ニューノーマル処方箋(第73回) 法人向けファイル転送サービス比較6選!選び方や注意点も解説

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公開日:2025.09.09

 メールに添付できないサイズの大容量ファイルや機密情報を含む資料の共有は、ビジネスにおける課題の1つです。法人で利用する場合、セキュリティ機能、容量と転送速度のバランス、海外対応の可否などについても確認する必要があります。

本記事では、法人向けファイス転送サービスの選び方や、導入時の注意点を解説します。

■目次

法人向けファイル転送サービスとは
 ・個人向けファイル転送サービスとの違い
 ・無料サービスと有料サービスの違い
法人向けファイル転送サービスの選び方
 ・クラウド事業者とサービスの信頼性
 ・セキュリティ機能
 ・容量と転送速度のバランス
 ・管理機能と操作性
 ・料金体系
 ・海外対応の可否
法人向けファイル転送サービス比較表
法人向けファイル転送サービス6選
 ・1. GigaFile(ギガファイル)便
 ・2. クリプト便
 ・3. データ便
 ・4. Bizストレージファイルシェア
 ・5. EASY FILE EXPRESS
 ・6. オフィス宅ふぁいる便
法人向けファイル転送サービス導入時の注意点
 ・社内ルールの整備と従業員への教育・周知
 ・セキュリティポリシーとの整合性確認
 ・既存システムとの連携可否の確認
法人向けファイル転送サービスに関してよくある質問
 ・代表的なファイル転送サービスは?
 ・ファイル転送サービスの相場はどのくらいですか?
まとめ


法人向けファイル転送サービスとは

 法人向けファイル転送サービスとは、メールでは送信できないほどの大容量ファイルを送受信できるクラウドサービスです。「データ転送サービス」「ファイル交換サービス」と呼ばれる場合もあります。

 このサービスの導入により、企業はパスワード付きZIPファイルや、パスワードを別メールで送るPPAP方式からの脱却を図れます。また、大容量データの一括送信でファイルを分割せずに送信でき、業務効率が大幅に向上するでしょう。

 特に近年では、テレワークの普及にともない、社外とのファイル共有機会が増加しており、安全かつ効率的なファイル転送の需要が高まっています。法人向けファイル転送サービスは、こうした企業のニーズに応える重要なICTインフラとして位置づけられています。

 大容量ファイル送信に強いサービスを探している方は、以下の記事もご覧ください。

 「大容量ファイル送信サービス9選!選び方と送信時の注意点

個人向けファイル転送サービスとの違い

 法人向けファイル転送サービスは、個人向けサービスと比較して、重要なビジネスデータを扱うために必要な機能が充実しています。両者の主な違いは、以下のとおりです。

比較項目 個人向けサービス 法人向けサービス
費用 無料または低価格が多い 無料もあるが、多くは有料
利便性 アカウント登録不要のものも多い ユーザー管理が必要だが、機能が充実
セキュリティ 一般的には、基本的な暗号化のみ 高度な暗号化、アクセス制限機能あり
ログ管理 ほぼなし 詳細な操作ログを保存・管理可能
サポート 限定的 多くが専任担当者によるサポートあり

 法人向けサービスは、コンプライアンスや情報漏えいリスクを抑えるための仕組みが整っていることが多く、万が一の際にはアクセスログから追跡できる体制も整備されています。

 業務で扱う機密情報や個人情報を転送したい場合は、法人向けサービスの利用がおすすめです。

無料サービスと有料サービスの違い

 ファイル転送サービスには無料版と有料版がありますが、それぞれ以下の違いがあります。

比較項目 無料版 有料版
ファイルサイズの上限 多くの場合、数GB~数十GB程度の制限あり それ以上のファイルが扱える、場合によっては無制限
セキュリティ機能 基本的なパスワード保護程度 以下の機能が追加
・ファイル暗号化の強化
・アクセス履歴の詳細管理
・IPアドレス制限によるアクセス管理
・二要素認証の導入など
保存期間と管理機能 7日間程度の短期保存が一般的 30日以上、あるいは無期限保存が可能。送信履歴の長期保管(180日以上)もできる

 法人利用では、特にセキュリティと管理機能が重要となるため、業務の重要度に応じて適切なプランを選択するとよいでしょう。

法人向けファイル転送サービスの選び方

 法人向けファイル転送サービスを選ぶ際には、クラウド事業者とサービスの信頼性、セキュリティ機能、容量と転送速度のバランス、管理機能と操作性など、さまざまな観点で検討することが重要です。

