ニューノーマル処方箋(第72回) クラウドストレージ比較6選!法人向けに選び方を解説

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公開日:2025.09.09

 クラウドストレージとは、インターネットを通じてデータを保存・共有できるオンラインストレージサービスです。インターネット環境があればどこからでもアクセスできるうえ、クラウド上のストレージにバックアップすることで、万が一の場合でもデータを復元できます。

 本記事では、法人向けクラウドストレージのメリットや選定基準、主なサービス6選、導入時の注意点を詳しく解説します。

■目次

クラウドストレージとは?法人利用のメリット
・社内文書のペーパーレス化を実現
・業務効率化
・災害時のBCP対策
法人向けクラウドストレージの選び方5つのポイント
・セキュリティ基準と認証
・アクセス権限の設定と管理機能
・ビジネスツール連携の可否
・コスト面での長期運用試算
・カスタマーサポート体制の充実度
主なのクラウドストレージの比較表
主なクラウドストレージ6選
1. おまかせクラウドストレージ
2.AWSストレージサービス
3.One Drive365
4. Google Drive
5. Box over VPN
6.Dropbox
クラウドストレージ導入時の注意点
・日々のセキュリティ情報の確認を徹底する
・万が一に備えた体制を構築しておく
クラウドストレージに関してよくある質問
・クラウドに保存されたデータはどこにあるのですか?
・クラウドストレージの欠点は何ですか?
まとめ


クラウドストレージとは?法人利用のメリット

 クラウドストレージとは、インターネットを介して利用できるデータの保管・管理サービスです。オンラインストレージとも呼ばれ、物理的なサーバーを自社で保有する必要がなく、容量を調整できる柔軟性をもちます。

 代表的な機能は、以下のとおりです。

  ・ファイルの保存・共有
  ・自動バックアップ
  ・共同編集
  ・アクセスログの記録
  ・ファイルの階層分けによるアクセス制限

 これらにより、企業では社内文書のペーパーレス化や業務効率化が図れ、災害時のBCP(事業継続計画)対策を講じることも可能になります。

社内文書のペーパーレス化を実現

 クラウドストレージの導入によって、社内の紙文書をデジタル化でき、以下のように多くのメリットが生まれます。

 ・物理的な保管スペースが不要になり、オフィスの有効活用が可能になる
 ・文書の検索性が向上し、必要な情報へのアクセスが瞬時に行える
 ・複数拠点間での文書共有がリアルタイムで可能になる
 ・印刷・コピー代のコスト削減を図れる
 ・紙文書の移動や配布の手間が省ける

 スキャンした文書をOCR機能と組み合わせると、画像データからテキストデータへの変換が可能になり、再編集や検索性がさらに向上します。

 会議資料や契約書類、請求書などの重要文書も適切なアクセス権限を設定することで、セキュリティを確保しながら効率的に保管・共有できるようになります。

業務効率化

 クラウドストレージは、インターネット環境さえあればオフィスだけでなく自宅や営業先からでも必要なファイルに瞬時にアクセスできるため、さまざまな形で業務効率化が実現できます。

 特に効率化が図れるポイントは、以下のとおりです。

 ・複数の端末から同時アクセスが可能、リモート会議をしながらメンバー全員でリアルタイムに資料を編集できる
 ・ファイルの自動保存・同期機能で、オフィスパソコンとテレワークパソコンの間でのデータ移行作業が不要になる
 ・データのバックアップ環境が自動的に構築され、定期的なバックアップ作業の手間が省ける
 ・検索機能で蓄積された膨大なデータから必要な情報をすぐに見つけられる

 これらの機能により、従来の業務フローを効率化でき、生産性の向上を図れるでしょう。

災害時のBCP対策

 近年、日本では地震や台風、集中豪雨などの自然災害が頻発しています。こうした状況下で、企業のデータを守るBCP(事業継続計画)対策は、経営課題として極めて重要です。

