ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
働き方改革をはじめ、新型コロナ対応として社員の固定席を設けない「フリーアドレス」のオフィスを導入する企業も増加傾向だ。こうした業務形態の浸透に伴い、インターネットや業務システムへのアクセスも無線LAN・オフィスWi-Fiによる接続が一般化した。オフィス内で進むワイヤレス環境、無線LAN環境整備の実態について、日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社保有の調査モニター3411人を対象に調査を実施した。
社内に無線LANを導入しているかを聞いたところ、78.9%の企業が「導入済み」と回答。昨年の前回調査の80.7%からほぼ横ばいの数字となった。導入率について従業員規模別で見ると、99人以下の企業では71.4%。最も導入率が高い1万人以上の企業の92.6%と比べ21.2ポイント差に。導入比率は前年と大きく変化は見られないが、従業員規模が大きい企業ほど導入率が高い傾向は続いている(図1)。また、導入の必要性を感じないという回答が99人以下の企業では20.5%となった。
【図1 無線LAN導入状況(従業員数別)】
導入理由として最も多く選択されたのが、「業務プロセスの効率化」(35.8%)だ。2位が「ワークスタイル変革」の33.2%。「業務プロセスの効率化」に関しては、99人以下と1万人以上では8.0ポイントの開きがあった。「ワークスタイル変革」に関しては、99人以下が15.0%、1万人以上では48.4%と33.4のポイント差となり、従業員規模が大きい企業ほど選択率が高い傾向となった。
前回調査と比較するとトップ3は変化なしだが、4位が「フリーアドレススタイルの構築」(前回5位)、5位が「ペーパーレス会議を行うため」(前回ランク外)と、この2項目が順位を上げた。この2項目において大企業の選択率が高いのは、フリーアドレススタイルの導入やそれを支える紙書類の削減等の施策を積極的に大企業が採用していることが理由として考えられる(図2)。
【図2 社内無線LAN導入理由・導入意向理由(従業員数別)】※上位5項目
無線LANの導入後に課題を感じる点について聞いたところ、6割以上が「特にない・分からない」と回答(64.7%)した(図3)。最も選択率が高かったのは「通信状況・品質」(21.4%)。次に「セキュリティに不安」(13.8%)、「運用に手間がかかる」(9.8%)が続いた。これらの順位は前回調査と同様となっている。
【図3 社内無線LAN導入後に困っていること(従業員数別)】※上位5項目
無線LANの導入を未検討、または必要性を感じない層にその理由を尋ねた。最も多かったのは「有線の回線で事足りている」(32.1%)。次いで「セキュリティが不安」(28.2%)、3位は「導入・運用コストがかかる」(20.5%)となった。「導入・運用コストがかかる」の項目は、前回4位から4.9ポイント上昇し順位を上げる形となった(図4)。
【図4 無線LANの導入を未検討または必要性を感じない理由】※上位5項目
オフィスWi-Fiにあればよいサポートの項目においては、1位が「機器故障発生時の代替機器送付」(22.4%)、2位は「トラブル発生時のサポートセンター対応」(21.0%)となった。3位は「セキュリティ対策」(16.6%)、そして4位「従業員の問い合わせ対応」(14.4%)、5位「遠隔での機器設定変更」(13.8%)が続き、前回同様の順位となった(図5)。4位の「従業員の問い合わせ対応(ヘルプデスク代行)」についても、99人以下の企業では選択率が7.0%だったものの、1000人以上および1万人以上の企業ではそれぞれ19.8%、19.9%と、大企業でニーズが高い状況が見て取れる結果となった。
【図5 あればよいサポートサービス(従業員数別)】※上位5項目
1万人以上の企業の無線LAN導入率は92.6%。99人以下の企業でも7割を超えるなど広くオフィスWi-Fiが導入されているのが分かる。今回の調査で特徴的だったのが、「フリーアドレススタイルの構築」「ペーパーレス会議」に向けた取り組みの一環として無線LAN環境の構築を進める企業の姿だ。働き方改革や新型コロナへの対応のみならず、「カーボンニュートラル」などの経営課題に対応すべく企業の現場では取り組みが進んでいる。もし導入が図られていない状況であるならば、将来を見据え、企業競争力を確保するためにもいよいよ重い腰を上げるときが来ているのではないだろうか。
<本調査について>
日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社モニター3411人を対象に2022年7月に調査
執筆=調査・執筆 = 日経BPコンサルティング
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Biz Clip調査レポート