 選定ポイントを自社の利用状況や優先順位に合わせて検討すると、最適なファイル転送サービスを見つけやすくなります。

クラウド事業者とサービスの信頼性

 法人向けファイル転送サービスを選ぶ際、事業者とサービス自体の信頼性を確認することが重要です。信頼性の低いサービスを選ぶと、データ漏えいや改ざん、サービス停止などのリスクが高まり、業務に深刻な影響を与える可能性があります。

 以下のポイントをチェックしましょう。

項目 確認ポイント
事業者 ・事業者が公表している財務情報
・利用者数などの実績
・情報セキュリティ方針や認証認定制度の取得状況
サービス ・稼働率や障害発生頻度、障害時の回復目標時間
・計画的サービス停止の事前通知体制
・障害発生時の通知、ユーザー対応、情報提供方法
・SLA(サービスレベル合意書)の内容
・サービス状態のリアルタイム情報表示の有無

 選び方として、「ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)」「ISMSクラウドセキュリティ認証」などの認証を取得しているかどうかを見るのも1つの方法です。これらは通常のISMS認証に加え、クラウドサービスならではの管理策が適切に実施されていることを示しています。

セキュリティ機能

 法人向けファイル転送サービスでは、機密性の高い情報を扱うため、セキュリティ機能の充実度が選定の重要ポイントとなります。以下の機能が備わっているかを確認するのがおすすめです。

機能 詳細
通信の暗号化 ・通信経路の暗号化(SSL / TLS)だけでなく、保存データの暗号化も必須
・AES256ビット以上の暗号化を採用しているサービスは暗号化強度が高いといえる
アクセス制限 ・IPアドレスによるアクセス制限機能
特定ドメインのみ許可する機能(社外からの不正アクセス防止)
認証機能 ・二要素認証への対応
・生体認証への対応
ウイルス対策 ・アップロード / ダウンロード時の自動ウイルススキャン機能
・マルウェア検知、ブロック機能

 
 また、脆弱性対応やセキュリティパッチの適用頻度、インシデント発生時の対応体制なども重要です。サービス提供者のセキュリティポリシーや、第三者機関による認証取得状況(ISO27001など)も確認しておくとよいでしょう。

 NTT西日本の「おまかせクラウドストレージ」は、多機能でありながらセキュアで使いやすいクラウド型ストレージサービスです。

 通信はすべてSSL / TLS暗号化によるHTTPS通信になっており、保管される全データを自動で暗号化し、データの機密性を保護します。

 また、データ暗号化に用いているのは、AES規格で安全性が高いとされるAES256(256ビットの暗号鍵) です。データは、冗長された国内DC(データセンター)に保存されます。

 個人、社内、社外において、セキュアでスムーズなデータ共有をしたい場合には、ぜひご検討ください。

NTT西日本のおまかせクラウドストレージ

容量と転送速度のバランス

 容量と転送速度のバランスは、業務効率に直結します。大容量ファイルを扱う場合、単に転送できるというだけでは不十分です。

 ファイル転送サービスを選ぶ際には、以下の点を確認しましょう。

  ・最大転送容量はCADデータや動画ファイルなど数GB超のファイルに対応しているか
  ・安定した転送速度で、大容量転送時でもスピードが低下しないか
  ・同時処理能力が高く、複数ユーザーが同時にファイル転送を行っても速度維持が可能か

 特に重要なのは、実務での実感速度です。カタログ値だけでなく、実際の使用環境での速度を事前検証するのがおすすめです。

 転送速度が遅いと、例えば動画編集データの共有などで作業が中断し、業務効率が大幅に低下する可能性があります。

管理機能と操作性

 管理機能と操作性は、業務効率につながる重要な要素です。法人向けファイル転送サービスを選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。

項目 確認ポイント
管理機能 ・部署や役職に応じた細かなアクセス権限設定ができるか
・誰が、いつ、どのファイルにアクセスしたかのログ記録、確認機能
・複数ファイルの一括アップロード / ダウンロード対応
操作性 ・社内教育の手間を省けるシンプルな画面設計
・ファイル処理速度やページ遷移のスムーズさ
・スマートフォンやタブレットからの快適な利用