 BCP(事業継続計画)対策とは、企業が緊急事態に備えて、事業の継続や早期復旧を可能にするための計画や対策のことです。

 クラウドストレージの活用は、以下のような災害対策のメリットが得られます。

 ・堅牢なデータセンターでの保管により、物理的な災害リスクを軽減
 ・自動バックアップ機能でデータ消失を防止
 ・地理的に分散したサーバーでの保存
 ・災害発生時でもリモートアクセスによる業務継続が可能

 オンプレミス型のファイルサーバーでは、自社ビル内のサーバールームが被災した場合、重要なデータが一瞬で失われるリスクもあります。

 クラウドストレージであれば、専門性の高いベンダーによる運用管理のもと、強固なセキュリティと災害対策が施された環境で、データを保全できる可能性が高まるでしょう。万が一の事態でも、事業の早期復旧と継続性を見込めます。

法人向けクラウドストレージの選び方5つのポイント

 企業でクラウドストレージを導入する際には、重要ポイントを確認することが成功の鍵となります。選定基準は、以下のとおりです。

 ・セキュリティ基準と認証
 ・アクセス権限の設定と管理機能
 ・ビジネスツール連携の可否
 ・コスト面での長期運用試算
 ・カスタマーサポート体制の充実度

 特に企業で利用する場合は、データ保護やコンプライアンス対応が重要となるため、単純な容量や価格だけでなく、多角的な視点での比較検討が必要です。

 ビジネスニーズに最適なクラウドストレージを選定するために、各ポイントを押さえておきましょう。

セキュリティ基準と認証

 法人向けクラウドストレージを選ぶ際は、情報漏洩リスクを抑えながらコンプライアンスを確保するために、クラウドストレージ提供事業者の「国際認証や基準への適合状況」を必ず確認しておきましょう。

 主要なセキュリティ認証は、以下のとおりです。

主要なセキュリティ認証 概要
ISMSクラウドセキュリティ認証(一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター) ISMS(JIS Q27001)認証に加えて、クラウドサービス固有の管理策(ISO / IEC27017)が適切に実装されていることを認証
クラウド情報セキュリティ監査制度(特定非営利活動法人日本セキュリティ監査協会) クラウドサービス事業者が基本的な要件を満たす情報セキュリティ対策を実施していることを監査し、その結果をCSマークの表示許諾を通じて利用者に対して公開する制度。外部監査と内部監査で「ゴールド」と「シルバー」の2種類あり
ASP・SaaSの安全・信頼性に係る情報開示認定制度(一般社団法人日本クラウド産業協会) 安全・信頼性にかかわる比較・評価・選択を行うために必要な情報を、クラウドサービス事業者が開示していると認定する制度。クラウドで扱う情報や環境の種類に応じて、「医療情報」「特定個人情報」「IoTクラウド」「データセンター」など、合計7種類の認定マークが定められている
政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP) 政府調達基準を満たす高水準のセキュリティ対策が施されていることを示す制度

 スマートSMEサポーター制度(中小企業庁)では、中小企業者等の生産性向上に貢献するICTツールや中小企業のICT活用をサポートするICTベンダーを法令に基づいて認定し、情報を開示しています。クラウドストレージ提供事業者の情報セキュリティ対策の実施状況を確認することが可能です。

ティアレベル 稼働率 特徴
ティア1 99.67%以上 基本的な災害対策と瞬間停電対応。アクセス管理はサーバー室のみ
ティア2 99.75%以上 長時間の停電対応が可能。アクセス管理はサーバー室のみ
ティア3 99.98%以上 一般建物より高レベルの安全性と冗長構成設備あり。アクセス管理は建物およびサーバー室
ティア4 99.99%以上 最高レベルの耐災害性と冗長構成設備あり。アクセス管理は敷地、建物、サーバー室およびラック内のICT機器

 クラウドストレージ選定時には、各サービスの公式Webサイトや資料で認証の取得状況を確認し、自社の扱うデータの重要度に応じて、適切なセキュリティレベルを備えたサービスを選択することが重要です。

アクセス権限の設定と管理機能

 法人向けクラウドストレージでは、アクセス権限の柔軟な設定と管理機能が重要です。効果的な権限管理のために、以下のポイントに着目しましょう。

ポイント 詳細
基本設定の充実度 ・部署、チーム単位でのグループ設定ができるか
・組織階層に連動した権限付与が可能か
・期限付きアクセス権を設定できるか
フォルダ構造と分類 ・フォルダは簡潔な構成で、用途別に明確な分類ができるか
・検索しやすいファイル名規則を設定できるか


