ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
朝はちょっと早起きをして、家庭菜園で育てている野菜を見て回るのが日課になっている。7月下旬の今はトマト、きゅうり、ナス、ズッキーニなどの夏野菜が採れはじめ、日ごとにグングン大きくなる実を観察するのが楽しい。その畑には野菜を食べに来る昆虫がたくさんいて、さらにそれを食べる虫や小動物がいる。小さな畑で繰り広げられる半自然の世界を観察してみた。
サツマイモ、モロヘイヤ、キャベツ、大豆、きゅうりなどを混植している家の畑
庭の一画につくった畑は、2歳になった息子・ガクの格好の遊び場になっている。ガクはトマトが大好きで、毎日、保育園から帰ってくると一目散に畑へ行き、色づいたトマトを探す。赤くなり始めた実を見つけると、手で摘み取って「きれい、きれい」と言いながら、着ているTシャツでこすって、形だけ汚れを落とし、そのままパクリ。そして「すっぱいね〜!」と感想をひとこと。あと2、3日すれば完熟して甘くなるのに、待てないのだから仕方がない。でも、2歳にして収穫の楽しさや、それを味わう喜びを知っているのは、ぜいたくなのかもしれない。
ガクはこんな調子で畑の野菜を洗わずに口に入れてしまうので、ここでは農薬を使わないようにしている。だから、野菜作りは虫との攻防戦でもある。「攻防」とはいっても、こちらはひたすら防御をするしか知識がなく、できることは虫よけネットをかけたり、虫が嫌がるという調味料(酢に唐辛子やニンニクを漬けたもの)を薄めたりしてスプレーするぐらい。その効果は限定的で、当然、畑にはたくさんの虫がすんでいる。
シソの葉をバッタが食べたり、ニジュウヤホシテントウ(28もの黒斑をもつテントウムシの仲間)がきゅうりの皮をかじったり、キャベツにモンシロチョウが卵を産んだり……。自分たちが食べるためではなく、虫を養うために野菜を育てているのではないか、と笑われそうだ。
防御一辺倒の野菜作りだけれど、少ないながらも収穫が楽しめるのは、昆虫界の食物連鎖の働きが大きいのではないかと思う。例えば春、アブラムシが大発生し、カボチャの苗が弱って困っていると、いつの間にかテントウムシがやって来てアブラムシを食べている。テントウムシの成虫は1日に100匹ものアブラムシを食べるというから、10匹もいたら、退治効果はかなりのものだ。
さらに、しばらくするとテントウムシの卵がかえり、幼虫が茎を歩き回ってアブラムシを食べる。あれほど優勢だったアブラムシは初夏にはほとんどいなくなり、生き残った苗はアブラムシに負けず、大きく成長していく。虫に食べられる場合も多いけれど、虫に助けられる場合も同じぐらいある。
さらに、虫対策でとても頼りになるのがアマガエルの存在だ。アマガエルはいろいろな虫を食べてくれるので、とてもありがたい。わが家の庭のいたるところにアマガエルがいて、まるで警備隊さながら作物の間を移動して、次々と虫を捕食してくれている。最近は、虫に食われてレース模様になったキャベツの葉の上で多く見かけるので、青虫を食べてくれているのだろうか。
サツマイモの葉の上で虫が来るのを待つアマガエル
家の隣には水田が広がっていて、そこにはたいがい10羽を超えるシラサギがいる。長い脚を稲の間に刺し入れ、優雅な姿で歩きながら、たまにサッと首を伸ばして獲物を捕らえる。大好物のカエルを食べているのだろうか。
幸い、わが家の畑にシラサギは飛んで来ないし、今のところヘビなど他の天敵も見かけない。だから、虫対策で頼りにしているアマガエルは水田のカエルと違って、ゆっくり過ごせるのだろうと思っていた。でも、自然界は私が考えるほど甘くない。
ある日、いつものように畑を見回っていると、アマガエルがカマキリに捕まっていたのだ。カエルがカマキリの幼虫を食べるところは想像できるけれど、逆に、成長したカマキリが自分の胴体より大きなカエルを捕まえて食べるなんて知らなかった。そのどう猛さに、背筋が凍る思いがした。私にとっては静かで平和な朝の畑も、そこで暮らす小さな生き物にとっては「食う、食われる」の厳しい食物連鎖の場なのだ、と改めて気付かされた。
虫に食べられ、虫に守られている野菜作り。そして、そこで繰り広げられる生き物のバトル。小さな畑で採れた、見かけの悪い夏野菜だけれど、やっぱり味は濃い気がする。
山野を彩る季節の植物たち ~ヤナギラン~
スキー場や伐採地など、山地や高原の明るい斜面に生え、条件のよいところでは1mを越える高さに成長することも。富士山麓の梨ヶ原など、群生地では一面がピンクのじゅうたんのようになる。房のような花の集団は、下から順番に咲いていき、夏から初秋にかけて長く楽しめる。咲き終わった後の白い綿毛姿も秋の風情が漂い、美しい。
執筆=小林 千穂
山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。
【T】
ココロ踊る!山麓生活のススメ