 多くの従業員や取引先が利用する場合、操作がわかりづらいと導入後のサポート負担が増大します。

 可能であれば事前にトライアルを利用し、実際の操作感を確かめるのがおすすめです。

料金体系

 料金体系は、予算計画に関わる重要な要素です。法人向けファイル転送サービスによって課金方式が大きく異なるため、自社の利用状況に合った選択が必要になります。

 主な料金体系のパターンは、以下のとおりです。

課金タイプ 特徴
ユーザー数課金型 IDやアカウント数に応じて料金が決定。少人数の部署単位での利用に最適で、ユーザー数が限られている場合はコスト効率が良い
容量課金型 転送できるデータ容量に応じて料金が変動する。大容量データを頻繁に扱う場合は、コストが予想以上に膨らむ可能性あり
定額制 月額固定で利用可能。予算管理がしやすく、使用量の変動に左右されない安定した運用をめざせる


 初期費用が無料と謳われていても、カスタマイズや導入支援には別途費用がかかるサービスも少なくありません。最低契約期間や解約時の違約金も含め、料金体系の詳細を確認しておく必要があります。

海外対応の可否

 グローバルに事業展開している企業や、海外拠点・取引先へのファイル転送が必要な場合は、海外対応状況を確認することが重要です。確認すべきポイントは、以下の3点です。

確認ポイント 詳細
通信速度と安定性 海外との通信は、距離や回線状況により遅延が生じやすい。独自の高速転送プロトコルを採用しているサービスは、長距離通信でも安定したパフォーマンスを発揮できる傾向あり
多言語対応 ユーザーインターフェースが日本語のみのサービスでは、海外の取引先が使いづらい場合あり。英語、中国語、韓国語など、取引先の使用言語に対応しているかを確認
サーバー設置場所 データの保管場所によって、各国の法規制が適用される場合あり。特に、欧州のGDPR(一般データ保護規則)など、厳格なデータ保護規制に対応できるか確認


 海外拠点へのファイル転送が必要な場合は、事前に実際の業務環境での動作検証を行い、これらのポイントを確認したうえでサービスを選定することが重要です。

法人向けファイル転送サービス比較表

 主要な法人向けファイル転送サービスの特徴を以下の比較表にまとめました。

サービス名(事業者) 特徴 価格 おすすめの企業
GigaFile便(株式会社ギガファイル) ユーザー登録不要で1ファイル300GBまでの大容量ファイルを無料で転送できる。7日間の保存期間内であれば、パソコンやスマートフォンから手軽にファイル転送が可能 無料 無料のファイル転送サービスを探している企業、大容量のデータ転送をしたい企業
クリプト便(NRIセキュアテクノロジーズ株式会社) 金融機関をはじめ、さまざまな業種で利用される20年以上の実績と13年連続売上シェアNo.1を誇るファイル転送サービス。ISO / IEC規格取得やセキュリティ格付け最高位「AAAis」の評価を受けたセキュリティ対策が特徴 ユーザー1人あたり月額900円~(スタンダード:100人前後)、その他初期費用あり セキュリティに強いファイル転送サービスを使用したい企業、人的要因による情報漏えいに対策したい企業
データ便(株式会社ファルコ) 2004年から運営されている国内サーバーのファイル転送サービスで、無料プランでも5GBまで転送可能、有料のビジネスプランでは容量無制限で転送できる。SSL暗号化通信や国内サーバー保管、プライバシーマーク認定・ISO27001取得あり ライトプラン・フリープランは無料、ビジネスプランはユーザー1人あたり月額330 コスト重視の中小企業、国内にデータを保管したい企業
Bizストレージファイルシェア(NTTコミュニケーションズ) ディスク容量に基づく料金体系で、最大1万人まで共用できる定額制サービス。最大2GBのファイル送受信に対応 初期費用22,000円(ドコモビジネスオンラインショップ申込の場合は無料)、16,500円(1GB)~ 中小企業から大企業までの多人数でのファイル共有が必要な企業、大容量ファイルの送受信が必要な企業
EASY FILE EXPRESS(トーテックアメニティ株式会社) 低コストながら、通信経路の暗号化や操作ログの無期限保存などのセキュリティを実現した法人向け大容量ファイル転送サービス。Microsoft365「Outlook」を利用する企業向けの特化版も提供し、セキュリティと使いやすさを両立 初期費用なし、ブラウザ対応なら月額3,300円~ セキュリティと使いやすさのバランスを重視する企業、Microsoft 365(Outlook)を活用している企業
オフィス宅ふぁいる便(株式会社オージス総研) 57,000ユーザーを突破、ISMS認証取得やAES256ビット暗号化、24時間365日の有人監視など高度なセキュリティ機能を備えた法人向けファイル転送サービス。基本機能として取引先からのファイル受け取り機能が標準搭載 初期費用22,000円、5ユーザーで3,300円(スタンダード5ユーザープラン)~ セキュリティ認証を重視する企業、24時間365日の有人監視によるセキュリティ対応が必要な業務をもつ企業