 基本設定において、複雑な権限設定は管理ミスを招きやすく、情報漏洩リスクを高めます。シンプルかつ見やすい設定画面を提供しているサービスを選びましょう。

 また、運用する際は、定期的な権限見直しや異動・退職時の速やかな権限削除、アクセスログの定期確認などを行うことが大切です。

ビジネスツール連携の可否

 クラウドストレージを選ぶ際は、普段使用しているビジネスツールとの連携機能の確認も必要です。連携機能が充実していれば、日常的に利用しているツールからシームレスにファイルにアクセスでき、スムーズな業務遂行につながります。

 また、アクセス権限の管理も容易になり、ファイルの複製を防ぎやすくなるでしょう。

 主要なツールは、以下のとおりです。

  ・チャットツール(Microsoft Teams、Slack)
  ・ビデオ会議(Zoom、Google Meet)
  ・グループウェア(Microsoft 365、Google Workspace)
  ・電子署名サービス(DocuSign、Adobe Sign)

 特に社外とのファイル共有が多い場合は、チャットツールやビデオ会議ツールとの連携がスムーズなクラウドストレージを選ぶと、会議中にその場でファイルを共有・編集できるようになり、コミュニケーションの効率が向上します。

コスト面での長期運用試算

 クラウドストレージを導入する際は、初期費用だけでなく長期的な運用コストを試算することが重要です。将来的な拡張性を見据えて長期的な視点でコスト計算すると、予算オーバーを防ぎ、適切なサービス選定が可能になります。

 長期コストを計算する際のポイントは、以下のとおりです。

  ・月額基本料金(年間プランなら割引される場合もあり)
  ・追加容量拡張時の費用(データ量増加を見越した計算)
  ・ユーザーアカウント追加費用(企業成長にともなう人員増加を考慮) 
  ・課金体系の確認(容量単位か、ユーザー単位か)

 利用規約や料金体系を詳細に確認しておくことをおすすめします。

カスタマーサポート体制の充実度

 クラウドストレージ導入後のスムーズな運用を左右する重要な要素が、カスタマーサポート体制です。選定時には以下の3点を確認しましょう。

ポイント 詳細
サポート対応時間 ・24時間365日の対応が可能か
・日本語対応が可能な時間帯
・緊急時の優先対応の有無
サポート手段 ・電話、メール、チャットなど複数の問い合わせ窓口
・オンラインFAQ、ヘルプデスクの充実度
導入サポート体制 ・初期設定のサポート範囲
・管理者向けトレーニングの提供
・カスタマイズ相談の可否

