Biz Clip調査レポート(第7回) 通信事業者セキュリティーイメージ調査2017

ネットワークセキュリティ

公開日:2017.05.29

 とどまるところを知らないサイバー攻撃。企業では規模を問わず、対策が急務だ。情報セキュリティー対策を行うベンダーはたくさんあるが、通信から対策を打つなら通信事業者の選定が肝要だ。各通信事業者の情報セキュリティーに関して、企業はどのようにイメージしているか。日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社保有の調査モニター2353人を対象に意識調査を実施した。

情報セキュリティーの高いサービス提供。1位はNTT東西

 各通信事業者の情報セキュリティーに対し優れているイメージを、11項目について聞いた。11項目中6項目でトップとなったのが、NTT東日本・西日本だ。特に「地域に密着している」では、他の事業者を大きく引き離してのトップとなった。その他、「組織力がある」「信頼性が高い」「実績が豊富」「安全・安心面が優れ、セキュリティーの高いサービスを提供している」「保守・運用面、導入後のサポートが優れている」がトップとなっている。一方、「ユーザーのニーズに応えてくれる」「発展性・将来性がある」「提案力がある」に関しては、首位をソフトバンクに譲り、NTT東日本・西日本が弱い項目ということができる(図1)。

【図1 各通信事業者の優れているイメージ】

 セキュリティーイメージについて最も重要事項と思われる「安全・安心面が優れ、セキュリティーの高いサービスを提供している」に関しては、NTTグループが、KDDI、ソフトバンクよりも優れたイメージを持っている回答者が多い結果が出た。その中でも僅差ながら、NTT東日本・西日本が20.5%でトップとなった。

対策ツール、ソリューション・サービスはNTTコミュニケーションズ

 一方、各通信事業者が提供している情報セキュリティー対策ツール、ソリューション・サービスに関して優れていると思うかどうかに対し、優れている側(とてもそう思う・そう思う・どちらかというとそう思う)の選択率が最も高い事業者は、NTTコミュニケーションズで49.9%。続いてほぼ差がなくNTT東日本・西日本の49.5%となった(図2)。

【図2 各通信事業者が提供しているセキュリティー対策ツール、
ソリューション・サービスに関し、優れていると思うか】

 NTTコミュニケーションズは、特に情報システム担当者の選択率が高く、55.0%が選択。一方、NTT東日本・西日本は、経営層を含む経営全般を扱う担当者においての選択率が高く、50.6%が選択した。

ソリューション領域でイメージは異なる

 セキュリティーサービス別に、優れている通信事業者を聞いたところ、1割以上の選択率となった通信事業者がある項目は、「情報・データ管理(社内サーバー管理)」「情報・データ管理(クラウド管理)」「ウイルス対策」の3つとなった。

 「情報・データ管理(クラウド管理)」は、NTTコミュニケーションズが13.0%で全項目の中でも最も高い選択率。クラウド管理面におけるNTTコミュニケーションズの優位性が浮き彫りとなった。一方、「情報・データ管理(社内サーバー管理)」と「ウイルス対策」については、NTT東日本・西日本が優れたイメージが最も高く、「情報・データ管理(社内サーバー管理)」では10.0%、「ウイルス対策」で11.1%となった。なおウイルス対策については、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモも1割を超す選択率で3社は拮抗している(図3)。

【図3 セキュリティーサービス別、優れている通信事業者】

 

セキュリティー対策の相談は誰に?

 勤務先で、通信事業者のうちセキュリティー対策に関して相談したいトップは、NTTコミュニケーションズの18.4%、差がなくNTT東日本・西日本の17.6%となった。従業員規模で見た場合、1000人を超える大企業においては、NTTコミュニケーションズの選択率が高くなる。5000~9999人の企業においては、27.7%と3割に近い企業が、NTTコミュニケーションズを選択した。一方、999人以下の企業では、NTT東日本・西日本の選択率が高くなり、99人以下の企業では19.6%とNTTコミュニケーションズよりも高い選択率となった。

 役職別で見た場合、「役員」から「係長・主任」の役職者においては、NTTコミュニケーションズの選択率が高く、いずれも2割以上が選択。一方、「会長・社長」「一般社員・職員」および「その他」においては、NTT東日本・西日本の選択率が高い。特に「会長・社長」において、NTT東日本・西日本の選択率が高く、24.7%が選択。企業トップの約4人に1人がNTT東日本・西日本を相談先として選択している。従業員規模と併せて考えると、中小企業の会長・社長がNTT東日本・西日本を相談先として想定する傾向があるといえる(図4)。

【図4-1 勤務先で、セキュリティー対策に関して相談してみたいと思う通信事業者】

<従業員規模別>

 

【図4-2 勤務先で、セキュリティー対策に関して相談してみたいと思う通信事業者】

<役職別>

 ただし相談に関しては、「通信事業者に相談したいとは思わない」との回答が多く、全体の60.0%を占める。セキュリティーに関しては、専門の企業に相談するケースが多いのではないかと考えられる。セキュリティー対策は多層防御、さらに出口のみならず入り口から打つべしというのが原則となりつつある。身近に出入りする信頼性が高い通信事業者に相談する、というのも選択肢に加えてみてはどうだろうか。

<本調査について>
日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社モニター2353人を対象に2017年5月に調査

執筆=調査・執筆 = 日経BPコンサルティング

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