Biz Clip調査レポート(第12回) BCPのICT化で見える会社の社員に対する“思い”

災害への備え

公開日:2018.04.11

 企業のBCP(事業継続計画)対策のICT化の状況はどのようなものか。日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社保有の調査モニター1941人を対象にアンケートを実施した。

ICTの導入状況は、従業員の安全関連から

 BCP対策のICT化においては、「定期的な避難訓練や安否確認体制等の整備・システム導入」が最も導入・実施され、49.8%の企業が選択した。次いで、「情報システムのリカバリー・バックアップ環境・体制の整備」で、44.4%の企業が導入・実施している。一方、最も取り組まれていないのは、「重要文書をどこからでも検索・活用できる環境づくり」で、19.0%と2割程度の企業しか導入・実施を行っていない。

 検討中、情報収集、興味関心があるという点で見ると、今後導入の可能性が最も高い項目は、「テレワークが可能なクラウドやシンクライアントなどのシステム環境構築」で、合わせて36.2%が選択。次いで「重要文書をどこからでも検索・活用できる環境づくり」の35.9%となった。この2つは導入・実施しているという回答では下位2項目に当たる。つまり今後、BCP対策のICT化として期待の高い項目といえる。

【図1 BCP対策のICT化の取り組み状況】

 

安否管理システムを最重視

 BCPやICTの継続稼働への取り組みにおいて、最も重要視する項目は、「従業員の安否管理システム」で企業の36.2%が選択した。続いて「セキュリティ関連」の33.3%となっており、この2項目が3割を超える選択率となった。

 役職別で見た場合、会長・社長、役員という上層部においては、「従業員の安否管理システム」を最重視していなかった。会長・社長が「セキュリティ関連」、役員は「ネットワークの二重化等、代替通信手段の用意」を最も多く選択した。特に会長・社長においては、「従業員の安否管理システム」は上位5項目から漏れている。部長以下は「従業員の安否管理システム」を最も重視する項目に選ぶ結果となった。

 従業員規模で見ると、499人以下の企業では、「セキュリティ関連」を重要視する傾向にある。「従業員の安否管理システム」は、従業員規模が大きくなるほど重要視する傾向にあるといえる。99人以下の企業では、「無停電電源装置、自家発電装置(ICT機器用)」が、重要視する項目として2番目になっているのが特徴的だ。

【図2-1 BCPやICTの継続稼働への取り組みにおいて重要視する項目】

 

【図2-2 BCPやICTの継続稼働への取り組みにおいて重要視する項目(役職別)】※上位5項目

 

【図2-3 BCPやICTの継続稼働への取り組みにおいて重要視する項目(従業員数別)】※上位5項目

 

ICTベンダーには信頼性と迅速さ求める

 BCP対策という観点からICTベンダーに求める項目の1位は「信頼性」で34.7%。次いで「障害対応、復旧作業の迅速さ」の33.5%となった。この2項目は3割以上の企業が選択した。その他、上位にはコストパフォーマンスや、災害時、非常時における対応が重要視された。

 役職別で見ると、多くの役職で「信頼性」や「障害対応、復旧作業の迅速さ」がトップとなる中、会長・社長は、「コストパフォーマンス」と「障害対応、復旧作業の迅速さ」が同率でトップとなっている。

 従業員規模別では、5000~9999人の企業において、「災害時における対応力や顧客重視姿勢」がトップになっており、「コストパフォーマンス」が上位5項目に入っていない点が、他の従業員規模の企業と比較し特徴的といえる。

【図3-1 BCP対策という観点からICTベンダーに求める項目】

 

【図3-2 BCP対策という観点からICTベンダーに求める項目(役職別)】※上位5項目

 

【図3-3 BCP対策という観点からICTベンダーに求める項目(従業員数別)】※上位5項目

 

<本調査について>
日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社モニター1941人を対象に2018年3月に調査

 

執筆=調査・執筆 = 日経BPコンサルティング

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