ニューノーマル処方箋(第70回) 法人向けセキュリティソフト11選!選び方と製品比較、注意点

ネットワークセキュリティ

公開日:2025.08.20

 昨今のサイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、企業規模を問わず深刻な被害が報告されています。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「2024年度中小企業等実態調査結果」によると、8割もの企業がウイルス対策ソフトを導入しています。

 しかし、数多くある法人向けセキュリティソフトから、自社に最適な製品を選ぶのは容易ではありません。

 本記事では、法人向けセキュリティソフトの重要性や選定ポイント、主な製品、導入に向けた注意点を解説します。

■目次

法人向けセキュリティソフトの選定ポイント
・機能
・動作の軽さ
・運用管理の容易さ
・サポート体制
・第三者機関からの評価
主な法人向けセキュリティソフト比較表
主な法人向けセキュリティソフト11選
・1. セキュリティおまかせプラン プライムPlus
・2. Microsoft Defender for Business
・3. i-FILTER(iフィルター)
・4. スーパーセキュリティfor Business
・5. Norton Small Business
・6. ESET(イーセット)
・7. AppGuard(アップガード)
・8. ZEROウイルスセキュリティ
・9. Kaspersky(カスペルスキー)
・10. Symantec Enterprise Cloud(シマンテックエンタープライズクラウド)
・11. PC Matic(PCマチック)
法人向けセキュリティソフト導入に向けた注意点
・動作への影響を確認しておく
・ソフトウェアは常に最新の状態を保つ
・警告への適切な対処法を把握しておく
法人向けセキュリティソフトに関してよくある質問
・法人向けセキュリティソフトは本当に必要?
・セキュリティソフトの法人向けと個人向けの違いは?
・世界でよく選ばれているセキュリティソフトは?
まとめ

法人向けセキュリティソフトの選定ポイント

 企業を標的とするサイバー攻撃は年々巧妙化しており、適切なセキュリティソフトの選定が重要です。法人向けセキュリティソフトの選定ポイントは、以下のとおりです。

・機能
・動作の軽さ
・運用管理の容易さ
・サポート体制
・第三者機関からの評価

 適切な製品選びのために、判断基準を理解しましょう。

機能


 法人向けセキュリティソフトには、個人向け製品より高度な機能が搭載されています。主な機能として、以下が挙げられます。

項目 詳細な機能例
基本機能 マルウェア対策、ファイアウォール、Webフィルタリングなど
高度な保護機能 AIによる未知のウイルス検知、ふるまい検知、ファイルのロールバック機能など
デバイス管理 USBなどの外部媒体の制御を行うハードウェアコントロール機能

 
 
 企業規模によっては、仮想環境におけるマルウェアの検知を行う「クラウドサンドボックス」や、エンドポイントでの挙動監視と分析を行う「EDR機能」など、より高度な機能が求められることもあります。必要に応じて、拡張機能も検討することが大切です。


 EDRについては、以下の記事も参考にしてください。
EDRとは?仕組みや機能、アンチウイルスソフトとの違いを解説


 また、法人向け製品の大きな特徴として、管理サーバーからすべての端末を一括管理できる点があります。これにより、個別設定の手間を省きながら、統一されたセキュリティレベルを保つことが可能です。

 自社のニーズを適切に把握し、必要な機能を見極めると、過剰投資を避けつつ最適な保護を実現できます。

動作の軽さ

 法人環境では、動作の軽さが業務効率に直結する重要な選定ポイントです。セキュリティソフトは常時バックグラウンドで稼働するため、パソコンの処理速度に大きな影響を与えます。

 動作の軽さを評価する際のチェックポイントは、以下のとおりです。

ポイント 目安
CPU使用率 合計CPU時間の70~80%程度
メモリ使用量 基本的に常時40~60%

 また、以下のような業務への影響度も重要な判断材料です。

・CADや動画編集ソフトなど負荷の高いソフトと同時使用しても問題ないか
・低負荷モードやゲームモードなど状況に応じたスキャン設定が可能か
・業務時間外にスキャンを実行できる柔軟なスケジュール設定が可能か