法人向けファイル転送サービス6選

 法人の業務で使いやすいファイル転送サービスを6つご紹介します。セキュリティ機能や使いやすさなど、各サービスの特徴を把握して最適なサービスを選びましょう。

1. GigaFile(ギガファイル)便

画像1.png引用:株式会社ギガファイル「GigaFile(ギガファイル)便」

 GigaFile便は無料で利用できる国内のファイル転送サービスです。大容量ファイルの送受信に適しており、法人でも手軽に活用できます。 

 GigaFile便では、アップロードを完了した後に生成されるURLを使ってファイル転送を行うため、第三者に渡らないよう、アップロード後のダウンロードURLの取り扱いに注意が必要です。

 利用の際は、ダウンロード用パスワードの設定をしたほうがよいでしょう。

 なお、無料サービスのため、広告表示があります。

ファイル転送サービス名 GigaFile(ギガファイル)便
事業者 株式会社ギガファイル
仕様 ・ユーザー登録不要、容量無制限(1ファイル300GBまで)で無料転送 ・パソコンの他、スマートフォンにも対応
・ダウンロード用パスワード設定可能
・複数への同時送付には非対応
・7日後に自動削除
セキュリティ ・サーバーはすべて日本国内
・アンチウイルス機能を搭載
・禁止行為に関連したファイルを検知した場合、対象となるファイルは「危険ファイル」として取り扱う
価格 無料
おすすめの企業 無料のファイル転送サービスを探している企業、大容量のデータ転送をしたい企業

2. クリプト便

画像2.png引用:NRIセキュア「クリプト便」

 クリプト便は20年以上の実績をもつファイル転送・共有サービスで、13年連続で売上シェアNo.1を獲得しています。

 *株式会社アイ・ティ・アール「ITR Market View:デジタルワークプレイス市場2024」の2011~2023年度ユーザー間ファイル転送市場売上金額シェア

 情報セキュリティ専門会社としての技術・ノウハウを用い、暗号化、セキュリティ診断、ファイアウォールなど堅牢なセキュリティ対策を実施しています。金融機関をはじめ、さまざまな業種・規模の企業に利用されているサービスです。

 「ISO / IEC 27001」および、クラウドサービスに関する国際規格である「ISO / IEC 27017」、「ISO / IEC 27018」を取得しており、日本セキュリティ格付機構より情報セキュリティ格付け最高位「AAAis」を付与されています。

 また、クレジットカード業界における国際的なセキュリティ基準「PCI DSS」に準拠し、クレジットカード番号を含む重要情報の取り扱いにもおすすめです。

 海外拠点とのファイル交換もでき、日本語、英語、中国語に対応しています。メールライクで使いやすい操作画面など、利便性も高いでしょう。

ファイル転送サービス名 クリプト便
事業者 NRIセキュアテクノロジーズ株式会社
仕様 ・プランにより1通あたり5MB~20MBアップロード(オプションで最大10GB / 通まで拡張可能)
・1ヶ月あたりの送信数はプランによって100通~1,000通と異なる
・ダウンロード期限を設定可能(20MB以内最大25日、20MB以上最大7日)
セキュリティ ・セキュリティ事故原因の「人的要因」を抑えるための工夫(ファイル交換に特化したシンプル設計、保存期間・送信先制限、承認機能・権限設定、管理機能の充実)
・情報セキュリティ専門会社としての技術・ノウハウを用い、暗号化、セキュリティ診断、ファイアウォールなど堅牢なセキュリティ対策を実施
・国内の自社データセンター内のサーバー設置により、監査対応が容易
・第三者機関からの高評価あり、さまざまな業界ガイドラインへも適合
価格 ユーザー1人あたり月額900円~(スタンダード:100人前後)、その他初期費用あり
無料トライアル 1ヶ月
おすすめの企業 セキュリティに強いファイル転送サービスを使用したい企業、人的要因による状漏えいに対策したい企業