 特に、システムトラブル発生時の対応スピードや担当者の専門知識レベルは、業務への影響を最小限に抑えるための重要な指標となります。

主なクラウドストレージの比較表

 数あるクラウドストレージのなかで主なサービスを比較できるよう、一覧にしました。

クラウドストレージ名(事業者) 特徴 価格 おすすめの企業
おまかせクラウドストレージ(NTT西日本) 使い慣れたパソコン環境と同様の操作感で3種類のフォルダを活用し、簡単に社外取引先とのファイル共有やデータ移行を行える。ドキュメントレビュー機能やスマートフォルダ機能に加え、Microsoft Teams®とのスムーズな連携により、業務効率化を実現。別途ビジネスフォンと専用ユニットの用意により、通話データの自動保存も可能 初期費用無料、スタートプラン3,850円(100GB / 5ID)~ 従来のパソコンと同じように使えることを重視する企業、Microsoft Teams®とシームレスに統合したい企業
AWSストレージサービス(Amazon Web Services Japan合同会社) データの保存から分析まで包括的な機能を備えた、使いやすいクラウドストレージ。少ない操作でICTインフラの準備・提供プロセスを効率化しながら、高耐久性を実現。高性能ストレージやAWSデータサービスとの統合により生成AIの活用を促進し、ユーザー固有のデータを活かした差別化アプリケーション開発が可能従量制料金。最初の50TBは1GBあたり月額約4円(Amazon S3標準の場合、0.025米ドル)生成AI導入を検討している企業、高い耐久性を求める企業データの保存から分析まで包括的な機能を備えた、使いやすいクラウドストレージ。少ない操作でICTインフラの準備・提供プロセスを効率化しながら、高耐久性を実現。高性能ストレージやAWSデータサービスとの統合により生成AIの活用を促進し、ユーザー固有のデータを活かした差別化アプリケーション開発が可能 従量制料金。最初の50TBは1GBあたり月額約4円(Amazon S3標準の場合、0.025米ドル) 生成AI導入を検討している企業、高い耐久性を求める企業
One Drive365(Microsoft Microsoft365アプリケーションとの統合により、Word、Excel、PowerPointでのリアルタイム共同編集をあらゆる場所・デバイスから行える。Microsoft TeamsやSharePointとのシームレスな連携により最大100GBの大容量ファイル対応と簡単なライブラリ同期を実現 ユーザー1人あたり月額824円~ Microsoft365アプリケーションを日常的に使用する企業、リアルタイムコラボレーションを求める企業
Google Drive(Google社) AI搭載のクラウドストレージで、Google WorkspaceアプリやMicrosoft Office文書を含む100種類以上のファイル形式に対応し、シームレスな共有・編集機能を提供。カスタマイズ可能なアクセス権限管理と、1ユーザーあたり15GB~5TBまでの柔軟なストレージ拡張性をもつ ユーザー1人あたり月額800円(1年契約)~ Google Workspaceを活用している企業、コスト効率の良いストレージソリューションを求める企業
Box over VPN(NTTコミュニケーションズ) 10万社以上の導入実績をもつ容量無制限のクラウドストレージ。コンテンツの集約による社内外とのスムーズなファイル共有と、24時間365日対応のヘルプデスクを提供。電子帳簿保存法にも対応 期費用無料、月額1,925円 / ID~ >大容量のファイル共有ニーズがある企業、電子帳簿保存法対応を検討している企業
Dropbox(Dropbox, Inc. ドキュメント編集・署名、共同作業、アプリ横断検索を単一プラットフォームで実現。アカウントをもたないユーザーとも協業できる。Microsoft365、Slack、HubSpotなど多様な外部ツールと連携も可能 ユーザー1人あたり月額1,500円(チーム向け年払いの場合)~ 大容量のデータを共有したい企業、社内外とのデータのやり取りが多い企業

 自社に最適なサービスを検討する材料にしてください。

主なクラウドストレージ6選

 法人ユーザーの多様なニーズに応える、厳選したクラウドストレージをそれぞれ詳しく紹介します。ビジネスの規模や用途に合わせた最適なクラウドストレージ選びの参考にしてください。

1. おまかせクラウドストレージ

画像1.png引用:NTT西日本「おまかせクラウドストレージ

 おまかせクラウドストレージは、使い慣れたパソコンと同じように取り扱えるファイルやフォルダ構成になっています。目的に応じた3種類のフォルダで、社外の取引先とも簡単にファイル・データ共有やデータ移行が可能です。

 なかでもおすすめなのが、ドキュメントレビュー機能やスマートフォルダ機能です。

 ドキュメントレビュー機能は、おまかせクラウドストレージ上での簡単な操作で、ドキュメントごとにレビューや回覧の依頼、承認、フィードバック、タスクごとの進捗確認などができます。

 一方、スマートフォルダ機能は特定フォルダに保存した見積書・請求書・契約書など、電子帳簿保存法に関わるファイルをAIが自動的に解析し、抽出された情報を基にフォルダ・ファイルを整理できる機能です。ファイルを手動でフォルダ分けする手間が省略でき、業務負担の軽減に役立ちます。

 SaaS(クラウドサーバー上からインターネット経由で利用できるソフトウェアサービス)連携機能を使って、Microsoft Teams®上でも簡単にファイル共有できるでしょう。これまで使っていたソフトウェアを活かしながら業務の効率化を図れます。