 導入前には無料トライアル期間を活用し、自社環境での動作検証を行うとよいでしょう。

運用管理の容易さ

 法人向けセキュリティソフトを選ぶ際は、運用管理の容易さも重要なポイントです。管理が複雑なソフトは担当者の負担増加や設定ミスにつながり、結果的にセキュリティリスクを高めてしまいます。

 特に、以下の点で検討しましょう。

ポイント 詳細
集中管理機能の充実度 ・複数端末の一括設定が可能か
・セキュリティポリシーの一括適用ができるか
・リモートでの管理が可能か
運用担当者の負担軽減 ・インストール作業は簡便か
・アップデートは自動更新か、スケジュール設定が可能か
・レポート機能は脅威検出状況や対応履歴が視覚的にわかりやすく確認できるか
インターフェースのわかりやすさ 運用担当者が直感的に操作できるUIデザインか(警告やアラートの視認性、設定画面の階層構造、操作手順のわかりやすさなど)



 効率的な運用管理を実現するセキュリティソフトを選定すると、IT担当者の工数削減と人為的ミスの防止につながります。

サポート体制

 サポート体制が充実した法人向けセキュリティソフトを選ぶと、問題発生時に迅速な対応を受けられ、業務を継続しやすくなります。

 確認すべきポイントは、以下のとおりです。

ポイント 詳細
対応時間 24時間365日対応か、平日のみか
サポート方法 ・電話によるリアルタイムサポート
・メールでの問い合わせ対応
・チャットサポート
・遠隔操作によるトラブルシューティング
・オンサイトサポート(訪問対応)
提供されるサービス内容 ・導入時の設定支援
・運用に関する定期的な相談
・セキュリティインシデント発生時の緊急対応
・バージョンアップ時の設定変更支援


 
 特に、インシデント発生時の対応については事前確認が必須です。感染が疑われる場合の初動対応から、システム復旧までの一連のサポートがすぐに受けられるかどうかで、被害の規模が大きく変わります。

 契約前には、具体的な対応事例を聞いておくとよいでしょう。

第三者機関からの評価


 セキュリティソフトの性能を客観的に判断するには、第三者機関による評価結果が重要な指標となります。信頼性の高い機関からの評価は、製品選定において大きな判断材料になるでしょう。

 日本では、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が認定する評価機関として以下があります。

・一般社団法人ITセキュリティセンター評価部
・ 株式会社ECSEC Laboratory評価センター
・ TÜV Informationstechnik GmbH, Evaluation Body for IT-Security

