ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
企業の働き方改革の推進で、社内においてもモバイル化が進む。固定席にデスクトップ型のパソコンを構え、毎日出社して業務を行うスタイルはいまや一昔前の光景といっても過言ではない。それに伴い、インターネットや業務システムへのアクセスも無線LAN・オフィスWi-Fiによる接続が一般化した。オフィス内で進むワイヤレス環境、無線LAN環境整備の実態について、日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社保有の調査モニター2702人を対象に調査を実施した。
社内に無線LANを導入しているかを聞いたところ、80.7%の企業が「導入済み」と回答した。2017年実施の前回調査の68.7%から12.0ポイントの上昇となった。導入率を従業員規模別で見ると、99人以下の企業では74.3%。最も選択率が高い1万人以上の企業の93.8%と比べ19.5ポイント差となった。全体的に導入比率は上昇したが、従業員規模が大きい企業ほど導入率が高い傾向は引き続き出た(図1)。導入の必要性を感じない99人以下の企業は17.6%と高いが、この数字も2017年調査と比較すると9.0ポイント減少している。
【図1 無線LAN導入状況(従業員数別)】
導入理由として最も多く選択されたのが、「業務プロセスの効率化」(38.2%)。2位は「ワークスタイル変革」の29.4%となった。「業務プロセスの効率化」に関しては、99人以下と1万人以上では13.4ポイントの差があるものの、100~299人の企業では44.7%が選択した。一方「ワークスタイル変革」に関しては、99人以下と1万人以上では31.6ポイントもの差が出て、従業員規模が大きい企業ほど選択率が高い傾向となった。
2017年の調査と比較するとトップ3は変化なしだが、4位が「スマートデバイス(タブレットやスマートフォン)活用」(前回6位)、5位が「フリーアドレススタイルの構築」(前回8位)と、この2項目が順位を上げた。「フリーアドレススタイルの構築」で大企業ほど選択率が高いのは、フリーアドレススタイルを大企業ほど採用していることに起因すると考えられる(図2)。
【図2 社内無線LAN導入理由・導入意向理由(従業員数別)】※上位5項目
無線LANの導入後に困っている点について聞いたところ、6割以上が「特にない・分からない」と回答した(64.0%)。この数字は前回調査から10.5ポイント上昇している(図3)。困っていることとして最も選択率が高かったのは「通信状況・品質」で23.6%が選択した。次に「セキュリティに不安」(12.3%)、「運用に手間がかかる」(8.3%)が続いた。こちらの順位は前回調査と同様となっている。
【図3 社内無線LAN導入後に困っていること(従業員数別)】※上位5項目
無線LANの導入を未検討、または必要性を感じない層にその理由を尋ねた。最も多かったのは「有線の回線で事足りている」が44.0%。次いで「セキュリティが不安」(33.6%)、3位は「社内でモバイル活用をしない」(19.9%)だった。ただし「セキュリティ不安」は前回調査と比較して13.7ポイント減少している(図4)。
【図4 無線LANの導入を未検討または必要性を感じない理由】※上位5項目
オフィスWi-Fiにあればよいサポートについては、「機器故障発生時の代替機器送付」で22.9%が1位となった(図5)。2位は「トラブル発生時のサポートセンター対応」(18.6%)。ちなみに「機器故障発生時の代替機器送付」サポートに関しては、従業員規模が高い企業ほど選択率が高い結果となっている。今回4位に入った「従業員の問い合わせ対応(ヘルプデスク代行)」は、99人以下の企業では選択率が5.9%だったものの、1000人以上および1万人以上の企業では22.1%で大企業でのニーズが見て取れる。昨今の在宅をはじめとするテレワークスタイルの浸透により、出社している社員の困りごと対応が大企業ほど大変なのが想像できる。
【図5 あればよいサポートサービス(従業員数別)】※上位5項目
企業の働き方改革の推進と相まってコロナ感染拡大防止策で在宅勤務が導入され、出社率が抑制されている。業態によっては、在宅勤務を基本とした働き方を今後も続ける企業も出てくるだろう。持ち運べるノートパソコンでの業務、オフィススペース削減に伴うフリーアドレス制の導入などで無線LAN環境の構築が一般化した結果といえる。
1万人以上の企業の無線LAN導入率93.8%を見ると、この層においてはほぼすべての企業に行きわたったといってよいレベルだ。99人以下の企業でも4社に3社は導入済みだ。今後は無線LAN導入をしていない企業が“珍しい”という状況になることは、認識しておいたほうがよいだろう。
<本調査について>
日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社モニター2702人を対象に2021年6月に調査
執筆=調査・執筆 = 日経BPコンサルティング
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Biz Clip調査レポート