 また、別途専用のビジネスフォンとユニットを用意することでビジネスフォンとも連携できるため、通話データをクラウドストレージに自動でアップロードして保存できます。通話データを外出先から確認することも可能です。

クラウドストレージ名 おまかせクラウドストレージ
事業者 NTT西日本
仕様 ・階層数は「全社共有」「パーソナルフォルダ」を含む30階層
セキュリティ認証 JIS Q 27001、ISO / IEC 27001、特定非営利活動法人日本セキュリティ監査協会正会員
セキュリティ機能 ・全階層のフォルダにアクセス権設定
・多要素認証または回線認証(IPv6通信への対応が必要)で不正なアクセスをブロック
・世界最高水準の耐久性を誇るクラウドインフラ上で構築、運用し、保存したデータは、複数のデータセンターで同時に複製
・全データは自動で暗号化、バックアップ
価格 初期費用無料、スタートプラン3,850円(100GB / 5ID)~
おすすめの企業 従来のパソコンと同じように使えることを重視する企業、Microsoft Teams®とシームレスに統合したい企業

2. AWSストレージサービス

画像2.png引用:Amazon Web Services Japan合同会社「AWSが提供するクラウドストレージサービス」

 AWSストレージサービスは、データの保存、アクセス、保護、分析のための深い機能性を備えた、豊富なポートフォリオから選べるクラウドストレージです。

 ユーザーの需要に応じてかかるICTインフラ設備やサービスを準備・提供するプロセスをわずか数クリックで削減し、必要なストレージに素早くアクセスするのに役立ちます。

 高性能ストレージや生成AIのためのAWSデータサービスとの統合により生成AIを有効にし、さまざまな基盤モデルを自分の目的に合わせて調整できます。データの活用によって、アプリケーションを差別化できるでしょう。

 また、99.999999999(イレブンナイン)と呼ばれる高い耐久性と、複数のアベイラビリティーゾーン(冗長な電源設備、ネットワーク、接続を備えている1つ以上の個別データセンター)の回復力を考慮して設計されています。

クラウドストレージ名 AWSストレージサービス
事業者 Amazon Web Services Japan合同会社
仕様 ・AWS無料利用枠:5GBのストレージ、データ送信100GB(S3 Standardストレージクラスの場合)
・AWSリージョン、S3 Outpostsストレージクラスを使用してデータをオンプレミスに保存可能
・S3ライフサイクルポリシーが設定されると、アプリケーションを変更することなく、データは自動的に別のストレージクラスに転送
セキュリティ認証 SO / IEC 27001
セキュリティ機能 ・セキュリティ、データ保護、コンプライアンス、アクセスコントロール機能でデータ保護
・S3はセキュア、プライベート、かつデフォルトで暗号化され、S3リソースへのアクセリクエストを監視するために多数の監査機能もサポート
価格 従量制料金 。最初の50TB / 月は1GBあたり約4円(Amazon S3標準の場合、0.025米ドル)
おすすめの企業 生成AI導入を検討している企業、高い耐久性を求める企業


3. One Drive365

画像3.png引用:Microsoft「One Drive365」

 One Drive365は、Microsoft365アプリで時間や場所を問わずにアクセスできるようになるクラウドストレージです。Web、モバイルデバイス、デスクトップからWord、Excel、PowerPointを使ってリアルタイムで共同作業を行えます。

 Microsoft TeamsやSharePointからOneDriveへ共有ファイルを追加できる、最大100GBのファイルのアップロードやライブラリの同期が簡単にできるなどの特徴があります。

クラウドストレージ名 One Drive365
事業者 Microsoft(マイクロソフト)
仕様 ・ユーザー1人あたり1TBのストレージ
・最大100GBのファイルアップロード
セキュリティ認証 ISO / IEC 27001、特定非営利活動法人日本セキュリティ監査協会正会員
セキュリティ機能 ・バックアップと保護はおまかせ
・誤って削除したり悪意のある攻撃を受けたりしたファイルを簡単に回復
・管理者はセキュリティポリシーを管理可能
価格 ユーザー1人あたり月額824 円~
おすすめの企業 Microsoft365アプリケーションを日常的に使用する企業、リアルタイムコラボレーションを求める企業