 国際的には、AV-ComparativesやAV-TEST、SE Labsなどの評価機関が広く認知されています。

 どのような機関から、どのような評価を得ているかを参考にすると、客観的に見ても期待できる製品選定が可能になります。

主な法人向けセキュリティソフト比較表


 法人向けセキュリティソフトを選ぶときには、機能や価格を比較することが重要です。主な製品を、以下の表にまとめました。

セキュリティソフト(メーカー) 特徴 価格 おすすめの企業
セキュリティおまかせプラン プライムPlus(NTT西日本) 異常な通信や振る舞いを検知・駆除する他、EDRセキュリティツールやクラウドプロキシも搭載。事前のセキュリティ対策だけでなく、インシデント発生時の復旧も支援 月額20,900円 / 台(10クライアント向けの場合)。
含まれるのは以下。
・基本料金
・ゲートウェイセキュリティ(UTM)※24時間出張修理付
・EDRセキュリティツール:5端末分
・クラウドプロキシ:2利用者分
・標的型攻撃メール訓練機能:10通/年
・クラウドサンドボックス
・elgana®:5ID分
※EDRセキュリティツール、クラウドプロキシ、標的型攻撃メール訓練機能の追加をご希望の場合、別途追加契約にて利用可能
専門スタッフの確保が難しい中小企業、複合的なセキュリティ対策を求める企業
Microsoft Defender for Business(Microsoft) 最大300名規模の中小企業向けに設計された統合型セキュリティソリューション。AI搭載の次世代ウイルス対策と包括的なエンドポイント保護機能を提供 1ユーザーあたり月額494円(年払いの場合)~ 最最大300名の従業員を抱える中小企業、オフィスやリモートなどハイブリッドワーク環境を採用している企業
i-FILTER(デジタルアーツ株式会社) 2022年度のWebフィルタリング市場でシェア55.6%を占めたNo.1製品。未知のURLもブロックするホワイト運用を採用し、許可されたWebサイトのみへのアクセスが可能 >1ライセンスあたり年額10,780円(スタンダード10~29ライセンスの場合) モバイルワークを導入している企業、多くの企業に選ばれている製品を検討したい企業
スーパーセキュリティfor Business(ソースネクスト株式会社) AV-Comparativesの性能テストで最多の1位獲得率を誇り、システムパフォーマンスへの影響が非常に小さいと高評価。マルウェア対策やリスク分析に加え、サンドボックスやゼロデイ攻撃を含むエクスプロイト防御機能も搭載 1ライセンスあたり年額2,178円 防御力の実績を重視したい企業、セキュリティ重視と同時にシステム負荷も抑えたい企業
Norton Small Business(Gen Digital Inc.) デバイス保護の基本機能に加え、金融機関レベルのVPN暗号化やクラウドへの自動バックアップ機能を搭載。専門家チームによるビジネステクニカルサポートが充実しており、製品・サービス・ウイルス駆除まで幅広いサポートを受けられる 最初の1年9,880円(10台の場合) 少人数で複数のデバイスを運用する企業、技術的なサポートを必要とする企業
ESET(ESET社) XDRとMDR機能を備え、AIモデルによる脅威の自動検出・分析から、エンドポイント以外のレイヤーまで一貫した監視を提供。24時間365日の日本語サポート体制あり 1ライセンスあたり年額6,545円(6~10ライセンスの場合)
※ライセンス数が増えるほど1ライセンスあたりの年額は低下
セキュリティ運用をアウトソーシングしたい企業、統合的なセキュリティ対策を求める企業
AppGuard(株式会社Blue Planet-works) Windows OSに特化したゼロトラスト型エンドポイントセキュリティ製品。過去の脅威情報に頼らず攻撃のライフサイクルを断ち切る独自の仕組みを持ち、定義ファイルの更新やディスクスキャンが不要で端末への負担がない 1ライセンスあたり6,000円~ Windows環境を主に使用している企業、ゼロトラストセキュリティへの移行を検討している企業
ZEROウイルスセキュリティ(ソースネクスト株式会社) 初回購入時のみの費用で、バージョンアップも無料で提供。世界的な第三者機関から高評価を受けている ダウンロード版1台2,970円、3台5,480円、5台7,980円 長期間使用する予定のデバイスをもつ企業、コストパフォーマンスを重視する企業
Kaspersky(株式会社Kaspersky Labs Japan) 最先端のAIと機械学習技術を活用したエンドポイント保護機能を提供。第三者機関AV-TESTの評価では、ランサムウェア攻撃に対して100%の効果を発揮するとされた 年額20,910円(スモールオフィスセキュリティ3ユーザー年払いの場合) 高度なセキュリティ対策を求める企業、グローバルな脅威情報を活用したい企業
Symantec Enterprise Cloud(Broadcom Inc.) 世界最大級の民間セキュリティインテリジェンスネットワーク「Global Intelligence Network」を活用。オンプレミスとクラウドの両環境において、エンドポイントからネットワーク、情報、電子メールまでを包括的に保護する大企業向けのセキュリティ製品 要問い合わせ グローバル規模で信頼性の高いセキュリティ対策を求める大規模企業、柔軟なシステム環境を求める企業
PC Matic(PC Matic社) 米国政府の高いセキュリティ要求を満たしたゼロトラストセキュリティを搭載し、PC Magazine誌で詐欺対策No.1と評価された製品。マルウェア分析官によるデジタルフォレンジックを経た自動ホワイトリスト方式を採用 要問い合わせ 高度なセキュリティや詐欺・悪質サイト対策を重視する企業、脆弱性対策も含めた総合的な保護を求める企業



