ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
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企業のBCP(事業継続計画)対策の取り組み状況はどうなっているか。日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社保有の調査モニター1941人を対象にアンケートを実施した。
BCPには全体の58.6%と過半数の企業が取り組んでいる。業種別で見ると、BCP対策の取組率が7割を超える業種は、政府・官公庁・団体、運輸・通信インフラ業、製造業。特に政府・官公庁・団体は83.3%と8割を超えた。運輸・通信インフラ業は、「十分取り組んでいる」の比率が最も高く、14.3%の選択率だった。
従業員規模別で見ると1000人以上の企業の取組率が7割を超えている。従業員規模の大きい企業ほど、BCP対策に取り組む比率が高くなる。特に1万人以上の企業では、92.4%と9割を超える企業がBCP対策に取り組む。さらに22.9%の企業が「十分取り組んでいる」を選択した。一方、99人以下の企業の取組率は、100人以上の企業の過半数がBCP対策に取り組んでいるのに対し、24.4%と非常に低い。100人を切る企業のBCP対策に対する意識は希薄だといえる。
【図1-1 BCP対策の取り組み状況(業種別)】
【図1-2 BCP対策の取り組み状況(従業員数別)】
BCP対策として最も取り組まれている項目は、「災害時の事業継続マニュアルの整備・リスクマネジメントのルール構築」で、企業全体の60.2%が選択。突出した選択率となった。特に、政府・官公庁・団体の選択率が80.8%と非常に高い。次いで取組率が高い項目は、「IT環境の構築」の37.8%となった。業種では特に、情報処理・ソフトウエア・SIコンサルティングが51.3%と過半数が選択した。3番目に高い選択率(30.9%)だった「拠点間の連絡システム・スキームの構築」は、運輸・通信インフラ業では44.6%と高い。拠点間を結ぶインフラ構築に従事しているからだろう。
従業員数別で見た場合、従業員規模が大きくなるほど選択率が高まる項目には、「拠点間の連絡システム・スキームの構築」「業務の拠点や基幹システムを複数地域に分散化」が挙がる。拠点数と従業員規模は、ほぼ比例関係にあるのが理由といえる。
【図2-1 取り組んでいるBCP対策内容(業種別)】
【図2-2 取り組んでいるBCP対策内容(従業員数別)】
災害などによる非常事態を想定したBCP対策・手順を、企業は用意しているかという質問に対して、結果は59.6%と過半数の企業が、対策・手順を用意していると回答した。今後取り組む予定だとしているのは19.5%で、8割の企業はBCP対策・手順の用意を行っている、もしくは行おうとしている。
従業員規模が大きい企業のほうが、用意をしている比率が高い。1万人以上の企業では、8割以上がBCP対策・手順に対して用意を行っており、「十分用意されている」と回答した企業は約2割となった。一方、300人未満の企業で用意を行っている企業は5割に満たない。99人以下の企業では3割程度にとどまった。
ICTの継続稼働のための対策・手順については、全体の49.8%が用意をしている。「今後取り組む予定」を含めると7割を超す選択率となる。こちらも従業員規模が大きい企業のほうが、用意をしている比率が高くなった。1万人以上の企業では、7割以上が用意を行っている結果となった。
【図3 BCPの継続稼働のための対策・手順の用意状況(従業員数別)】
【図4 ICTの継続稼働のための対策・手順の用意状況(従業員数別)】
BCPやICTの継続稼働対策・手順において、最も大きな課題は「未曾有の災害時には役に立たない」で、いずれも4社に1社が選択した。次いで、「きちんとした計画や施策を作ると、コストがかかり過ぎる」で、BCPが16.9%、ICTが18.6%となった。継続稼働対策・手順に関しては、費用対効果的なものが著しく低いと認識されているのが分かる。
BCPとICTとで、課題感に差が出たのは次の通り。「様々な災害や非常事態に対応するものを作れない」「考慮すべき点に漏れがある」の項目は、BCPのほうがICTよりも選択率が高い。一方、「きちんとした計画や施策を作ると、コストがかかり過ぎる」「作成するための人的、時間的余裕がない」は、ICTのほうがBCPよりも課題として考えている比率が高かった。
【図5 BCPやICTの継続稼働対策・手順における課題】
<本調査について>
日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社モニター1941人を対象に2018年3月に調査
執筆=調査・執筆 = 日経BPコンサルティング
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