3. データ便

画像3.png

引用:株式会社ファルコ「データ便」

 データ便は2004年から運営されている国内サーバーのファイル転送サービスで、月間500万人ものユーザーに利用されています。

 会員登録が不要ですぐに利用可能な無料のプランと、転送容量が無制限で転送できる有料プランが用意されています。

 直感的に操作でき、有効期限やダウンロードパスワード、ダウンロード通知の設定が可能です。

ファイル転送サービス名 データ便
事業者 株式会社ファルコ
仕様 ・容量:ライトプラン2GB、フリープラン5GB、ビジネスプラン無制限 ・データ保管期間:ライトプラン・フリープラン7日間、ビジネスプラン30日間
・送信履歴:フリープラン7日間、ビジネスプラン180日間
・ビジネスプランには他に受け取りBOX機能やダウンロード回数無制限などのサービスなどがある
セキュリティ ・いずれのプランもSSL暗号化通信
・高性能ファイアウォール
・アップロードファイルの暗号化
・サーバーはすべて国内、ライトプラン・フリープランは共有、ビジネスプランは専用
・よりセキュアにファイルを送受信する「セキュリティ便機能」やダウンロードパスワード機能あり
・プライバシーマーク認定、情報セキュリティISO27001取得
・サービス稼働率99.95%
価格 ライトプラン・フリープランは無料、ビジネスプランはユーザー1人あたり月額330円~
おすすめの企業 コスト重視の中小企業、国内にデータを保管したい企業

4. Bizストレージファイルシェア

画像4.png引用:「Bizストレージファイルシェア」

 Bizストレージファイルシェアは、一度に最大10,000人までのユーザーが共同利用できる包括的なファイル転送サービスです。

 料金体系はストレージ容量に基づく定額制を採用しており、選択したプランに関わらずすべての機能を制限なく使用できるため、利用者数が増えるほどコストパフォーマンスが向上します。

 高度なセキュリティ対策が評価され、ユーザー満足度の高いサービスとして知られており、最大2GBまでのファイルを簡便な操作で送受信することが可能です。1,100社を超える企業に導入され、30万IDを突破する利用実績をもちます。

ファイル転送サービス名 Bizストレージファイルシェア
事業者 NTTドコモビジネス株式会社
仕様 ・プランにより容量1GB~1TB
・最大10,000人で共用の定額制使い放題
・上長承認設定やパスワードによるアクセス制限も可能
セキュリティ ・「ASP・SaaSの安全・信頼性に係る情報開示認定制度」において、基準を満たしているサービスとして認定
・「第15回ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2021」の支援業務系ASP・SaaS部門において、準グランプリを受賞
・プライバシーマークの使用を認められた認定事業者
・米Gartner®社のMagic Quadrant™ for Network Services,Globalレポート(2022年2月21日発行)において、9年連続でリーダーの1社と評価
価格 初期費用22,000円(ドコモビジネスオンラインショップ申込の場合は無料)、月額
無料トライアル 2週間
おすすめの企業 中小企業から大企業までの多人数でのファイル共有が必要な企業、大容量ファイルの送受信が必要な企業

5. EASY FILE EXPRESS

画像5.png

引用:トーテックアメニティ株式会社「EASY FILE EXPRESS」

 EASY FILE EXPRESSは、企業間の大容量ファイル転送・送受信に特化したファイル転送サービスです。2009年のサービス提供開始以降、約80,000ユーザーに選ばれてきた実績があります。

 低コストかつシンプルな操作性ながら、国内データセンターへの保存や操作ログの無期限保存など、高いセキュリティを実現しているとされるサービスです。定期的な脆弱性診断も実施されています。