 それぞれの強みを把握したうえで、自社に最適なセキュリティソフトを検討しましょう。

主な法人向けセキュリティソフト11選

 法人向けセキュリティソフトは機能性やコストパフォーマンスなど、さまざまな観点から選ぶことが可能です。

 主な11製品を詳しく紹介しますので、自社の規模や予算に合った候補を見つけましょう。

1. セキュリティおまかせプラン プライムPlus

画像1.png

引用:NTT西日本「セキュリティおまかせプラン / セキュリティおまかせプラン プライムPlus


 NTT西日本のセキュリティおまかせプラン プライムPlusは、事前対策から有事対応まで一貫したセキュリティ対策をめざすサービスです。特徴は以下のとおりです。

 【事前のセキュリティ対策】
・ ゲートウェイセキュリティ(UTM)のクラウドサンドボックス機能やセキュリティスイッチ機能により不正通信を検知し、多様な脅威をブロック
・ AI搭載の高度な学習型検索をもつEDRセキュリティで、従来型のウイルス対策では検出できない亜種ウイルスも検知
・ クラウドプロキシでオフィス外からのWeb通信も監視し、https通信も含めて不正アクセスを遮断
・ メール訓練機能として、標的型攻撃メールの模擬訓練を実施し、社内のセキュリティ意識向上を支援


 【インシデント発生時の復旧支援】
・24時間365日、専門家による監視体制
・ 感染端末の迅速な隔離対応
・ ビジネスチャットelgana®による通知機能
・ 遠隔および訪問サポート(オプション)による復旧支援

 事前のセキュリティ対策からインシデント発生時の復旧支援まで、法人向けに包括的なサポートを行います。

セキュリティソフト名 セキュリティおまかせプラン プライムPlus
メーカー NTT西日本
価格 月額20,900円 / 台(10クライアント向けの場合)。含まれるのは以下。
・基本料金
・ゲートウェイセキュリティ(UTM)※24時間出張修理付
・EDRセキュリティツール:5端末分
・クラウドプロキシ:2利用者分
・標的型攻撃メール訓練機能:10通/年
・クラウドサンドボックス
・elgana®:5ID分
※EDRセキュリティツール、クラウドプロキシ、標的型攻撃メール訓練機能の追加をご希望の場合、別途追加契約にて利用可能
おすすめの企業 専門スタッフの確保が難しい中小企業、複合的なセキュリティ対策を求める企業
公式Webサイト https://business.ntt-west.co.jp/service/security/security_omakase/security.html



2. Microsoft Defender for Business


画像2.png引用:Microsoft「Microsoft Defender for Business」

  

 
 Microsoft Defender for Businessは、最大300名の従業員ほどをもつ中小規模のビジネス向けに設計されたエンドポイントセキュリティ製品です。統合セキュリティソリューションで、AI機能も搭載しています。

 包括的なデバイスとサーバーのセキュリティに加え、エンドポイントでの検出と対応、次世代ウイルス対策、自動調査と修復の機能を備えており、脆弱性の追跡と修正も可能です。

セキュリティソフト名 Microsoft Defender for Business
メーカー Microsoft(マイクロソフト)
価格 1ユーザーあたり月額494円(年払いの場合)~
おすすめの企業 最大300名ほどの従業員を抱える中小企業、オフィスやリモートなどハイブリッドワーク環境を採用している企業



