Biz Clip調査レポート(第49回) 企業のビジネスチャット利用実態調査2024

コミュニケーション

公開日:2024.11.15

 多様化する社内外のコミュニケーション円滑化に向けて利用される「ビジネスチャット」。企業における活用度合いやツール選定はどうなっているのだろうか。その現在地について、日経BPコンサルティングが2024年10月に実施した調査からひも解いていきたい(調査は同社のアンケートシステムにて調査モニター3300人を対象に調査を実施)。

中堅・中小企業のビジネスチャット導入が大きく躍進

 まず、ビジネスチャットの勤務先導入状況について尋ねた。全体として「導入している」と答えたのは51.1%(前回調査から8ポイント増加)、「導入予定なし」が32.2%という結果に。従業員規模別に見ると、導入比率は99人以下の企業では21.6%、1万人以上の企業では82.7%と増加傾向にある。今回顕著であったのが300~499人、500~999人、1000~2999人規模の企業での大幅な導入増加だ。前回から比べて、それぞれ32.2ポイント、20.8ポイント、22.4ポイントの増加という結果となった(図1)。

【図1 ビジネスチャットの導入について】(複数回答)

 次に「導入済み」と回答した層に、メインで使用するビジネスチャットが何かを聞いた。1位は「Microsoft Teams」(67.8%)、2位に「Google Chat」(7.8%)、3位は「Slack」(7.5%)が続いた。これら以外には、「LINE WORKS」(4.9%)、「Chatwork」(2.3%)が続いた(図2)。同項目の自由回答欄には、例えば「自社開発アプリ」や「独自開発」に加え、Z世代などで浸透しつつある「Discord」などの回答もあり、選択肢となるビジネスチャットの種類が増加していることもうかがえる。

【図2 メインで使用しているビジネスチャット】

ビジネスパーソンの8割超がビジネスチャットを業務活用

 活用頻度についても聞いた。「ほぼ毎日頻繁に活用」が63.4%と最多で、「時々活用」が23.5%となり、この2つを合わせると利用層の8割超が業務にビジネスチャットを活用していることが分かる(図3)。

【図3 どれくらいビジネスチャットを活用しているか】

 ビジネスチャットの業務への貢献度については、「とても役に立っている」と回答したのが54.3%、「やや役に立っている」が36.1%。「あまり役に立っていない」が7.5%、「まったく役に立っていない」が2.1%となった(図4)。

【図4 ビジネスチャットの業務への役立ち度合い】

「検索機能」に根強い需要も、「セキュリティ機能」「メンション機能」も増加

 最後に「ビジネスチャットに必要、または強化してほしい機能」についても聞いた。1位は「検索機能」の34.0%。2位は「スケジュールなどとの連携機能」(25.8%)、3位は「既読・未読機能」(24.2%)となり、前回と同じ順位となった。

 ビジネスチャットの業務利用においては、過去のやり取りを確認する必要性や目的箇所にたどり着きやすさなどが重視され、この機能への根強いニーズがあると思われる。こうした需要は、アンケートの自由回答欄においても「整理・グループ化機能」「チャットの整理機能」「必要な文章だけを分類できる機能」といった記述などからもうかがい知れる。4位には「セキュリティ機能」(14.1%)、5位には、「メンション機能」(10.5%)が続き、前回から微増する形となった(図5)。

【図5 ビジネスチャットで必要、強化してほしい機能】(複数回答)

 「2025年の崖」が目前に迫る中、ビジネス上の意思決定速度の向上や、円滑なコミュニケーション実現は企業にとってより喫緊の課題となるだろう。ビジネスチャットなどのコミュニケーションツールを上手に活用し、各種のセキュリティリスクに配慮しながら社員一人ひとりの生産性向上と業務効率アップに取り組んでいきたい。

<本調査について>
日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社モニター3300人を対象に2024年10月に調査

執筆=調査・執筆 = 日経BPコンサルティング

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