8%))となり、働き方改革推進支援助成金がそれに続く結果となった(図2)。
【図2 各種の補助金・助成金の申請状況】
補助金・助成金を利用し導入した、または導入予定のサービスについて聞いたところ、「パソコンやタブレット等のオフィス機器」に回答が集中し最多となった(38.1%)。2位にはクラウドストレージ(23.2%)が、3位には勤怠管理ツール(22.7%)、4位に同率で「セキュリティ対策ソフト等」「テレワークの整備機器やソフト」(共に21.1%)が続いた(図3)。
【図3 補助金・助成金の活用方法】
最後に補助金や助成金の利用検討や申請時の相談先について聞いた。1位は「補助金で導入するサービスの提供事業者」(46.9%)となり、2位に「各補助金や助成金のヘルプデスク」(29.9%)、3位に「その他社外の相談先」(24.7%)となった(図4)。ほぼ半数が、例えばIT系の補助金であればITベンダーに相談するといったように導入元に相談しているのが分かった。
【図4 補助金・助成金活用に際しての相談先】
補助金や助成金の利用検討・申請にあたって大きな壁となりがちなのは、自社の課題整理に加えて各種の申請要件や手順の正しい把握にある。特に、「IT導入補助金2023」は、デジタル化基盤導入枠に「複数社連携IT導入類型」「商流一括インボイス対応類型」などが新設された。活用を検討する場合には、より正しく自社課題の分析と申請要件・手順の把握を行う必要がある。専門家の知見なども上手に活用しながら賢く補助金や助成金を活用し、業務効率化やデジタル化を優位に進めたい。
<本調査について>
日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社モニター3072人を対象に2023年6月に調査
執筆=調査・執筆 = 日経BPコンサルティング
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Biz Clip調査レポート