3. i-FILTER(iフィルター)
画像3.png


引用:デジタルアーツ株式会社「i-FILTER」

 
 i-FILTERは、2024年5月、株式会社アイ・ティ・アールが発行した市場調査レポート「ITR Market View:サイバー・セキュリティ対策市場2024」において、2022年度の「Webフィルタリング市場:ベンダー別売上金額シェア」の55.6%を占め、シェア1位を獲得しました。

 カテゴライズされていない未知のURLへのアクセスをブロックする「ホワイト運用」を採用しています。検索サイトで出てくる国内WebサイトのURLをコンテンツURLを含めてデータベース登録することで、許可されたWebサイトのみにアクセスできるようになります。

 アンチウイルスやサンドボックスはオプションで提供されており、ダウンロードやアップロードしようとするファイルの安全性をリアルタイムにスキャンし、判定することが可能です。

セキュリティソフト名 i-FILTER(iフィルター)
メーカー デジタルアーツ株式会社
価格 1ライセンスあたり年額10,780円(スタンダード10~29ライセンスの場合)
おすすめの企業 モバイルワークを導入している企業、多くの企業に選ばれている製品を検討したい企業


4. スーパーセキュリティfor Business

画像4.png引用:ソースネクスト株式会社「スーパーセキュリティfor Business」

 
 スーパーセキュリティfor Businessは、先進的な技術力で知られるセキュリティ専門企業Bitdefender社が提供する、法人向けのエンドポイント・セキュリティソフトです。

 オーストリアの第三者機関AV-Comparativesの性能テストで、最多の1位獲得率を誇るそうです。また、2023年7月発表の「Business Security Test 2023」で、システムパフォーマンスへの影響の小ささが評価されています。

 マルウェア対策やリスク分析だけでなく、サンドボックスやゼロデイ攻撃(ソフトウェアやシステムの脆弱性を悪用して行われるサイバー攻撃)を含むエクスプロイト防御機能も搭載しています。

セキュリティソフト名 スーパーセキュリティfor Business
メーカー ソースネクスト株式会社
価格 1ライセンスあたり年額2,178円
おすすめの企業 防御力の実績を重視したい企業、セキュリティ重視と同時にシステム負荷も抑えたい企業



5. Norton Small Business
画像5.png

引用:Gen Digital Inc.「Norton Small Business」


 Norton Small Businessは、業務で使用するデバイスが常に保護され、クリーニングと最適化により、パソコンの信頼性を高められる法人向けセキュリティソフトです。

 金融機関レベルのVPN暗号化機能でアクセスの安全性が図れるうえ、重要なデータはクラウドに自動バックアップされます。

 専門家チームによるビジネステクニカルサポートが利用でき、製品・サービス・ウイルス駆除まで幅広くサポートを受けられます。

セキュリティソフト名 Norton Small Business
メーカー Gen Digital Inc.
価格 最初の1年9,880円(10台の場合)
おすすめの企業 少人数で複数のデバイスを運用する企業、技術的なサポートを必要とする企業



6. ESET(イーセット)



画像6.png引用:ESET社「中小企業向けESETソリューション一覧」

 
 ESETは、XDR(Endpoint Detection and Response)とMDR(Managed Detection and Response)機能をもつ法人向けセキュリティソフトです。

 XDRは、マルウェアなどの脅威を自動検出し、分析して対処するプラットフォームです。EDRの機能を拡張し、エンドポイント以外のレイヤーまで一貫して監視します。
 

 一方、MDRは脅威検出から対応・修復までを外部に委託するサービスです。ベンダーがインシデント兆候をいち早く検知し、現場に通知します。


 エンドポイント保護やXDRには、長年培った脅威ナレッジを用いたAIモデルを使用しており、侵入初期フェーズでAIが脅威をブロックします。


 セキュリティ・スペシャリストによる日本語での24時間365日体制運用とサポートも受けることが可能です。

セキュリティソフト名 ESET(イーセット)
メーカー ESET社
価格 1ライセンスあたり年額6,545円(6~10ライセンスの場合)
※ライセンス数が増えるほど1ライセンスあたりの年額は低下
おすすめの企業 セキュリティ運用をアウトソーシングしたい企業、統合的なセキュリティ対策を求める企業