4. Google Drive

画像4.png引用:Google社「Google Drive」

 Google Driveは、シームレスにファイルを共有できるAI搭載のクラウドストレージです。Googleドキュメントやスプレッドシート、スライド、Microsoft Officeのファイル、PDFなど、100種類以上のファイルにアクセスできます。

 アクセス権限はカスタマイズにより、どのデバイスからでもファイルのアップロード、閲覧、共有、編集が可能です。

 1ユーザーあたり、15GB~5TBまでストレージを容易に拡張できる柔軟性も魅力です。

クラウドストレージ名 Google Drive
事業者 Google社
仕様 容量はプランにより、ユーザー1人あたり30GB~5TB
セキュリティ認証 ISO / IEC 27001
セキュリティ機能 ・信頼性の高いGoogle Cloudのインフラでデータを保管
・プレミアム機能では、クライアントサイド暗号化やゼロトラストアプローチVaultなどのセキュリティ機能を活用可能
価格 ユーザー1人あたり月額800円(1年契約)~
おすすめの企業 Google Workspaceを活用している企業、コスト効率の良いストレージソリューションを求める企業

5. Box over VPN

画像5.png引用:NTTコミュニケーションズ「Box over VPN」

 Box over VPNは、10万社以上の企業に導入実績のある容量無制限のクラウドストレージです。Box内にデータを集約し、社内・取引先とのスムーズなファイル共有を可能にします。

 設定や操作方法などのお問い合わせが可能なヘルプデスクは、24時間365日、一元保守を行っています。

 また、電子帳簿保存法のスキャナ保存・電子取引に対応できるプランも利用可能です。

クラウドストレージ名 Box over VPN
事業者 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
仕様 ・容量無制限
・1ファイル上限5GBアップロード
・7種類のアクセス権限設定
・ファイル単位での共有設定
セキュリティ認証 JIS Q 27001、ISO / IEC 27001、特定非営利活動法人日本セキュリティ監査協会正会員
セキュリティ機能 ・さまざまな第三者認証を取得
・米国司法省をはじめ、世界各国の政府機関や法人で採用
・ユーザーやコンテンツごとにセキュリティポリシーを設定可能
・データ保管時にAES256bitでファイルを暗号化
価格 価格初期費用無料、月額1,925円 / ID~
おすすめの企業 大容量のファイル共有ニーズがある企業、電子帳簿保存法対応を検討している企業


6. Dropbox

画像6.png

引用:Dropbox, Inc.「Dropbox」

 Dropboxは、ドキュメントの編集と署名、プロジェクトの共同作業、アプリの検索を、全コンテンツを保存している場所で行えるクラウドストレージです。アカウントをもっていなくても、チームで作業を進められます。

 無料プランでも、削除したファイルは30日間であれば復元可能です。さらに、Microsoft365やSlack、HubSpotなど、外部ツールとも連携できます。

クラウドストレージ名 Dropbox
事業者 Dropbox, Inc.
仕様 ・Dropbox Transferで最大100GBのファイル(アップグレードで250GB)を個別に送信可能
・長い動画ファイルのアップロード送信は最大2TB、ウェブブラウザを通じてアップロードする場合は最大50GB
・ストレージは個人用2TB~企業向けチーム全体で15TB以上まで
セキュリティ認証 ISO 27001
セキュリティ機能 ・2段階認証、ユーザーとデバイスの管理、ゼロ知識暗号化を採用したパスワードマネージャー
・256ビットAESとSSL / TLS暗号化技術で、データ転送中もファイルを保護
・パスワード保護や有効期限などの高度な共有管理機能
・脆弱性テストやダークウェブの監視、エンタープライズレベルの検出および対応機能あり
価格 ユーザー1人あたり月額1,500円(チーム向け年間払いの場合)~
おすすめの企業 大容量のデータを共有したい企業、社内外とのデータのやり取りが多い企業


クラウドストレージ導入時の注意点

 クラウドストレージを導入する際には、データの安全性を考えると日常的なセキュリティ対策が欠かせません。クラウドサービスは便利である反面、適切な管理を怠ると情報漏洩などのリスクが高まります。