ファイル転送サービス名 EASY FILE EXPRESS
事業者 トーテックアメニティ株式会
仕様 ・1度に5ファイルまでまとめて送受信
・数GBクラスの大容量ファイル送受信に対応
・シンプルな操作画面
・Microsoft365「Outlook」を利用する企業には、高い利便性とセキュリティを兼ね備えた「EASY FILE EXPRESS for Outlook」を提供
セキュリティ ・通信経路の暗号化
・操作ログを期間無制限で保存
・定期的な脆弱性診断の実施
・日本国内のデータセンターを利用
・開発部門が直接かつスピーディーにサポート
価格 初期費用なし、ブラウザ対応なら月額3,300円~
無料トライアル 2週間
おすすめの企業 セキュリティと使いやすさのバランスを重視する企業、Microsoft365(Outlook)を活用している企業

6. オフィス宅ふぁいる便

画像6.png

引用:株式会社オージス総研「オフィス宅ふぁいる便」

 オフィス宅ふぁいる便は、累計57,000ユーザー以上が利用している法人向けファイル転送サービスです。メールで送れない大容量ファイルを、セキュアに送受信することが可能です。

 アップロード後の自動ウイルスチェック機能により、疑わしいファイルは即時削除されます。また、取引先からのファイル受け取り機能が、基本機能として標準搭載されています。

ファイル転送サービス名 オフィス宅ふぁいる便
事業者 株式会社オージス総研
仕様 ・一般ユーザー向け、取引先向け、管理者向けの機能が充実
・ストレージ容量は標準で10GB(エンタープライズプランは標準1TB)
・日本語以外に、英語と中国語に対応
・1~90日の間でダウンロード期間を指定可能
・データ転送量は毎月100GBまで
セキュリティ ・ISMS認証取得、ISMSクラウドセキュリティ認証の認証登録
・ファイアウォール、IDS / IPS、WAFを組み合わせて不正アクセスを防御
・ファイルはAES256ビットで暗号化して保管
・24時間365日、有人監視も行い、有事の際にはすぐに対応
・アプリケーション側でもIPアドレス制限やパスワードポリシー機能、送信先制限機能、送信ファイルの自動削除、不正ログインの検知・通知機能をもつ
価格 初期費用22,000円、5ユーザーで月額3,300円(スタンダード5ユーザープラン)~
無料トライアル 最長2ヶ月
おすすめの企業 セキュリティ認証を重視する企業、24時間365日の有人監視によるセキュリティ対応が必要な業務をもつ企業

法人向けファイル転送サービス導入時の注意点

 法人向けファイル転送サービスを導入する際には、セキュリティやコンプライアンスの観点からいくつかの重要な注意点があります。特に企業の機密情報を扱う場合は、慎重な対応が求められます。

 導入後のトラブルを防ぐための事前準備を理解しましょう。

社内ルールの整備と従業員への教育・周知

 法人向けファイル転送サービスを導入する際は、明確な社内ルールを整備することが重要です。以下のポイントを押さえましょう。

  ・どの種類のファイルをどのレベルで扱うか、対象ファイルと機密レベルを定義する
  ・パスワード設定のルール化として、複雑性の基準や通知方法を統一する
  ・期限や閲覧回数制限など、共有設定を明確にする
  ・誰が、いつ、どのファイルにアクセスしたかの記録方法として、ログ管理と定期確認を行う

 これらのルールは、定期的な研修や啓発活動を通じて全従業員への周知徹底が必要です。体系的な教育と周知活動により、セキュリティ意識の向上と適切な運用の実現がめざせます。

セキュリティポリシーとの整合性確認

 ファイル転送サービスの導入前に、セキュリティのルールとクラウドサービス活用との間に矛盾や不一致が生じないように、セキュリティポリシーとの整合性を確認することが重要です。

 例えば、マイナンバーを記載した書類やデータの社外保存が社内ルールで禁止となっているものの、クラウドサービスで給与計算を行うために登録する必要がある場合を想定します。この際、暗号化登録ができるサービスを利用し、暗号化された状態でのみ社外保存を許可するなどの条件付きルールへ変更することも必要です。

 また、特定の認証方式(多要素認証など)を条件とした利用許可なども考えられます。

 適切な整合性確認を行わないと、セキュリティ監査で指摘を受ける、内部統制上の問題が発生するなどの可能性があります。必要に応じてセキュリティポリシーを更新し、新しいサービス活用と安全性のバランスを取りましょう。