7. AppGuard(アップガード)


画像7.png引用:株式会社Blue Planet-works「AppGuard」


AppGuardは、Windows OSに特化して徹底的に研究し開発された、法人向けゼロトラスト型エンドポイントセキュリティ製品です。

 ゼロトラストとは、起動されるすべてのプロセスはすでに何らかの形で侵害されていると仮定する考え方です。未知の脅威の発症や改ざんを防止できるよう、過去の脅威情報に頼らず、攻撃のライフサイクルを断ち切る独自の仕組みをもちます。

 また、定義ファイルの更新やディスクスキャンがいらず、これらで生じる端末への負担はありません。

セキュリティソフト名 AppGuard(アップガード)
メーカー 株式会社Blue Planet-works
価格 1ライセンスあたり6,000円~
おすすめの企業 Windows環境を主に使用している企業、ゼロトラストセキュリティへの移行を検討している企業


8. ZEROウイルスセキュリティ



画像8.png引用:ソースネクスト株式会社「ZEROウイルスセキュリティ」

 
 ZEROシリーズは販売本数13年連続No.1という実績があり、多くの企業から信頼を得ています。

 ZEROウイルスセキュリティの最大の魅力は、初回購入時のみの費用で永続的に利用できることです。期限切れの心配がなく、バージョンアップも無料で行えるため、長期的なコスト削減につながるでしょう。

 製品の特徴としては、世界的な第三者機関による性能テストで、ウイルスセキュリティ(K7製エンジン)は軽さが、スーパーセキュリティ(Bitdefender製エンジン)は防御力が高く評価されています。

 スーパーセキュリティに搭載のエンジンは、最新のAI技術で未知ウイルスに即座に対応可能です。

セキュリティソフト名 ZEROウイルスセキュリティ
メーカー ソースネクスト株式会社
価格 ダウンロード版1台2,970円、3台5,480円、5台7,980円
おすすめの企業 長期間使用する予定のデバイスをもつ企業、コストパフォーマンスを重視する企業



9. Kaspersky(カスペルスキー)

画像9.png

引用:株式会社Kaspersky Labs Japan「Kaspersky」

 Kasperskyは、最先端のAIと機械学習技術を駆使し、高度なエンドポイント保護機能を提供する法人向けセキュリティソフトです。

 第三者機関のAV-TESTによる最近の評価によると、ランサムウェア攻撃(感染した端末内のデータを暗号化して使用不能にし、その復元と引き換えに身代金を要求するマルウェア)に対して100%の効果があるとされています。

 世界中で進化し続けるサイバー脅威からビジネスデータを保護するのに役立つでしょう。

セキュリティソフト名 Kaspersky(カスペルスキー)
メーカー 株式会社Kaspersky Labs Japan
価格 年額20,910円(スモールオフィスセキュリティ3ユーザー年払いの場合)
おすすめの企業 高度なセキュリティ対策を求める企業、グローバルな脅威情報を活用したい企業



10. Symantec Enterprise Cloud(シマンテックエンタープライズクラウド)


画像10.png引用:Broadcom Inc.「Symantec Enterprise Cloud」

 Symantec Enterprise Cloudは、ハイブリッドセキュリティを提供する大企業向けの包括的なサイバーセキュリティ製品です。オンプレミスとクラウドの両方で、エンドポイントからネットワーク、情報、電子メールのセキュリティまで、包括的なセキュリティ体制を構築できます。