 また、万が一のセキュリティインシデント発生時に備えて、体制を整えておくことが重要です。クラウドストレージ導入時のリスクと対策を理解し、運用に向けた具体的なアクションプランの立案に役立てましょう。

日々のセキュリティ情報の確認を徹底する

 クラウドストレージを運用する際には、システムに記録される操作履歴(ログ)を定期的に確認することが重要です。具体的には以下の項目をチェックします。

確認すべきログ情報 着目ポイント
日時と利用者 業務時間外のアクセスや普段と異なる端末からのログイン
ファイル操作履歴 作成、編集、削除の不審な動きの有無
共有設定の変更履歴 許可なく権限が変更されていないか
ログイン、ログアウト記録 不審なログイン試行の有無

 不審な動きを検知した場合は、該当アカウントの一時停止などの迅速な対応が必要です。また、製品の販売元やシステム運用・保守を行う組織に相談し、適切な対策を講じる取り組みも求められます。

 さらに、利用しているクラウドストレージの脆弱性情報にも注意を払い、セキュリティアップデートやメンテナンス情報を常にチェックする必要があります。重要な更新がある場合は全従業員へ周知し、必要に応じて社内の利用ルールを見直しましょう。

万が一に備えた体制を構築しておく

 クラウドストレージを導入する際は、システムトラブルや不正アクセスなどの緊急事態に備えた体制づくりが重要です。万が一の事態が発生したときに業務継続できるよう、以下のような対策を講じておきましょう。

対策例 詳細
システムトラブル発生時の対応フロー作成 ・管理者への連絡ルートを明確化する ・オフラインでの作業など代替手段を確保する
・復旧までの優先業務を整理しておく
・従業員への周知方法を確立する
不正アクセス発生時の対応手順 ・被害状況の確認と記録を行う ・アクセス権限の一時停止措置を講じる
・関係部門への迅速な報告体制を整える
・原因究明と再発防止策を検討する

 定期的な訓練を実施しておくと、従業員一人ひとりが緊急時の対応手順を理解し、スムーズに行動できるようになります。

クラウドストレージに関してよくある質問

 データの保存場所やクラウドストレージの潜在的な欠点については、セキュリティやコンプライアンスの観点から重要な検討事項です。導入の検討前に、疑問を解消しておきましょう。

クラウドに保存されたデータはどこにあるのですか?

 クラウドストレージに保存されたデータは、物理的なサーバー内にあります。保存先のパターンは以下の2つに大別されます。
  ・サービス提供事業者が自社で保有・管理するサーバー
  ・別の事業者から借り受けているサーバー

 具体的な保管場所は、セキュリティ上の理由からほとんどのサービスで非公開となっています。

 また、データ消失のリスクを低減するため、多くのサービスでは複数拠点でのデータ保管や国内と海外の2拠点への分散、自動バックアップの実施などの対策を講じているようです。

クラウドストレージの欠点は何ですか?

 クラウドストレージの主な欠点は、以下のとおりです。

  ・ベンダー側のシステム障害時に業務が停止する可能性がある
  ・第三者による不正アクセスが発生する可能性がある
  ・インターネット環境へ依存する

 システム障害時には、自社での復旧対応は困難なことが多く、一般的にはベンダーの対応を待つ流れとなります。重要データは社内にもバックアップを取っておくのがおすすめです。

 また、セキュリティリスクは自社だけでなく、データセンターのセキュリティにも依存します。企業は前提として、ID / パスワード管理を徹底するなどの対応が必要です。

まとめ

 クラウドストレージとは、インターネットを介して利用できるデータの保管・管理サービスです。

 法人向けクラウドストレージを選ぶ際には、セキュリティ基準と認証の他、アクセス権限の設定と管理機能、ビジネスツール連携の可否、コスト面での長期運用試算、カスタマーサポート体制の充実度などの点で検討しましょう。

 特に、機密情報をクラウドストレージで管理する場合には、より多層的なセキュリティ対策が講じられているサービスを選ぶことが重要です。

 ※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

【TP】

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