ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
近年、ユーザー嗜好の変化を適切につかみ、ビジネスチャンスを生み出すヒントとして注目を集めるのがデータの利活用だ。ビッグデータの活用とまでいかなくても、企業活動の中で取り扱うデータは増加する一方だ。日々の業務においては、膨大なデータをいかに効率的に管理・保管するかが1つの焦点となる。その課題解決に向けて注目を集めるのが、クラウド上のデータ格納スペース「クラウドストレージ」(オンラインストレージ)の利用だ。その実態について、日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社保有の調査モニター2251人を対象に調査を実施した。
社内におけるクラウドストレージ導入を聞いたところ、45.0%の企業が「導入済み」と回答。導入率について従業員規模別で見ると、99人以下の企業では23.8%。最も導入率が高い1万人以上の企業の74.6%と比べ50.8ポイント差となった。導入率トップの1万人以上の企業に続き、1000~9999人規模の企業が、58.0%導入済みが2位となるなど従業員規模が大きい企業ほど導入率が高い傾向がうかがえる(図1)。
【図1 クラウドストレージ導入状況(従業員数別)】
導入しているサービスについて聞いたところ、最も多く選択されたのが、「OneDrive for Business」(46.7%)で、2位が「Google Drive」の17.5%。その他、3位に「box」(15.1%)、4位に「Dropbox Business」(5.4%)という結果になった(図2)。特に、OneDrive for Businessに関しては、多くのビジネスユーザーが活用するWindowsパソコンで利用できる点が選択率を押し上げた要因と考えられる。
【図2 クラウドストレージの種類】
クラウドストレージの使用について、「よく使う機能・便利な機能」について聞いたところ、全体の約7割が「大容量データの社内共有」と回答(67.4%)し、最も多い項目となった(図3)。本項目を従業員別に見ると、99人以下の企業が52.0%と最も低く、100~299人が76.3%で最も高い結果となった。
2位の「ファイルバックアップ・復元機能」は、全体で40.6%。3位には「デバイス連携機能」(25.1%)、4位には「大容量データの社外共有」(23.5%)、5位には「各種機能との連携」(20.1%)が続く。特徴的なのが99人以下の企業でバックアップ機能が53.1%、デバイス連携機能が32.8%で他の従業員規模よりも数字が高くなっている点だ。よく使う機能・便利な機能については従業員規模による相関関係は見られないものの、小規模企業においてもデータのバックアップとデバイス活用の拡充を図ろうとしている傾向が見て取れる。
【図3 クラウドストレージでよく使う機能等(従業員数別)】※上位5項目
クラウドストレージを導入してよかった点について尋ねた。全体として最も多かったのは、「大容量データを保存できる」(51.8%)。次いで「大容量データの共有がスムーズに行える」(46.0%)。3位は「セキュリティが充実しており安心して利用できる」(27.7%)、4位は「ファイルバックアップがあり削除したファイルを復元できる」(24.1%)となった(図4)。
項目別に見ていくと「大容量データを保存できる」では1万人以上の企業で最も選択率が高い(60.4%)。「大容量データの共有がスムーズに行える」は100~299人の企業で最も高いスコア(61.0%)となった。「セキュリティが充実しており安心して利用できる」、削除したファイルを復元できる「ファイルバックアップ機能」では99人以下企業がそれぞれ32.8%、32.2%で最も高くなった。企業規模によってクラウドストレージの導入についての評価ポイントが異なる結果となった。
【図4 クラウドストレージを導入してよかった点】
クラウドストレージで必要、または強化してほしい機能についても聞いた。1位は「セキュリティ機能」(37.8%)、2位は「データ容量の最大値」(25.2%)、3位は「ファイル共有・共同編集機能」(22.5%)となった(図5)。クラウドストレージに対しては、底堅い“セキュリティ需要”があるといえる。
【図5 クラウドストレージで強化して欲しい機能】※上位5項目
冒頭で紹介したように約5割の企業がクラウドストレージを導入済みと回答する中、社内外でのデータ活用・連携を高めるために、セキュリティ機能、データ容量の最大化、ファイルの共有・共同編集に需要が集まっていると考えられる。日々蓄積されるデータをうまくビジネスに応用し、時代に即応する。そのために、クラウドストレージをより柔軟かつセキュアに利活用することが求められている。今回の調査からは、こうした命題に企業が着実に取り組みを進めている姿が浮かび上がった。
<本調査について>
日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社モニター2251人を対象に2022年8月に調査
執筆=調査・執筆 = 日経BPコンサルティング
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Biz Clip調査レポート