 世界最大級の民間セキュリティインテリジェンスネットワーク「Global Intelligence Network」を支えており、11兆個のテレメトリ要素と高度な人工知能アルゴリズム、専門の脅威ハンティングチームを組み合わせ、毎月10万件もの新しい標的型攻撃を発見しているそうです。

セキュリティソフト名 Symantec Enterprise Cloud
メーカー Broadcom Inc.
価格 要問い合わせ
おすすめの企業 グローバル規模で信頼性の高いセキュリティ対策を求める大規模企業、柔軟なシステム環境を求める企業



11. PC Matic(PCマチック)


画像11.png
引用:PC Matic社「PC Matic」


 PC Maticは、アメリカ合衆国政府の高いセキュリティ要求を満たした、ゼロトラストセキュリティ搭載の法人向けセキュリティソフトです。PC Magazine誌による悪質URL対策調査で、No.1と評価された詐欺対策を装備しています。

 ゼロトラストで端末を保護し、過去6年間における感染被害の報告はありません。

 また、ホワイトリスト登録などの運用は一切不要で、マルウェア分析官によるデジタルフォレンジック(コンピューターやネットワークなどのデジタル機器に残された証拠を収集・分析する技術)を経て、自動的に利用できるようになります。

セキュリティソフト名 PC Matic(PCマチック)
メーカー PC Matic社
価格 要問い合わせ
おすすめの企業 高度なセキュリティや詐欺・悪質サイト対策を重視する企業、脆弱性対策も含めた総合的な保護を求める企業



法人向けセキュリティソフト導入に向けた注意点

 セキュリティソフトを導入する際には、いくつかの重要な注意点があります。適切な準備と対策を行うと、より効果的にセキュリティ対策を実施できます。

 特に重要な3つのポイントについて解説しますので、導入に向けて参考にしてください。

動作への影響を確認しておく

 
 セキュリティソフトは常にシステムリソースを使用しながら稼働するため、パソコンの動作速度に影響を与える可能性があります。特に以下のような作業時に影響が出やすいため、事前確認が重要です。

・大容量ファイルの開封時
・動画編集ソフトの使用中
・重いアプリケーションの起動時
・ウイルススキャン実行中

 これらの影響を最小限に抑えるためには、導入前に以下の確認をしておくのがおすすめです。

確認項目 確認内容
体験版の利用 実際の業務環境で動作テストを行う
業務ソフトとの相性 日常的に使用するアプリケーションとの互換性を確認
スキャン設定の調整 低負荷モードの有無や時間設定などの確認
メモリ使用量 通常使用時とスキャン時のメモリ消費量の把握

 
 
 複数のパソコンで同時にスキャンを実行すると、ネットワーク全体のパフォーマンスにも影響を及ぼす可能性があるため、時間帯やスケジュールの設定も検討しておくとよいでしょう。

ソフトウェアは常に最新の状態を保つ

 セキュリティソフトは、定期的なアップデートにより最大限の効果を発揮します。アップデートでは主に以下の項目が改善されます。セキュリティソフトは、定期的なアップデートにより最大限の効果を発揮します。アップデートでは主に以下の項目が改善されます。

・新種のウイルスやマルウェアへの対応
・既知の脆弱性の修正
・検知エンジンの性能向上
・誤検知の改善など

 多くの法人向けセキュリティソフトには自動アップデート機能が搭載されていますが、パソコンの設定によっては正しく動作しないケースがあります。以下のポイントを定期的に確認しましょう。

確認・実施事項 推奨頻度
自動アップデート設定の確認 月1回
手動アップデートの実施 週1回
アップデート通知への対応 即時
アップデート失敗時の対応 サポートへ連絡


 特にアップデート通知が表示された場合は、業務の都合で後回しにせず、速やかに実行することが重要です。万が一アップデートに失敗した場合は、製品サポートに問い合わせて適切な対処法を確認する必要があります。