既存システムとの連携可否の確認

 ファイル転送サービスを導入する際は、以下のように既存システムとの連携の可能性を事前に確認しておきましょう。

  ・既存のシングルサインオン(SSO:一度のユーザー認証で複数のシステムやサービスにアクセスできる仕組み)や多要素認証(MFA)システムと連携できるか
  ・社内メールやスケジュール管理システムとの連携は可能か
  ・カスタム連携のためのAPI(異なるソフトウェアやアプリケーションがデータを共有したり、機能を呼び出したりするための仕組み)が提供されているか

 Windowsサーバーに搭載されたディレクトリサービス機能「Active Directory」と連携できるファイル転送サービスを選べば、ユーザー管理の負担を軽減できるだけでなく、セキュリティレベルも向上します。

 また、既存のワークフローシステムとの連携も重要です。例えば、承認プロセスが必要なファイル送信において、既存の承認フローと統合できるかどうかを事前に確認しておくと、業務の効率化が図れます。

法人向けファイル転送サービスに関してよくある質問

 法人向けファイル転送サービスの選定や導入を検討する際、多くの企業が共通して疑問に感じる点があります。よく聞かれる質問についてお答えします。

■代表的なファイル転送サービスは?

 代表的なファイル転送サービスには、GigaFile便、クリプト便やデータ便などがあります。無料版と有料版では利用できるサービス内容が異なるため、自社に適した特徴をもつファイル転送サービスを検討しましょう。

■ファイル転送サービスの相場はどのくらいですか?

 初期費用(アカウントの発行、ユーザーの登録、サービスの初期設定、稼働テストなど)は無料のものもありますが、目安は約3万~10万円です。

 アカウント数やデータの容量に応じて毎月定額で発生する月額費用は、100GBのプランで月額約2万~5万円、1TB以上を求める場合は月額約10万円以上かかることもあるでしょう。

 自社の規模や利用用途などにあわせて、複数社から見積りをとることが大切です。

まとめ

 法人向けファイル転送サービスは、メールでは送信できない大容量のファイルを送受信できるクラウドサービスです。個人向けに比べ、情報漏えいリスクを抑えるための仕組みや万が一の際の追跡を考えた対応など、ビジネスでの利用に適した機能が充実している傾向があります。

 選ぶ際には、クラウド事業者とサービスの信頼性、セキュリティ機能、容量、転送速度、管理機能、操作性など、自社が求める内容に沿っているか確認することが大切です。企業には、導入時の注意点も踏まえて、正しい運用ができるよう対策が求められます。

 転送だけでなく、セキュアに共有して業務効率を上げたい場合には、NTT西日本の「おまかせクラウドサービス」がおすすめです。

 おまかせクラウドストレージは、従来のパソコン環境と親和性の高いインターフェースを採用しており、直感的な操作でファイル管理が可能です。教育コストの軽減も図れるでしょう。

 用途別に設計された3タイプのフォルダを活用することで、個人・社内だけでなく、社外パートナーとのスムーズなデータ交換を実現できます。

 また、セキュリティ面では、世界最高水準の耐久性を誇るクラウドインフラ上で構築、運用し、保存したデータは複数のデータセンターで同時に複製できます。また、多要素認証または回線認証(IPv6通信への対応が必要)で不正なアクセスをブロックすることが可能です。

 なかでも企業におすすめの機能が、以下の2つです。

おすすめ機能 特徴
ドキュメントレビュー機能 ドキュメントごとのレビュー・回覧の依頼、承認、フィードバック、タスクごとの進捗確認などが簡単操作で可能
マートフォルダ機能 特定フォルダに保存した電子帳簿保存法に関わるファイルをAIが解析した後、抽出した情報を基に自動でフォルダ・ファイルを整理(※)

 ※スマートフォルダ機能の提供にあたり、スマートフォルダ機能が分析・出力する結果の正確性、完全性等について、責任を負うものではありません。

 さらに、クラウドベースのSaaSアプリケーション連携に対応しており、Microsoft Teams®を事前に自身で導入していると、同ツール環境内でのファイル共有が円滑に行えます。既存のICTツールとの組み合わせにより、追加投資を抑えながら業務プロセスの最適化を図ることが可能です。

 企業でファイルを取り扱うサービスを検討する際には、ドキュメントの同時編集や進捗管理などができるファイル共有サービスを選ぶほうが賢明な場合もあります。以下の記事も参考にしてください。

 「ファイル共有サービス6選を比較!選び方や注意点を解説

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
※各会社名、各製品名およびサービス名などは、各社の商標または登録商標です

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