ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
2020年以降、コロナ禍で社内コミュニケーションに変化が生じている。在宅勤務の導入や感染拡大防止の影響で、これまでオフィスで日常的に行われていたちょっとした連絡や相談がしづらくなった。即時性・気軽さといった使い勝手で、ビジネスにチャットを採り入れるケースが増えてきた。実際にビジネスにおけるチャット活用度合いやツール選定はどうなっているか。その実態について、日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社保有の調査モニター2319人を対象に調査を実施した。
勤務先でビジネスチャットを導入しているかどうかを尋ねた。「導入している」と答えたのは43.0%、「導入予定なし」が37.6%となった。従業員規模別に見ると、導入比率は99人以下の企業では16.5%なのに対し、1万人以上の企業では73.0%という結果となった。従業員規模が大きくなるに従い、ビジネスチャット導入比率が高まる傾向が顕著となった(図1)。
【図1 ビジネスチャットの導入について】
続いてビジネスチャットを導入済みと回答した層に、メインで使用するビジネスチャットが何かを聞いた。1位は「Microsoft Teams」(62.8%)でダントツの導入率となった。2位は「Slack」(8.2%)、3位には「Google Chat」(7.6%)、以降「LINE WORKS」(4.8%)、「Chatwork」(3.6%)が続いた。ちなみに「無料のものを使っている」層も4.4%存在した(図2)。
【図2 メインで使用しているビジネスチャット】
活用頻度についてはどの程度か。「ほぼ毎日頻繁に活用」が57.9%と最も多くなった。「時々活用」が25.6%、「あまり活用していない」が11.0%、「活用していない」が5.5%となった。8割以上が活用している結果となったものの、まったく活用しない層が一定数存在する(図3)。
また業務への役立ち度合いについては、「とても役に立っている」と答えたのは48.8%とわずかに半数を下回った。「やや役に立っている」が38.2%、「あまり役に立っていない」が9.7%、「まったく役に立っていない」が3.2%となった(図4)。ほぼ毎日活用する比率(57.9%)よりも、とても役に立つと感じている比率(48.8%)が10ポイント程度低い。ビジネスチャット利用層が、現時点で効果を十分に感じられていない可能性がある。
【図3 どれくらいビジネスチャットを活用しているか】
【図4 ビジネスチャットの業務への役立ち度合い】
チャットのビジネス利用に関しては、実装されている機能も大きく役立ち度合いに影響する。ビジネスチャットで必要、または強化してほしい機能について聞いたところ、以下の結果となった(図5)。
【図5 ビジネスチャットで必要、強化してほしい機能】(複数回答)
1位は「検索機能」の28.6%。やはり業務で利用するとなると複数人数とのやり取りとなる上、過去に遡って確認するケースも多い。目的の箇所にたどり着きやすい機能は最もニーズが高い。続いて「スケジュールなどとの連携機能」(25.5%)、「既読・未読機能」(22.4%)、「セキュリティ機能」(14.3%)が上位に並んだ。いいね!などの反応を表すアイコン表示「アクティビティ機能」(5.1%)、写真やアバターなどの「UI・ビジュアル機能」(3.9%)についてはビジネス利用の上ではあまり重視されていない結果となった。
<ビジネスチャット利用実態まとめ>
・ビジネスチャットを導入しているのは43.0%
・従業員規模が大きくなるに従い、ビジネスチャット導入比率が高まる傾向
・使用するビジネスチャットの1位は「Microsoft Teams」(62.8%)
・ほぼ毎日頻繁に活用する層が57.9%で最多
・活用していない層は5.5%
・「とても役に立っている」と答えたのは48.8%
・必要、ほしい機能の1位は「検索機能」の28.6%
・「アクティビティ機能」「UI・ビジュアル機能」についてはあまり重視されない
コロナ下で在宅勤務を含めテレワークが一般化した。その下支えとなるのは言うまでもなくICT環境の整備だ。今後、コロナが収束してもテレワークを継続する企業は少なくない。メールや電話以外の手軽なコミュニケーション手段のニーズは引き続き高いと考えられる。
ただ一方で、こうしたコミュニケーションツールは全員が使いこなして初めて有用性が発揮される面がある。相手が使わなければコミュニケーションは成立しない。“頻繁に使うことで便利になる”ことも運用においては認識しておきたい。
<本調査について>
日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社モニター2319人を対象に2021年10月に調査
執筆=調査・執筆 = 日経BPコンサルティング
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Biz Clip調査レポート