警告への適切な対処法を把握しておく


 セキュリティソフトから警告が表示された際、本物か偽物かを見分ける知識が必要です。Microsoft DefenderやGoogleを装った偽警告に惑わされないよう、正規の警告画面の特徴を事前に把握しておきましょう。

 警告が表示されたら、まずはクリックせずに画面のスクリーンショットを保存し、システム管理者へ報告することをおすすめします。独自の判断は避け、組織のセキュリティポリシーに従った対応が賢明です。 

 偽のセキュリティ警告画面の閉じ方は、以下のとおりです。

方法 手順
【Esc】ボタンで閉じる 1. 【Esc】キーを3秒程度押す
2. 画面右上に表示された「×」を押す
強制再起動する 1. 【Ctrl】【Alt】【Delete】キーを同時に押す
2. 画面右下の「電源ボタンアイコン」から「再起動」を選択

 
 ブラウザ再起動時にページの復元を促すメッセージが表示された場合は、「復元」はクリックせずに、右上の「×」をクリックしてください。適切な対処を行うと、サポート詐欺などの被害を未然に防ぐことが可能です。

法人向けセキュリティソフトに関してよくある質問

 法人向けセキュリティソフトを導入する際には、さまざまな疑問を抱くでしょう。多くの企業が抱きやすい質問にお答えしますので、導入に関する不安や疑問を解消するために参考にしてください。

法人向けセキュリティソフトは本当に必要?

 近年、リモートワークの普及やサイバー攻撃の巧妙化により、企業は脆弱性をつかれるケースが増加しています。IPAの「2024年度中小企業等実態調査結果」によると、2023年度にサイバーインシデント被害を受けた企業は975社にのぼり、その攻撃手法は以下のとおりです。

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引用:IPA「2024年度中小企業等実態調査結果

 取引先やグループ会社等を経由して侵入したとの回答も19.8%あり、サプライチェーン上のセキュリティリスクが読み取れます。

 被害内容としては、「データの破壊」が35.7%、「個人情報の漏えい」が35.1%と深刻です。過去3期に発生したサイバーインシデントの平均被害額は73万円で、9.4%の企業は100万円以上(最大1億円)の被害を受けています。

画像13.png引用:IPA「2024年度中小企業等実態調査結果

 特筆すべきは、約7割の企業が「サイバーインシデントにより取引先に影響があった」と回答している点です。また、取引先から要請された情報セキュリティ対策を実施したことが取引につながった要因だと回答した企業は42.1%にのぼります。



画像14.png

引用:IPA「2024年度中小企業等実態調査結果

 法人向けセキュリティソフトの導入は企業自身の保護だけでなく、取引先との信頼関係構築にも直結する重要な投資といえます。

セキュリティソフトの法人向けと個人向けの違いは?

 セキュリティソフトの法人向けと個人向けは、料金の他、管理・運用方法やセキュリティレベルの統一性、セキュリティ機能が違います。

 法人向けは個人向けより料金が高くなりやすいものの、管理画面から全端末の一括設定が可能であり、管理サーバーからの一斉配信により統一された保護を受けることが可能です。

 また、個人向けにはない機能が追加されているものが多いでしょう。

世界でよく選ばれているセキュリティソフトは?

 法人向けセキュリティソフトの世界市場では、Microsoft(マイクロソフト)が現在トップシェアを占めているとされています

 代表的な法人向け製品にはMicrosoft Defender for Businessがあり、Microsoft365 Businessとの統合性の高さやクラウド管理の容易さが特徴です。

まとめ

 法人向けのセキュリティソフトを選ぶ際には、機能や動作の軽さ、運用管理の容易さ、サポート体制、第三者からの評価などの観点で選定することが大切です。

 IPAは、サイバー攻撃に対し、UTMとEDRの双方で防御することが有効であると示しています。そのため、セキュリティソフトを導入する際には、これらも検討の材料とするとよいでしょう。

 ※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

【TP】

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